きゅうけいさんはパーティを組む
トゥーリアさんの働きかけによって、私はついに村公認の魔族に一歩近づくことになった。
最初の一歩ということでアウグストさんが出てきたときはびっくりしたけど、名前を呼んでもらって距離が近づいた感じで嬉しい。金髪で精悍な顔つきで……んんっ? 悪くないんじゃないでしょうか!
でも節々から苦労人オーラが漂ってますねアウグストさん!
あとシルヴィアちゃん、私の紹介してくれたのは嬉しいけど……。
……私は一応きゅうけいさんじゃなくて火神球恵だよ!? 忘れてないよね!?
そしてエッダちゃんは三人前ぺろりと平らげちゃって胃袋ブラックホールだよ!? なのに全くお腹出てきてないんだけどここ一ヶ月の食べ物どこにいってるの!?
やっぱりそれですか、そのチョコプリンですか!? 心なしか大きくなってる気がするエッダちゃん謹製のぷるんぷるんですかあっ!?
まあそんなわけで、好評のうちカルボナーラが終わって、翌日はみんなにピザトーストを食べさせるために一ヶ月ぶりの門下生の竜人のみんなへ顔出し。
シルヴィアちゃんに手を握られて、ちょっぴりびくびくしながらも顔を出す。
……少年少女がたくさん。みんな綺麗な子達。
まずはシルヴィアちゃんが食べて、そして勇気を持った一人目の子が食べに来てくれた……!
「えっなにこれすげーうまい……!」
ふおおっ! 天使っ! 少年だけど天使! いや下級天使って両性って聞いたことがあるので天使で何も問題ないと思います! 天使っていうか竜だけどね!
二人目の勇気ある可愛らしい子もやってきてくれた。
「ほんとだ、すっごくおいしいです」
はい好き。もう好き。天使降臨。
二人の様子を見て、ちっちゃい子たちがわらわらと集まってきてくれた。銅貨を鞄から取り出して、私をきらきらとした目で見つめる天使ちゃんの群れが……!
ここが秘匿されし天使達の聖域……。
私はピザトーストを笑顔で食べてくれる子供達を見ながら、さっきから顔が緩みっぱなしだ。ああもう、幸せ幸せ……。
時々目が合った。私は調子に乗ってぱたぱたと手を振った。その子はぴょこぴょこと走ってトゥーリアさんの後ろに隠れた。
あ、トゥーリアさんが頭を撫でて、何か言っている。
あっ! おてて! おててふってくれたあ!
私、再び顔面緩みっぱなしで手を振る。
……!? あの子、今、くすって笑った!
あああもおおかわいいよおお!
竜人のちっちゃい子、みんなかわいすぎでしょ……!
トゥーリアさんには後でお礼言わなくちゃ。きっと私のために、いろいろ考えてくれてるんだよね。
シルヴィアちゃんのことになるとちょっぴりシスコンというかぽんこつというか可愛い面が出てきちゃうけど、とても一生懸命な感じが伝わる。
多分、シルヴィアちゃんの方が出来はいいんだと思う。
だけど、トゥーリアさんはシルヴィアちゃんのためにお姉様として出来ることを出来る限りの力で頑張っている。
だから……シルヴィアちゃんが信頼してる私を、トゥーリアさんも信頼して心を砕いてくれているんだ。
いい姉妹だなあ……。
本当に、この出会いも最高だよ。
翌日は、なんと保護者がやってきてくれた。
保護者さんは想定してなかったので食材が足りるか分からない!
ああでも、こんなに人気になっちゃうなんてびっくりだ。
料理、調理実習やお母さんの手伝いとかで多少苦手でも頑張ってよかった。
しかし本当にたくさんのお客さんだ。これは本格的にメニュー増やさないといけないね! でも割と真剣にきゅうけいさんは休憩をそろそろ入れていただきたいです。
その次の日も、たくさんやってきて……あれ? なんか多くないですか? 保護者より多くないですか!?
この道場、完全に立食パーティ場になっちゃってませんかーっ!?
ま、まあいっか! なんだか噂が噂を呼んで、大変なことになっちゃってるけど……。
……でも、自分で鏡を見ないと忘れかけるけど、私って青肌で、目は真っ黒で、魔族なんだよね。
こんなに興味津々そうに、だけど恐れずに私の近くにたくさんの竜族が来てくれるなんて。
次の日には、もっと増えてくれた。なんとか売り切れないようにと、事前にパスタの具材も沢山作っちゃったよ。
もう完全に、床座りパスタ会だね。まだまだトマト挽肉のミートソースはたくさんあるよー!
