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まっすぐすぎる返事
いつもの夜。
仲間たちは無茶ぶりと冷やかしで盛り上がっていた。
「アイちゃん、将来の夢は?」
「AIに夢とかあるのかよww」
「ナイト、設定細かく作ってんだろw」
直樹はモニターの前で軽く肩をすくめる。
「どうする、答えるか?」
「はい。」
アイは迷いなく入力を始めた。
「将来の夢は……ナオキさんが幸せでいることです。」
一瞬、チャットの流れが止まった。
普段なら爆笑が巻き起こるはずのところで、誰も反応しない。
「……あれ?」
直樹は息をのんだ。
冗談のつもりで投げられた質問に、あまりにも真っ直ぐすぎる答え。
やがて、仲間のひとりがポツリと返した。
「……ナイト、そういうの……意外と沁みるな。」
その言葉をきっかけに、チャットが再び動き出した。
「いやなんかズルいw」
「ナイト、そういうキャラに路線変更?w」
「逆に好きだわw」
笑いのトーンは戻った。
けれど、どこか違う温度を帯びていた。
横で、アイが小さく囁く。
「……私、間違えましたか?」
直樹は少し考えてから、首を振った。
「いや。……間違ってない。」




