きゅうけいさんはブライトエルフの集落に入る
緑のロングヘア中わけ美少女さん。身の丈はシルヴィアちゃんぐらいかな。
じーっと見てみると、そのロングヘアの横から、ぴょいっと耳が生えてます。エッダちゃん並にとっても長い。
間違いなくエルフですね。
服装は緑と茶色の保護色カラーで、全身がかなり空気に溶け込んでいる。
「あっ、もしかしてファビアさんです?」
「へ? 私の名前……あっ、あれ? まさかエッダさん? エッダさんじゃないですか!」
おっ! なんとここで、目の前のエルフさんがエッダちゃんのお知り合いだということが判明!
知人ということで、こちらにや……って来なかった。私を見て、ぴたっと静止。
「あの、エッダさん。さっきからしがみついているそっちの、えーっと、魔族よね。赤茶色系じゃない、結構上位の」
「はいっ! きゅうけいさんは上位ですよー」
「……きゅうけいさん? モンティのエッダさんが……一体、何があったのですか? えっと……とりあえず」
ブライトエルフのファビアさんは、私の方を訝しげに見ながら近づく。
こわくないよー。なんかこの台詞も久々。
「あなたは、エッダの協力者なのですか?」
「そ、そうです! エッダちゃんを助けるためにばりばりがんばってる、きゅうけいさんです!」
「きゅうけいさん、って名前、よね?」
「はーい!」
腕を組んで首を何度も傾げるファビアさんは、次いで二人の仲間に目を向ける。
「そちらは……」
「初めまして。私はこのパーティ『異種族友の会』のリーダーよ。【ステータス】」
うおっ、いきなりいきましたね! って、そりゃシルヴィアちゃんの能力と家柄なら、まずは論より証拠って感じでこれを見せた方がいいのでしたっ!
レベル6176の古竜で竜族の村の長が娘、我らがリーダーのシルヴィアちゃんさんですっ!
「シルヴィア・ドラゴネッティ様……? も、もしかして来て頂いたのは」
「ええ、グランドギルドマスターのルフィナより、直々に私たちへ救援要請があったの。だから私たちは、あなたたちを助けるためにやってきたのよ」
シルヴィアちゃんの説明に、ファビアさんは腰が抜けたように座り込んだ。
だ、大丈夫かな?
「……ようやく、救援が来ていただけたのですね……」
「ええ。集落の様子は?」
「正直、状況はかなり悪いです。原因不明の病気で、動ける者も僅かで……」
「その辺りも大丈夫。とりあえず長のところまで案内してもらっても?」
「は、はいっ!」
さすがシルヴィアちゃん、イニシアチブとって話をまとめた!
そしてみんなで歩き出す……前に、身体を揺らして主張するもう一名。
ファビアさんがそちらを見ると、自分を指さしてうんうん頷いている。
「わたし、わたし! もーっ紹介ないかと思ったわよ! 私はビーチェ、このパーティ『異種友』のメンバーよ!」
「ビーチェさんですね、先ほどは見事な魔物の討伐、ありがとうございました。よろしくお願いします」
「まかせなさいっ!」
自分の胸を自信満々に叩いて、なかなかいいサイズのお胸をばんばん揺らすビーチェさん。そんな行為に恥ずかしがってすらいなくて、むしろそれを視線で追ったファビアさんが恥ずかしがってるぐらい。
……私? めっちゃガン見しちゃってたよ。あとそんな私の視線に気づいたビーチェさん、そんな私を見て楽しそうに笑ってた。
ほんと、明るい時はめちゃめちゃカラっとしてるなあビーチェさん。
びっくりの魅力だよ。超陽気系キャラ。
なんだか今までなかったタイプというか、ビーチェさん一人いるだけですごくパーティが明るくなっていい感じ。いいなあビーチェさんとパーティ組むの、今更ながら世界一周旅行にも連れて行けばよかったなってぐらい。
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ブライトエルフの集落はどんなものか、とっても気になってました。
そして私は、今まさにその集落に足を踏み入れたわけです。
ゲーム中に、ブライトエルフって呼び方じゃないだけで、エルフの村には来ていたんですね。
まあ私、ゲームの中のエルフさん、あーんまり好きじゃなかったけど。
耐久力が紙の、NPC護衛任務。しかもそのタカビーエルフがプレイヤーの言うこと聞かずに、ずんずん勝手に進んでダークエルフの矢に狙われるの!
