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シゾフレニア  作者: 民音慧可
第一部 空想上の物語
20/74

【有川湊 過去編】 邂逅と再開まで

過去編ということで色々と変えてみました

中学2年、有川湊は龍川耕哉の妹である龍川美樹と付き合っていた

告白は美樹から。耕哉を通して昔からよく一緒に遊んでいたため、徐々に男として認識し、ある日自分は湊に恋をしていることに気づき、そして告白した

人間不信の湊が何故美樹と付き合うことにしたのか。

当初の目的は、愛というものを知りたかったのだ

愛から生まれなかった湊だからこそ、知りたかった

だから告白に応じた。それ以来何度も一緒に登下校し、休日も耕哉が部活で居ない時は、一緒にデパート行ったり、湊の部屋でゲームしたりしていた

学校では普通だが、プライベートになるとべったりとくっ付いている2人だ

勿論美樹のほうから一方的に

湊はそれを受け入れていただけである。断る理由もないのだから

比較的平和で普通の彼氏彼女をしていたのだ

美樹は十分に可愛いし、モテる

それが何故湊みたいな根暗な人間と付き合っているのか

それが不満で、嫉妬していた男が居た

それが高見。中学3年の高見翔たかみ しょう

高見は耕哉の部活、ハンドボール部の副キャプテンを務めていて

美樹はハンドボール部の不定期マネージャーを任されていたのだ

因みに美樹が所属している部活は、いや当時二年の頃からその美貌と性格は人を引き付けるモノがあったため生徒会に所属していた

その応援で、強豪であり部員数が多いハンドボール部の手伝いをしていたのだ

この頃から耕哉は先輩を出し抜きレギュラーにたまに出ていた

そして高見は美樹に惚れていたのだ

そして部活も引退する頃、秋に美樹に告白した

だが断った。私には付き合っている人がいる、と

勿論知っていた。いつも薄暗く、活気の無い、脱力し切っている男のことを

普通、そんな男と付き合うだろうか

そしてこう思っていたのだ。もしかしたら何か弱みを握られているのか、などといった理由があって付き合っているのかと

なら自分が告白し、付き合い始めればその男と別れる理由になるだろう

立派な理由、現実的な理由を俺が与えてやればいい

そう思っていたのだ

そう履き違えていたのだ

美樹は真剣に湊のことが好きだった。それは長年の歳月と、付き合ってからの時間により出来たモノだ

他人に懐くことをしなかった美樹は、初めて湊という男を認め、認めてもらいたいと思ったのだ

勿論それ以外にも理由はある。ありすぎる。人の恋というものは簡単には語れない

一緒に居た時間なんて関係無い、なんて言う人間が居るがそうじゃ無い。関係なくなんかない

それが一番重要なのだ。どれだけその人を見てきたのか、理解しているのか、思っているのか、思われているのか。それら全て一緒に居た時間と比例しているのだ

そして。それを侮辱された

お前みたいな奴があんな男と付き合ってのはおかしい、といわれたのだ。高見に。

それに対し激怒した。当たり前だ。それら全てを否定されたのだ。怒りもする

そしてあろうことか、高見は逆ギレしたのだ

感情的になったのだ。この時居た場所が、学校中で噂になっている告白スポットの中庭の裏、つまり裏庭だった

そこから少しするとすぐに学校の外で、あまり人目が付かない裏道になっている

高見は逆上して、その場で美樹を取り押さえ、気を失わせてしまった

腐ってもハンドボールの副キャプテン、腕の力はお墨付きだ

そんな相手に美樹が敵うはずも無く、抵抗するもなくなく取り押さえられてしまう

そして、高見の友人関係で、いわばヤンキーみたいな連中に連絡し、そいつらに車とクロロホルムを用意させ、拉致し、矛先は湊へと向く

ゲスの極みである高見は湊の前で美樹を陵辱しようと考えたのだ

そして拉致された姿の美樹を写メで湊の携帯に送り、今居る地元じゃ有名な幽霊スポットの木材で出来ている廃校への一室に指定し来るように指示した

警察、友人などを連れてきた場合は酷い目に合わすと追記して