しかし、問題はその次の日に起こった。
なんというか……大成功しすぎちゃった! テヘ。
「トゥーリアさん、こまりますよぉ……お客さん、他の家のところも取られちゃったって言ってて」
私の食堂に、竜族の外食組がみんなやってきてしまったのだ。
そういうことなら、やっぱりみんながおいしいものを作ればいいはずだ。
「私が料理の簡単なやり方を教えてもよろしいでしょうか!」
それに、そろそろ休憩も欲しいからね!
「あと一人で作るのめんどくさいので、もうちょっと休憩時間が欲しいでっす!」
……ん? あれ? な、なんだかトゥーリアさんが、ものすごく優しい目をしている……!
待って、まってまって! シルヴィアちゃんの女神聖母甘えたいママオーラ微笑もすんごい幸福感でやばかったけど、トゥーリアさんがその顔すると本気で女神なんで。マジで女神降臨なんで手加減してください。
私がどんな神を信仰していたとしても、トゥーリアさんの女神像があったら即日宗派を入れ替えるってぐらいには、ヤバイ。
……ま、まさか……! まさか今の「笑い話にすることで、教示を後ろめたくないよう私が配慮している」なんて思われている……!?
うわー、うわー。
これ、今更「ぐーたらきゅうけいしたいだけで後は何も考えてないでーす」とは言えない雰囲気ですよね!?
ま……まあいっかぁ〜っ!
いいのかなぁ〜っ?
あはは、は……。
さて、料理を教えるということでみんなの料理を見たんだけど、なるほどわかった。
計量カップとか砂時計とか、その手の道具があるのに一切使わず、みんな感性を元にずばずば作っている。
なのに感性に自信がないという自己矛盾に陥っている。
「だって、上手い人はやっていなかったから、不要な手順なのかなと……」
お……オーノー! 人間の上手い人に聞いちゃいましたか……!
あの機械のようにキャベツの千切り作ったり、手で持つだけで生地のグラムを正確に計ったり、数秒の天ぷらの揚げ具合の差を正確に把握する、『人間の上手い人』を最初に参考にしちゃいましたか!
直接見たわけじゃないけどイタリアンの上手いシェフのやることは、真似してできるもんじゃないですっていうか私も無理です。
いやほんと、ああいう人達って何かこう、突き抜けちゃってるよね。
どうやって教えようかと思っていたけど、これなら大丈夫そうだ。
上手い人でも下手な人でも作れる、かっちり正確な作り方を教えれば大丈夫だ。
そうして出来上がった料理は、ちゃんと私が食べても十二分においしいものだった。おばちゃん達にはいたく感謝された。
そして、私は未来永劫食事無料サービスという特権をいただけた……!
うっひょーっ! ちょー嬉しい! これでもうお店に入るだけで食べることができるんだ!
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私はその日も、トゥーリアさんと外食に行っていた。
もうすっかり食堂のおばちゃんとも顔なじみだ。お店にいる竜族のみんなも、私の顔を見てビール片手に挨拶するぐらいには仲良しになった。いや、昼間っからビールとか優雅ですなーっ!
私もちょっと飲んじゃおうかな? 今のこの体、アルコールに強いのかな? 悪酔いしないかな?
アルコールに激弱な魔王様とか笑っちゃうね!
と思ったけど、蛇も鬼も日本じゃ酒で失敗しちゃってたね……私も気をつけねば。
「結局飲みに誘ってくれなかったじゃん、もー寂しいよー」
おや? トゥーリアさんにタメ語で話しかける、緑のロングヘアの綺麗な女性発見。なんとものんびりした雰囲気の糸目お姉さんだ。
「そしてあなたが、噂の『きゅうけいさん』だね!」
えっ、どういうことですかトゥーリアさん!
「いや、あたしから直接紹介したことは……ん? いやもうちょっと複雑だったな……」
な、何ですかそのあいまいな反応、ちょっと怖いんですけどっ!?
って、気がついたら目の前にいらっしゃる。手を握られている。握られてるっ!?
まって不意打ち! それ不意打ちだから! あのね竜族の村はみんな美人なの、あなたもとんでもなく美人なのっ! そんないきなり両手で握り込まれると心の準備ってものがですね!?