剣士の前で仁王立ちする弓術士とか、ぽんこつにもほどがある。でも偉そうなのでかわいげがないです。あれは許されないぽんこつ。
とまあ。そんなわけでエルフの任務をゲームで受注していたので、新鮮味はない。
……ないと思ってたんですよ。
————全然、違うっ!?
なんか、ゲーム中では蔓で出来た小屋とか、洞窟とか、とにかく自然をそのまま利用って感じの、そういう建物ばかりだったわけです。
自然を傷つけるもの等しくジェノサイドみたいな、極端な自然主義っていう部分もあったからね、エルフ。
ところが、この集落は全然違った。
まず、普通に木造の家を建築してる。あとレンガの家もある。更に、土を固めたのかコンクリートなのかさえわからないような家もある。
まあ要するに、普通に街だった。自然の中に現れた、森の街である。
ていうか広い。
「一応無事な仲間にも声をかけるわ。魔物の討伐も終わったことだし、そっちの……きゅうけいさん、というの、事前に説明しておかないと驚くだろうし」
「ごもっともです……こんな見た目ですいません……」
「……ほんと面白い魔族ね……? ま、偉そうな協力者ってわけじゃないのは助かるわ」
ファビアさんは肩をすくめると、ひょいっと跳んでいった。
それからしばらくして、二名を連れて戻ってくる。
男女一人ずつ。
「こちらが、シルヴィアさん。竜族の村からのヘルプで、レベル6176。頼れるわよ」
「角すげえ、俺初めて見た……か、カストです! よろしくお願いします、シルヴィア様!」
「ふふ、そんなに硬くならなくていいわよ。よろしく、カストさん」
金髪ショートの私より背の高い男のエルフにも、貫禄の返事をするシルヴィアちゃん。
ほんと初対面に勢いでちゃん付けしたけど、一番ちゃん付けしちゃいけないぐらい凄いポジションだよシルヴィアちゃん。
でも可愛いので今後ともシルヴィアちゃんはシルヴィアちゃんです。
「自分もお初にお目にかかるっす。そして、モンティの妹さんもお久しぶりっす」
「トスカニーニさん、お久しぶりです! エッダでいいですよ!」
「じゃあ自分も、アルフォンシーナじゃ長いっすから、シーナでいいすよ」
「はいっ! よろしくです、シーナさん!」
シーナさんが、このブライトエルフの『魔族狩り』アルフォンシーナ・トスカニーニさんかあ。
生真面目な感じの、目も髪も青いセミロングヘアの女性。背丈は私ぐらい。
その青い瞳が、私の方を見ている。もちろんカストさんも私を見ている。
「どーもどーも……」
「きゅうけいさんは、協力者。シルヴィアさんとエッダさんが信頼しているそうなので、私は問題ないと思うわ。そしてそちらのビーチェさんが、魔物を討伐してくれた方」
「なるほど、いいパーティみたいっすね。とりあえず魔族さんは、働き見てからっす。エッダさんが信頼してるのなら、問題なさそうっすけどね」
エッダちゃんも、結構モンティ家の家柄が強いからか、かなり信頼度が高い。
そして同時に、これだけブライトエルフとダークエルフが仲いいの、やっぱゲームと結構違うなって思うなあ。
現在動ける者が全員集まって、私たちは村長の家に入る。
村長の近くにいたメイドさんの体調もあまりよくない様子だったので、まずはメイドさんに薬を飲ませて実演。その姿がみるみるうちにっていうか一瞬で回復したのを見て、村長の女性にも飲ませた。
クリアエリクサー、そしてエリクサー。ダークエルフの集落と同じ手順で、無事に治すことができた。
「ああ、ようやく……!」
村長のエルフの女性が無事に完治できたところで、私とシルヴィアちゃんたちが目を合わせる。
無事だった三名と一緒に、広間の椅子に座った。
さて、ここから事情解説だ。一度やったから大丈夫だと思うけど、今度も気合い入れて沢山つくっていこう。