だが、そのメールを受け取った場には隣に耕哉と海が居た

そして見てしまっていたのだ

それを知ったからにはこの2人は黙っては居ない

耕哉は恐らく、少なくとも湊の前では初めて憤怒した

滅多に怒らない、紳士的な耕哉が妹の危機に怒りを覚えたのだ

すぐその場に行こうと耕哉は動き出すが、そこを湊が冷静になれと止める

ムードメーカーである海は耕哉が先に行動したため寸前のところで怒りを抑えれた

湊はコイツらが言っても聞かぬ馬鹿ばかりなことを解っていたため、作戦を練り美樹救出を試みる

作戦は簡単、そして難関

湊がその一室に行き相手の気を引きつけている瞬間に、耕哉が頃合をみてロープを使い窓へ一気に突入その驚愕の刹那に湊が殲滅。海は知人の警察官を数人呼び付近で待機。耕哉が突入を確認したと同時に乗り込む

そういう作戦だった。だったのだ

湊が乗り込んだ先には、高見の友人ばかりで、高見本人が居なかったのだ

しかし、それに気づくも連絡できず、耕哉が作戦通りに窓から乗り込んでしまう

そして警察も来て、傷害罪と脅迫罪として難なく捕まる

だが、肝心の高見と美樹がいなかった

高見の友人の一人を脅迫し、場所を吐き出させた

場所はとある一軒家

よく知っている一軒家。・・・それは美樹と耕哉の家だったのだ

ここから少なくとも道のり5キロある。そしてコイツらはもう俺が来たと同時に連絡済みらしい

それを知った瞬間、こいつらが移動用に用意してあったバイクの一つを使い、すぐさま向かう

着いた時、その家は静まり返っていた

何度か泊まりに着たから解る。いつもある外から見ても賑やかそうな家族の団欒が感じられなかったのだ

違和感を感じながらも足を止めてはいけない

玄関のドアは開いていた

中へ進みリビングに入る

入った瞬間、そこはイカれた若者達の巣窟と化していた

ざっと6人。静かだが、それで居て陰湿な雰囲気

その一人が、頑丈に出来ているロープを持ちだしこれを付けろと命じてきた

従わなければ美樹を、と脅して

仕方なく手を後ろにやる、ロープで拘束される

そのまま二階へ、つまり美樹の部屋に案内される

そこにはーーーーー眠ったままの美樹が高見に肩を抱かれていた

だが・・・美樹の両親の姿が見受けられなかった

恐らく出張中か泊まりだろう、二人とも同じ職場だから

それが唯一の救い

こいつは俺が仲間を連れてくることが解っていたんだろう

そしてその裏を突いた、突かれた

完全に俺のミスだ

後ろから頭を抑えられ、地面に這い蹲らされる


「フラれた腹いせに彼氏の俺の目の前で彼女を犯そうってか?下衆が」

「理解が早くて助かるよ。まあそういうことで、・・・諦めろ」


その瞬間、美樹の上着である制服を無理やり引きちぎり、下着が露になる



俺の彼女がーーーーーーーーーーーー


「・・・なあ、高見先輩」


犯されるーーーーーーーーーーーーー



「なんだよ、根暗君。これから楽しいパーティの始まりなのに、水を差さないでくれるかな?」


犯される、犯されるーーーーーーーーーーー


「・・・今からそいつに触れてみろ」


犯される、犯される、犯されるーーーーーーー


「ーーー・・・へえ、触れたらどうなるのかなァ!!」


乳房を無理やり鷲づかみ、取り巻く二人が美樹の両足を掴み股を広げた


ーーーーーー・・・瞬間、今まで留めていたナニカが千切れるような感覚がした


犯される、犯される、犯される、犯される、犯される、犯される、犯される、犯される、犯される、犯される、犯される、犯される、犯される、犯される、犯される、犯される、犯される、犯される、犯される、犯される、犯される、犯される、犯される、犯される、犯される、犯される、犯される、犯される、犯される、犯される、犯される、犯される、犯される、犯される、犯される、犯される、犯される、犯される、犯される、犯される、犯される、犯される、犯される、犯される、犯される、犯される、犯される、犯される、

犯される、犯されるーーーーーーーーーーーーーーーーーー・・・・・・・・犯される?