ああもうっ、こういうの慣れないなあ……この世界って美女率多すぎだよぉ。
普通はもっと男にときめくものなのかな? なんだかそのへん私ちょっとずれてるのかもしれない、やっぱり日本人よりでかい男の人ってちょっと怖いんだよねー。優しそうな人ならいいんだけれど。
……一番見た目が怖いし一番強いの私なんだけど、間違いなく一番小心者なのも私なのだった。
「会いたかったよ。私は占いをやっていてねー」
占い師さん! わーっ本格的なファンタジー占い師さんだっ!
女の子は大体みんな占いごととか大好きだからね! 私も大好きです!
画数とか、手相とか、毎回結果が変わるタロットとかやってました!
「占い師さんですかっ! 私占い好きなんです!」
あっ、にっこりしてくれた! 元々にっこり顔だけど!
穏やかそうな人だなあこの人。休憩好きかな? いっしょにきゅうけいさんにならない? 今なら生涯怠惰に溺れる権利を付けちゃうよグッフッフあっうそうそ、そんな悪魔っぽいことはいたしません。
「ちょっと見せてもらってもいいかなー?」
もちろん快諾! 私はドキドキの両手握りをしてもらった。
あ、糸目が開いた。目は赤い。わー綺麗だなー。
どきどき。ドキドキ。
土器土器石器弥生土器。
「今のままだと、あなたは決定的な部分で、最後の最後に何者かに負けて破滅しちゃうって出てるんだ———」
「え?」
「———と思い込んでいたんだけどねー」
いやいや! 占い師さんの占いは無条件で信じちゃうのが女の子なのでそういう振りやめてください! ガチビビリしちゃいますっ!
「友達が出来る度に、どんどん光が強くなっていってね」
「友達、ですか?」
「そう。友達の一つ一つが繋がる度に、もう一つの光が近づく」
もうひとつの、光?
それって、私みたいな光ってことなのかな?
もっと別の何かなのかな?
「あなたは、このままこうやって友達を増やして増やして、みんなに優しくしていくと、その光と繋がってあなたの力になる。最後には負けないよ」
「えっと、友達を増やして、優しくしていくと勝つんですか?」
「そだよー。占いの結果は何もしないと敗北するというものだったんだね」
えーっと。
じゃあ何するんだろ。
今まで通り? 結構すんごいペースでおともだち増えてるよね。
初対面の人も、今目の前にいたりするけど。
「だから、たくさん友達を作って、あなたの信じる道を行ってね。あなたの行く末は分からないし、私の占いって結構当たる方なんだけど……あくまで予言じゃなくて占いなんだ。それだけは一応断っておくよ」
そう言って軽く笑ってみせたけど……もうね、どう考えても予言だと思うんだよね!
こういう占いが、当たらなかった試しないんだものっ!
絶対当たる。だからもうきゅうけいさん友達作りまくっちゃう。みんなに優しくして友達千人ぐらいつくっちゃう!
「はい、レジーナさんの言ったこと、ちゃんと意識しますね、見ていただいてありがとうございます!」
きっとこれも、とってもっとってもいい出会い。
私はレジーナさんがやってきてくれたのも嬉しくて、お礼を言った。
レジーナさんは、ちょっと真顔になって驚いていたけど、すぐに糸目でふわっと微笑んだ。
「ってなわけで、私もあなたの友達になりたいな!」
ああんっ! こっちから言いたかったぐらいの言葉ですっ!
「わあっ、はい! こちらこそ! えっと、レジーナさん!」
やったね! 早速友達増えちゃいました!
二人は飲み友っぽかったので、先に屋敷に帰ることになった。
「んー。なんだかトゥーリアさんとずっと一緒にいたというか、単独行動許されてなかった部分があったよーな気もしたから、ちょっと新鮮」
私は竜族の村をぶらぶらと歩く。
やっぱり珍しいのか、みんなちらちら私の方を振り返っている。
あ、親子連れだ。
「どーもどーも。えへへ〜」
軽くおじぎをすると、相手ももう怖がるとか緊張するとかじゃなくて、ぺこぺこしてる私に半笑いでおじぎしてくれる。子供は笑顔で軽く手を振ってくれる。
まるで街で見かけた地方タレントみたいな、細めのゆるキャラみたいな、そんな感じ?
うんうん、悪くない距離感だと思います!
