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第1話「執刀医の、最期の夜」

皆様、初めまして。

Nauraaナウラ Vesiベシ……こと、ベシさんです。

数ある作品の中から見つけていただき、本当にありがとうございます!


私は、仕事とサウナを愛しています。

「もし、医学知識を持つサウナ好きが異世界へ行ったら??」

という妄想(夢想)からこの物語が生まれました。


サウナへの愛を熱い蒸気と共にお伝えしますので、異世界での「ととのい」の旅をお楽しみください!

第1話「執刀医の、最期の夜」


俺は、脳外科医だ。


三杉整、四十六歳。独身——正確には、離婚済み。


子供なし。ペットなし。趣味はサウナ。


我ながら、寂しい自己紹介だ。


でも——まあ、これが俺だ。


  深夜二時の手術室。

  俺は今日も、誰かの頭を手術している。。


脳外科医というのは、世間のイメージほど格好いい仕事ではない。


激務だ。


土日も関係ない。夜中も関係ない。飯を食う時間もない。


「先生、次の患者が——」


「わかった。準備してくれ」


返事をしながら、手を動かす。


  俺の手は、今日何時間動いているんだ。

  数えるのをやめたのは、いつの頃からだったか。


妻が出ていったのは、三年前だ。


「あなたと話した記憶が、もうないのよ」


それだけ言って、彼女は荷物をまとめた。反論できなかった。事実だったから。


―――


  十年前のことを、たまに思い出す。


田中翔太。当時八歳。脳腫瘍。


中堅だった俺が、担当した。


ガムシャラだった。経験はあった。でも——諦めたくなかった。


「絶対に助けます」


そう言った。

翔太の両親に。


翔太に。


そして自分自身に。


手術は、十四時間かかった。腫瘍は取り除いた。技術的には——成功だった。


でも。翔太は、目を覚まさなかった。


植物状態。


  医学的には、成功。人間的には——失敗。


あの時の翔太の顔を、今でも覚えている。手術台に横たわる、小さな体。


「先生、翔太をよろしくお願いします」

両親が頭を下げた。俺は頷いた。


でも——守れなかった。


「田中翔太くんは、今もどこかの施設で眠っていると聞いています」


先日。同僚から聞いた。十年間。ずっと眠ったまま。


生きていたら——十八歳か。


  あの後悔が、俺を孤独な脳外科医にした。

  あの後悔が、今日も俺を手術室に立たせている。


―――


深夜三時。手術が終わった。廊下のベンチに座った。



「……疲れた」


声に出したら、余計に疲れた気がした。


売店で缶コーヒーを買った。ぬるかった。


  サウナに行きたい。


思った瞬間、体が動いていた。


病院から徒歩五分のサウナ。深夜でも開いている、ありがたい店だ。


俺の唯一の逃げ場だった。


いつも、一人で来ていた。


妻がいた頃も——一人で。


―――


でも。更衣室で着替えながら——気づいた。

あれ?体が、動かない。


  ……おかしい。


立ち上がろうとして、足に力が入らなかった。壁に手をついた。


頭が、ぐらりと揺れた。


  これは——


脳外科医として、即座に理解した。脳梗塞だ。


  俺が、脳梗塞か。

  笑えない話だ。


床に、膝をついた。視界が、白くなっていく。


倒れる瞬間、脳裏によぎったのは——サウナだった。


  なぜサウナ。

  四十六年生きてきて、最後に思い浮かぶのがサウナか。

  妻でも。翔太でも。手術でもなく。。

  サウナか。

  ……まあ、サウナしかないな。俺には。


でも——一つだけ。後悔がある。


いつも、一人だった。


誰かと一緒に、何かを分かち合いたかった。


そう——サウナの喜びを。


あの熱さを。あの水風呂を。あの外気浴の空を。


誰かと——一緒に、見たかった。


  ……整い(ととのい)たかった。

  誰かと。


意識が、遠くなっていく。


最後に見えたのは——木漏れ日だった。


サウナの露天スペースの、小さな窓から見えた、木漏れ日。


  ああ。

  綺麗だな。でも目の前が暗くなっていく。。。


―――


ハッ。目が覚めた時——世界が変わっていた。


―――


【次話予告】第2話「目覚めたら、女の子だった件——アルカナ学院・入学試験!」


皆様、Nauraaナウラ Vesiベシです。

ベシさんと呼んでください。

最後までお読みいただき、誠にありがとうございました。


この作品を「面白い」「続きが気になる」と思ってくださった方は、

ぜひページ下部にある【☆☆☆☆☆】をクリックして評価をいただけると嬉しいです。


皆様の応援が、異世界サウナ夢想の最大のモチベーションになります!

次回もぜひお楽しみに。

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