―――――――・・・・いいや、侵される


侵される、世界が、視界が、生活が、日常が、感覚が、脳が、目が、足が、肉が、骨が、

俺のスベテが畸形に侵される


今までの比にならないほどの勢いで、全てが塗り替えられる

何故ならこれこそが、畸形の正体なのだから

だから容易く身体を乗っ取られる


ーーーーーー・・・・さあ、最初で最後の出番だ


いつも俺を侵しているように、こいつらスベテを侵してよ

侵せ、潰せ、壊せ、殺せ、騒ぐ、騒ぐ、耳に、身体に響き渡る

畸形の、歓喜の声がーーーーーーーーーーーーー



「ーーーーーーー・・・・・アァ、侵されるのはオマエラだ」




その瞬間に、湊は左腕と左親指の関節を外し、右手が自由になる

そして、右手一本で頭を押さえつけていたヤツのその腕をへし折った

それに反応して取り巻きが鉄パイプや小型ナイフで斃しにかかるが

最低限の移動で避け、小型のナイフを持っている手を掴み、そのまま鉄パイプを持っている奴の肩へ直撃する

そしてそのまま掴んでいる手をあらぬ方向へとへし折った

この時点で部屋に居る五体満足な人間は取り巻きの二人だけだ

湊の目は何も見ていない

いや、性格には人間を見ていない

虚ろで、鋭く、殺気立っている

今の世の中でこんな奴が居る場所は戦場ぐらいだ

殺したい、奪いたい、潰したい、壊したい

他人を傷つけるという破壊衝動こそ今の湊の唯一の抑制剤

じゃないと、畸形たちが止まらない。

人間は100%の力は出せない身体で出来ている

それは100%の力を出した場合、身体に負担が掛かるからため、脳が常に抑制しているためだ

・・・だが、有川湊とはその脳から、精神から、感情から生まれた存在

その程度のリミッター外すことなど造作も無い

しかも今まで畸形を殺しつくすために、畸形から身を護るために精神と身体を鍛えてきたのだ

100%の力を出したところで大した影響は無い

必要なのはリミッターを外すきっかけと、瞬発的な精神の昂り

畸形を利用し、畸形に利用され、今の有川湊は常人では測りしえない身体になっている

そして、いつもどこかでこの機会を狙っていたのだ

そんな姿を見て高見は脅える。もうそこには今までの湊の姿は無い

ましてや、今まで出会ってきた人間にすら該当しない

未知の存在。それこそ恐怖の正体

そんな存在が今、敵として目の前に居るのだ

冷や汗を出る、背筋が凍る、身が震える

一瞬にして、瞬間にして身体が反応したのだ。そして本能が訴えている

コイツには関わるなと

逃げたい、だが出入り口に陣を取っている

そんな考えすらさせてくれない

一歩一歩こちらに近づいてくる

取り巻く二人が撃退しようとするが、既に左腕と親指の関節を戻してある湊にとって取るに足らない相手だった

逃げたい逃げたい逃げたい。それしか最早考えられなかった

そして逃げる手段として、何も考えずに美樹を湊へ放り投げ、その間に出入り口へ向かう

しかし例え湊がそんな状態でも、今一番護りたい奴のことを忘れてはいなかった

放り出した美樹を両腕で優しく包み込む

その瞬間に逃げられた

・・・・逃げれた、はずだった

襟を掴まれる。それはもう逃げることが出来ないことを表していた

斃した人間全員にこの部屋から出て行くよう強制する

圧倒的の実力さで有無を言わず出て行くしかないと判断し、階段を降り、外へと全速力で逃げていく

その光景をリビングに居た奴らが目視し、何が起こったのか、その結果どういう惨状になったのかを一部理解した

何よりも、両腕は関節を外され、肋骨は3本砕かれ、内臓を痛めつけられ、両方の小指が在らぬ方向へと曲がっており、歯が何本か折れている無様な高見が襟を掴まれぼろ雑巾のような扱いのまま上から降りてくる湊を見ると、恐怖に脅えすぐさまこの家を出て行きたくなる

