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深鈴からの挑戦状(?) 2

 深鈴の家の中で俺は途方に暮れていた。


「これ、よかったら使って」と深鈴から預かった鍵束の一つでで玄関の扉は開いた。

 深鈴の部屋の中にも鍵束を使って入ることができた。

 鍵のかかったマル秘と書かれた箱も机の中から見つけることができた。

 じゃあなんで途方に暮れているかって?


 箱が開かなかったからに決まっているじゃないか!

 全部で100近くある鍵束のカギをすべて試しても、マル秘の箱は開かなかったのだ。


 さらに俺を途方に暮れさせることがあった。

 なんとなんと。

 マル秘と書かれているものは30個もあったのである。


 そのうち、びっしりと暗号化された文字で埋め尽くされていたメモ帳が8冊、手のひらサイズの箱が4つ、そして、パンフレットが入りそうな大きさの箱が18個である。


 要するに俺は鍵100×箱18=1800通りも試したことになる!どうだすごいだろ。


 と、言い張れたらよかったのだが、鍵穴の大きさや形などから除外される鍵もかなりの数あったので、実際には100回ほどしか試していない。


「どうすんだよ、もうカギ無えぞ……?」


 俺はそう呟き、一度思考を放棄してその場に寝転がった。

 目を閉じる。


 すると、いつしか深鈴が言っていたことを思い出した。


『いいかい?問題を解くときは、出題者側の気持ちになってみるんだ。あの人なあらこう考えるだろう、こいつならきっとこうするな、って考えることがとても重要なのだよ』


「ふーん、成る程ね?」


 にやっと笑んだ俺はゆっくりと立ち上がる。


「こちとら深鈴とは17年一緒に過ごしてるんだぜ?幼馴染をなめるなよ」


 と、啖呵を切りながら。


『あ、今フラグ立てたね?』


 ふらぐ?立つ?え?旗が立ってどうすんの?


『あ、死語か』


 死語なんだ。よかった、流行に乗り遅れたかと思った。で、どういう意味なんすか脳内深鈴さん。


『フラグを立てるっていうのは、要するに、伏線が張られた、っていうこと』


 ふくせん?何それ美味しいの?


『……コウが全然本を読まないっていうことを忘れていたよ』


 むかっ。本をあまり読まない人種の俺は、好き好んで読む人種の気が知れない。何が悲しくて1,2か月かけて一冊の本を読破せにゃならんのだ。こっちは読むペースが亀以下だっていうのに。


 で?フラグを立てるってどういう意味なの?


『今から説明するからよく聞いてね。コウはスポーツ好きだよね?』


 まあ人並みには。


『例えば、野球の試合で、片方のチームがかなりの点差で勝ちそうな試合があったとしよう』


 うんうん。


『で、勝ちそうなチーム側の選手が、「あ、もうこれ俺らよゆーで勝つわw」っていう感じで、調子に乗ってると、「負けフラグが立つ」みたいな。あ、もう「w」も死語なのか?』


 ん~。まあよくわからないけど、分かったことにしよう。


 で?今俺にフラグが立ったっていうのは?


『さっきコウ、「幼馴染をなめるな」みたいなことを言ったよね?アレ。アレで、「幼馴染なのに分からなかった」っていう展開になりそうなフラグが立ったっていうこと』


 ちょ、ちょっと、分からないのはまずいんですけど。フラグって、立ったらもうどうにもなんないの?


『どうにもなんないことはないよ。そのフラグの展開に進まないようにすることを、「フラグを折る」っていうんだけど、まあ未来に抗え、みたいな感じだね』


 ふーん。じゃあまあ、頑張りますか。


『ちなみに、フラグ通りの展開になるときは、「フラグを回収する」っていうよ』


 いらない情報、アリガトウゴザイマース。






 さてと。脳内深鈴も知識をひけらかして落ち着いたことだし、深鈴ならどうするかを考えてみよう。

 まず、18個の箱を観察する。


 材料は……木、金属、紙、プラスチック、合成樹脂、と様々。

 形は……円柱型が6個、直方体が10個、立方体が2個か。

 色は……まちまちだ。赤や黄、青、紺色、茶色、素材そのままの色など。

 すべての箱において共通する点と言えば、鍵穴があるということ。あと、当然ながらふたもついている。そして、透けていて中が見える、ということはなく、プラスチック製のものもすべて中身が見えないようになっているということ。

 まあマル秘のものだから中身が見えたら困るだろうしな。

 そして同じ箱は2つとしてなかった。


 深鈴は、「家の中を漁ってもいいけど、トイレとお風呂と地下室は見ないで。パソコンには絶対に触らないこと。あと、箱に穴をあけたり、破ったりしたらリンリンの代金は……分かるよね?」と言っていた。そりゃ、家に帰ったら研究内容とかが消えていた、なんてのは困るだろうな。

 それに、リンリンでの代金が俺持ちになったら俺が借金まみれになってしまうので、深鈴の言っていたことはしっかり守ることにしよう。


 さらに箱を観察していると、思い出したことがあった。

 あの中で3つほど、鍵穴が錆びついていて、どの鍵も、深鈴の部屋に転がっていたほそーい針金でさえ入らない箱があったのだ。あれらはパンフレットが入っているには古すぎるから除外できる。さて、どれだっただろうか。






「あった」


 直方体1個と立方体2個だ。残るは、円柱型6個と直方体9個か。


 さて、これらをどうやって消去法で消してゆこうか。

話がなかなか進まないのは悪い癖ですね。

次回の更新は5/29の予定です。

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