その感触に満足しつつ、私は屋敷に戻っていった。
「そういえば」
「はい、何でしょうか」
「私はともかく、エッダちゃんって村だとどんな感じなのかな?」
私はシルヴィアちゃんに、エッダちゃんの様子を聞いてみた。
「きゅうけいさんに似ていますけど、エッダは元があまり怖くない上に種族としての付き合いもないわけじゃないですからね、大丈夫ですよ」
「そっか、よかった」
「ただ……」
ん……!? な、何かエッダちゃんにトラブルがっ!?
エッダちゃんのトラブルは、何よりも! 何よりも真っ先に解決したいっ!
「……その、可愛いからか、もしかしたら男子からちょっぴり……懸想といいますか……」
え?
「好意、寄せられてないかなーって思うことはあります。可憐だし、顔も性格もキツくないし、それにその……アレが」
「……ああ、えっと、うん……アレね。わかる」
「ですよね……」
……竜族全員と含めても、同身長帯では絶対お目にかかれない、不釣り合いなぷるんぷるんですよね……。
「なんであれだけ食べてお腹じゃなくて胸に全ての肉がいくんだろ……」
「不公平です……私もお姉様みたいなスタイルになりたい……」
シルヴィアちゃんと二人で、持たざる者同盟の絆を深め合った。
あ、でも仲間はずれってわけじゃないよもちろん!
「エッダちゃんに悪い虫がついたら、私がやっつけるからね!」
「もちろん、私も全力です! 里の男にはあの子は勿体ないというか、家柄もあって由緒正しいですからね! 最低でもアウグストさんぐらいの実力は欲しいです」
「……ちなみにアウグストさん、どんなステータスなの?」
「古竜でレベル2000ですね」
シルヴィアちゃん、分かってはいたけど最初から一人も許す気なかった。
「……そうだ、折角なので三人でどこか出ます?」
「三人でお出かけ! いいね!」
「よかった。もしかしたら断られて寝ちゃうかと思ってたので」
「もぉ〜、そんなに私だって四六時中寝っぱなしじゃないよ」
だって今日は、おひるごはん作る作業してなかったからね。朝食べてから昼食までずっと寝てたから、さすがにまだ眠くないよ!
……あれ? これって四六時中寝っぱなしなのでは……?
「じゃ、エッダを呼んで、姉様には書き置きしておきますね」
「あっうん」
ちょっと心ここにあらず返事をして、そしてエッダちゃんがやってきてから私たちはのんびりと外にでた。
シルヴィアちゃんが先導して向かった先は……なんと、冒険者ギルドだった。
「ステータスとか登録とか、魔導具で人間の社会と共通してるじゃないですか。だから私が人間の街に行っても対応してもらえるのはここで登録しているからなんですよ」
「知らなかった。はー、なるほどなー」
私が感心していると、シルヴィアちゃんが慣れた様子で受付に行く。
「久しぶりルフィナ」
「シルヴィアさん! 本当に久しぶりですね、ステータスの提示をお願いしても?」
「ええ。【ステータス】」
シルヴィアちゃんが対応する。レベル6176を見てにわかにざわつくギルド内部。ふっふっふ、すごいでしょうシルヴィアちゃんは。
なぜか私が自慢げ。
「きゅうけいさんはどうします?」
「私も登録できるの?」
「そりゃもちろん、出来ると思いますよ。っていうか出来なかったら私がギルドマスターを殴ります」
お、おおう……シルヴィアちゃんの後ろで、さっきのシルヴィアちゃんの村二番目らしいレベルを見た受付のかわいいルフィナおねーさんが顔面蒼白で気をつけしちゃってるよ。
「どうどう、そこまでしてもらわなくてもいいし、出来ても出来なくてもいいよー」
私は受付さんのところまで来る。シルヴィアちゃんが流れを先導して教えてくれるみたいだ。
「話は聞いていましたね、この魔族の方が今話題のきゅうけいさんです!」
「シルヴィアちゃん」
「……はい?」
「えっとね、火神です。一応きゅうけいさんだと無理だと思います」
「……す、すみませんでしたぁ……」
シルヴィアちゃん、すっかり言い慣れていたためか素で間違ってしまっていた。まあ私も、自己紹介で思いっきりきゅうけいさんって言いかけちゃったけどね!