だが、逃がさない

高見を奴らへ放り捨て去り、腕の一本は覚悟してもらう

だが、敵は複数

数で攻められれば確かに手を焼くことになる

それでも、一人一人もう二度と手を出さないよう恐怖を植えつけなければいけない

戦う、その様は既に乱闘だ。複数対1人なのに乱闘に見れるほどに

その時、海と耕哉が車で追いついた

戦っている最中に、湊を止め様とした

その結果、耕哉は左腕を脱臼し、頭を強く打った。打ち所が悪かったためそのまま意識不明になる

それのおかげでようやく我を取り戻した湊だが、もう遅い

このままコイツラを逃がすわけにも行かないため、もう二度と美樹たちに関わらないよう身体に刻み込んでおく

脅迫、暴行、傷害、その他諸々

すぐさまさっき居た警官も駆けつけて来たが、立件しなければ動けないだろう

それに警察なんかに助けを求めれば今度こそ、命は無いと、それほどまでに植えつけられたのだ

痛みを、恐怖を。これでこの辺一帯の馬鹿共は美樹を狙わなくなっただろう

問題は後始末だった

美樹はずっと寝ていた

服を剥がされただけだったので同じ服を着せ、何事もなかったかのようにした

だが、問題は耕哉だ。

美樹は目を醒ます。リビングへ行ったときその惨状は泥棒が入ってきた以上のものだっただろう

そしてこれをどう片付けようと悩んでいた海に話しかけ、耕哉が今湊にやられて病院に居ることを知らせる

何故、と問うと海は正直に湊が傷つけたからと言った

美樹は信じられなかった。信じたくなかった

だから事実確認のためにすぐさま病院へ足を運んだのだ

頭を強く打っただけだったため命に別状は無かったが意識は今だ戻らず

一応様子見で入院することになったが、幸いだろう

湊はあのあと、頭を冷やしてくるためにどこかへ出て行った

親御さんたちには海が丁寧に説明した

耕哉は3日で目を醒ました

怪我自体はそれほど深刻なものではなかったが、頭を打ったために退院は3日後になるが、ひとまずは安心した

だが、何故湊が耕哉に暴力を振るったのかは誰も知らない。いや、海は察していたし、知っていたがこれは当事者が語るべきことだと判断し伝えなかった

美樹を助けるために、暴れていた。そこに耕哉が首を突っ込み巻き添えを食らった

確かにそうだ。だが、湊はそれを隠すことにしたのだ

美樹は襲われたのではなく、いきなり倒れたことにしたのだ

クロロホルムの影響で前後の記憶はぼやけていたためそう植えつけるには持って来いだったのだ

それは、耕哉が目を醒ました2日後のことだった

美樹は昔家族を失っている

小さい頃、有川湊とまだ出会う前の頃に母を亡くしたらしい






4歳の美樹にとって母は大事であり、それ以上に大好きな存在だった

だが、死んでしまった。目の前で、交通事故で、私を助けようとして

私のせいだ私のせいだ私のせいだ私のせいだ

しかし、そう病んでいる暇は無かった

無くなったのだ。それは6歳のころ

唯一の救いで、私を独り身で育てることを決意し、奮闘した父が

過労で倒れ、なんらかの病気掛かってしまい入院生活を余儀なくされたのだ

こんな身体では美樹を満足に育てられない

そこで美樹の父は弟の家族に美樹を預けることを決意したのだ

それが、今の龍川家

父の弟は快く引き受けてくれた。そして、暖かく迎え入れてくれた

だが、そんなことを気にしていられる余裕なんてなかった

母だけでなく、父すら私のせいで倒れた

心はいつも虚ろ。小学校へ入学しても誰とも話そうとしなかった

