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天才設計士の小劇場  作者: 滝神龍二
23/34

10/4 『透視』

☆★☆★


 斂侍電志れんじでんし:青みがかった黒の長髪に眼鏡の少年。鋭い目つきでよく怖がられる。超論理思考。


 倉朋愛佳くらともあいか:背中まで伸びた茶の髪に垂れ眉と切れ長の目を持つ少女。一人称はボク。感情の赴くままに生きる。


〈DDCF〉:宇宙戦闘機設計部でその名の通り設計士が集まる部署。室内は広大で、棚と机が雑多に並ぶ研究所風の空間。壁や天井は木目調で、床は靴音を吸収するカーペットが敷き詰められている。部屋の一角、宇宙がよく見える大窓の傍に電志と愛佳の机がある。


☆★☆★

〈DDCF〉は今日も平常運転。

 愛佳が作業の手を止めて話し出した。

「さあ電志、そろそろボクたちのトークショーの時間だ」

 それを受け電志も作業を中断し、応じる。

「ああもうそんな時間か」


「今日のブックマーク等は、変わりなしだね」

「おう、平穏だな」


「電志、個人フォルダーと買い物サイトのパスワードを使い回すのは危険だよ」

「俺が個人フォルダーと買い物サイトのパスワードを使い回しているのを知っている倉朋の方が危険に見えるんだが」

「ボクには透視能力がある」

「『盗』視能力だろ」

「まず、見られて駄目なものは見せちゃあいけないんだよ」

「暗黙の了解で見ないものもある」

「ボクには特別ルールが適用される」

「そんな特別な存在だったのか、知らなかった」

「言ってなかったからね」

「倉朋が悪いことする度にそのルールが増えていくの?」

「悪いことじゃない、良いことだよ」

「倉朋の中では良いことと悪いことがごっちゃになってるのか」

「悪いことをなくすには最適解だと思う」

「都合の良いやつだ。今日はこの辺で締めるか」

「そうだね、また明日!」

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