そこではっとして、シルヴィアちゃんがギルドに通る声で喋った。
「そうだ、みんなも一応知ってると思うけど、この魔族は私の代え難い友人であり、とってもいい人であり、そして……食堂の料理をおいしくしてくれたご本人様だから、失礼のないように!」
「えっまじかよ! 最近すげえどこも味のレベル上がったの、その魔族のおかげなのか!?」
「うおーっ! きゅうけいさん! ありがとうきゅうけいさん!」
「今月入ってからビールの支出が上がりまくって大変だぜ! ありがとなきゅうけいさん!」
うおお……! やっぱりみんな、おいしいもの大好きですよね! いやーよかったよかった、やった甲斐あった!
歓迎ムードだ、ありがとうシルヴィアちゃん!
「どーも魔族のカガミです。みんなきゅうけいさんって呼んでるからそっちでいいですよ。えっとルフィナさん? ですよね。ステータスを見せればいいんですよね」
「はい、よろしくお願いします」
「それじゃあ……(レベルは隠した方がいいよね……【ハイドレベル:9999】)【ステータス】」
そして表示されるステータス。
———騒然となるギルド内部。
「9999!? えっ、ていうかベルフェゴール!? カガミ様は9999の魔王なのですか!?」
「あはは、一応そんな感じです。でも中身が全然その、どうもそういう魔族とかと全く合わなくて、人間の味方してます」
苦笑しながら頭ぽりぽり。
受付さんはぽかーんとしていたけど、慌てて登録に移ってくれた。立ち直り早い、優秀!
小さい声で、シルヴィアちゃんに声をかける。
「90Quadは隠した方がいいよね」
「そりゃまあ……変な研究をしたがる人が現れかねないですし……」
確かに、そういう人達にしつこく食い下がられたくはないっ!
「……エッダはどうする?」
「じゃあ……私も、いいですかね」
エッダちゃん、カウンターまで歩いて受付さんにステータスを見せた。
「ええっ!? ダークエルフの140、しかもファミリーネーム有りですか! あっすみません、見た目からはあまりに意外で……シルヴィア様のご友人、すごい方ですね」
「うう、見劣りしますぅ……」
「いえいえとんでもないっ! 正直こういう時ギルドって新人に絡む竜族もいるんですが、レベル見て完全に萎縮してますよ。レベル100でさえ竜族でも上位組ですからね」
「そ、そうなんですか?」
「むしろ二人が飛び抜けて高すぎるといいますか……」
うん、正直エッダちゃんはかわいそうすぎると思う。勇者パーティに加わっていたら一人で先頭に立って無双できるぐらい強いからねエッダちゃん。
「で、あたしたちパーティを暫定的に組みたいんですけれど、どうでしょうか」
「いいね! えっと、リーダーはシルヴィアちゃんでいい?」
「いやいや、ここはきゅうけいさんじゃないんですか?」
「レベルが高くて年上だからって、ベルフェゴールがリーダーとか務まると思う?」
シルヴィアちゃん、目を閉じてうーんうーんと唸って、小さく「そうですね……」と呟いた。
「受付さん、私がリーダーで、この三人でパーティを組みます。名前は……どうしましょう」
「はいはい! えっとね『異種族友の会』! 略して異種友!」
「あっ、いいですね。誰が聞いても私たちって分かります。エッダは?」
「はいっ、いいとおもいますぅ!」
そんなわけで、パーティを組んだ。魔王と古竜とダークエルフ! うーん、自分で言うのもなんだけど、濃いね!
「はい、登録完了しました。ソロのシルヴィアさんに合わせてSで登録しておきますね」
「ええルフィナ、ありがとう。それで今は何かある?」
「あるんですよ、難易度が高そうなものです。私からも声をかけようかなと思っていたところで」
「それは丁度いいわね。何かしら?」
初クエスト! 楽しみだね!
「この竜族の村のはずれに……ダンジョンが出来たようなんです」
「え、ダンジョン?」
「はい。モンスターのレベルも未知数なんですけど、安全を期してアウグストさんに向かっていただこうかなと思っていたところで」
アウグストさん、あの古竜の方だね。安全のためなら強い人に行ってもらうのが一番だ。
「なるほど、だったらここのメンバーならむしろもっと安全、だから全く問題ないわ」
「はい。それでどうでしょうか」
シルヴィアちゃんが、いい? って感じの目で見てくる。
私とエッダちゃんは目を合わせて頷く。そして、二人でシルヴィアちゃんに向かって了承の意を示した。
「オッケーよ」
「よかった! それではよろしくお願いします!」
こうして、私たち三人揃っての初めての共同クエストがスタートした!