だが、そんな姿の美樹を耕哉はずっと気にしていた

ずっと手を貸し、助け、導いてくれていた

その結果、美樹に少し心の余裕が出来たのだ

その時決意した。こんなにも心配させてしまっている。だから私は一人でも大丈夫なことを示さないといつまでも私に構ってばかりだ。だから一人で何でも出来るように努力しよう

耕哉に迷惑を掛けてはいけない。龍川家に余計な迷惑を掛けてはいけない

そう決意した日から、美樹は今までとは真逆に明るくなっていった

・・・だが、そんな日は長続きしなかった。いや、出来なかった

7歳。父が死んだのだ

死んでしまった。とうとう死んでしまった

また、死んでしまった

だが、そこにはまだ救いがあったのだ

死に際に会話が出来たのだ

その時約束した。


ーーーーーーーー新しい家族を大切にしなさい。家族なのだから、迷惑も、心配も、喜びも、元気も皆で分け合いなさい。心配事なんて何も無い。あるなら、家族に相談しなさい。そこにいる、お兄ちゃんと、新しい父と母にね。----------


だから、大丈夫だよ。そういって父は他界した

それ以来、私は新しい家族に心を開き、次第に距離が狭まっていった

だが、家族とは仲が良くなっていったが他人とはそう簡単にはいかない

どう会話すればいいのか、どう仲良くなるのか。それを普通なら覚える時期に美樹は心を塞いでいたのだ

だが、耕哉を通して知り合った湊と出会い、時間と共に良い方向へと変化していった


そんな経験があったため、耕哉が倒れ、病院で入院することになったと聞いた時

美樹は気が気ではなかったのだ

また失う、もういやだ、居なくならないで

命に別状は無いと聞かされても、この目で起きて会話をする耕哉を見ないと納得できなかった

そして三日後に耕哉が目が覚め、美樹はようやく心に余裕を持つことが出来たのだ

そしてふと考えてしまった。耕哉がこうなった原因は湊にある。その言葉を思い出した

そして思い出したと同時にその湊が耕哉のお見舞いに来たのだ

そして、問いだした



「・・・ねえ、湊。なんで耕哉を傷つけたの?」

湊は黙った。かなりの沈黙。恐らくどう言い訳するかを考えているのだろう

そしてある答えを出したのだ

「・・・・・・・少し、耕哉とトラブルが起きてな。それで喧嘩になって思いっきり突き飛ばしたんだ。」

「ーーー・・・えっ?そ、それだけ・・・なの?」

「ああ、ことの顛末はこれだけだ。本当に、悪いと思っているよ」

「悪いと、思ってる?・・・それだけ?彼方は一歩間違えれば耕哉が死んでいたかもしれないのよ?それが解って言ってるの?」

「・・・ああ、十分に解ってる」

「ーーーー何も解ってないよ!彼方はここまでのことをしておいて悪かったで済まされると思っているの?起こってしまった事にだけ腐った社会人のように謝罪するだけ。それじゃあ機械と何も変わらない。彼方がもしそういう人間だったのなら・・・彼方は薄っぺらな感情しか持っていない人でなしだっ!!」

「ーーー・・・・なあ、美樹。俺はお前達に最初に言ったこと、覚えているか?」

「・・・・?」

「俺に関わるといずれ良くないことが起きるって。今回のこれはその結果なんだよ。友達は大事だ。恋人は大事だ。だが俺は、俺の身体は加減を知らない。そのことはお前達に説明したはずだ」

「ーーーー・・・開き、直るの?信じられない・・・」

呆れていた。心底呆れていた

私はこんな男を好きになったのか?

