表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
弥勒の拳  作者: 真桑瓜
47/94

立て込み



立て込み


一ヶ月が過ぎた。

その間黒田は、寺の仕事を精力的にこなした。

「今日から材の立て込みに入るよ。それが済んだらいよいよ火を入れるからね、心の準備はいいかい?」慈恵は黒田を促した。

「はい、覚悟はできています」黒田の顔は輝いている。

「じゃあ、まず細い材を窯の奥の方に立てる、窯の中央に行くほど太い材にするんだ。何事も丁寧にやるんだよ、慌てると失敗する」

「はい」

「その時、材の根っこのほうを上にして直立に立て込む。材と材の間に隙間の無いように立てるのが基本だよ」

「わかりました」

「それが終わったら、上木の積み込みだ」慈恵は次の工程の説明をした。

「上木?」

「細い枝木を窯の天井までぎっしりと詰め込む」

「いよいよ火を入れるのですね?」

「ああ、まだ予備乾燥の段階だけどね」

「楽しみだな」

「立て込みが終わったら教えるんだよ、口火を入れる前に見たいから」

「ラジャー!」

「クロちゃん、それやめろ。上官になった気分だ・・・」



黒田はまず細い材から立て込みを始めた。

「あれっ、どっちが根っこのほうだっけ?」

独り言を呟きながら、材を一本一本丁寧に立ててゆく。

次に中位の材を立てる。割った材は上下の判定が難しい。

「そうか、太いほうが根っこに近いよな。じゃあこちらが上だな」

なんとか太い材まで立て終わった。もうすぐ火入れだと思うとワクワクする。

「次は上木の積み上げだな。爺さんのノートには太い枝から積み上げ天井に向かって細くする、と書いてある」

狭い窯の中で、四苦八苦しながらやっと最後の上木を積み上げた。

「さあ、慈恵さんに報告に行こう!」

黒田が報告に行くと、慈恵は仕事の手を止めて窯の様子を見に来た。

「おっ!綺麗に立て込んでいるね、あと窯口の付近を密にしたら合格だ」

「ありがとうございます!」

「それが済んだら、台木に枯れ木や皮付きの燃材を横積みにするんだ、その上に囲炉裏から炭火を持って来て置いておけば点火する」

「火がついたらどうしますか?」

「十分に火がついたら太い材を乗せていく。あとは火を見ながら二、三日口焚きだ」

「口焚き?」

「予備乾燥のことだよ」

「火の勢いが強まったら、通風口と焚き口を残して窯口を塞ぐ」

「レンガと赤土が要りますね」

「レンガは窯の横にあるからね、赤土は修理の時に使ったから分かるだろう?」

「イエッサー!」

「だから、やめろって!」


黒田は、自分の性格がどんどん変化していくことに驚いていた。





評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