私の知っている湊はこんな奴じゃない

「それで仕方ないと思っているつもり?自分に言い訳して、周りに言い訳して、惨めだと思わないの?」

「俺は昔からこういう奴だ。それを解っていなかった、見抜けなかったのはお前だーーーーーーー」

「ーーーー・・・ッ!!」

その言葉は、美樹の怒りの根源へ触れてしまった

乾いた音が病室内に響いた

それは美樹が思い切り湊の頬を殴った音だ

「今の彼方は、私が恋した湊じゃない」

そういって、病室から走って出て行ってしまった

「ーーー・・・なんで、さっきから黙ってるんだ?」

「・・・君が何をしたかったのかを察したからだよ。美樹に高見達のことを伏せておきたいのは解る。だけど、なんでこんな終わり方にしたんだ?これじゃあ、どっちも救われないじゃないか」

「・・・これで、いいんだよ。アイツはなんだかんだで大の負けず嫌いだ。そこで俺は考えたんだ。成績がよく、スポーツも出来て、頼りになる俺という彼氏が実はクズで性根腐ってる奴だと幻滅させれば、あいつは俺を壁にし、その壁を越えるよう努力するだろう。あんなクズがあそこまで出来たんだ。私に出来ないはずがないって考えてな」

「そんなことをする必要、本当にあったのかな?今のままだって平和で仲良くやってたじゃないか」

「ああ、仲良くやってた。仲が良すぎた。でもそれじゃ駄目なんだよ。俺ばかりに頼ってばっかりじゃ駄目なんだ。だからこんなことになったんだ。他人を頼り、自分を信じなくちゃ大人にはなれない。だから突き放した。あいつが強く成長するために。自分の身くらい自分で護れるように」

「・・・・解った湊がそこまで考えているなら、もう何も言わない」

「悪いな。こんな状況を利用させてもらって。丁度いい機会だと思ったんだよ」

「いいよ。君がどれほど美樹のことを大切に思っているかわかったから」

「・・・・・うるせえ」

本当はもう一つ、目的があるんだよ

それは、もしまた暴れるようなことがあったら今度は美樹が傷つくことになる可能性があるからだ

「そういえば、あの暴れっぷりは君の持病である統合失調症が原因だろう?もう大丈夫なのかい?」

「ん?あ、ああ。そのことで海から提案があってな。かなりの腕を持つ精神科医を教えてもらった。今日明日辺り、そこへ行って見るよ。」

そしてこれが、新たな道を開くことになるとは思わなかったがな






こうして、湊と美樹の恋人関係は終わりを告げた




甘く苦く、そしてお互いを成長させるための貴重な時間だった


弱点を知った。目標を見つけた。それぞれがそれぞれの思いを達成させるために、道を歩む


それ以来、2人とも顔を合わせようとせずそのまま卒業した


それでいいんだ。もう俺達はそこで立ち止まることをやめた


湊は湊の道、自分の日常を護ることを


美樹は美樹の道、俺を超えるために常に1位を目指すことを


それぞれが選んだ。それぞれが決意した


ーーーーーーーーー・・・そして


二度と出会うつもりがなかった2人は


ちょっとしたことで、再び出会ってしまう


地震で湊の在学する学校がその影響で危うくなり、2年の生徒の半分は別の学校へ行くことになる


これは異例なことで、普通ならありえないことだが、本人達の了承を得たうえでのことだ


その了承書に・・・・・・・湊は九条峰への一時入学することに、YESとサインした


気まぐれか、戯れか、女々しさか、それとも・・・・・


それは湊にしか解らない


だけど、選んだんだ。


再び、逢うことを―――――




「・・・・・・久しぶりね、湊」



「ああ、3年ぶりか。美樹」



本編とのズレは無いようにしたつもりですが、もし矛盾点があったら教えてください

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