第62話 公式会談
王都の大広間は、豪華な装飾と重厚な雰囲気に包まれていた。
貴族、王族、外交官――各国の使節たちが並ぶ中、緊張感が漂う。
「さて、本日の議題について話を進めましょう」
高位貴族の声が響く。
その視線の先に――レインが立っていた。
「……?」
カレン、ミア、リリアも一緒だ。
だが、彼らの中で最も視線を集めているのは――やはりレインだった。
「……この男が、代表……?」
小声で、隣に座る外交官が呟く。
眉をひそめるその表情には、半信半疑と困惑が混じる。
レインは、いつも通りに軽く頭を傾げているだけ。
「よろしくお願いします」
言葉は淡く、声も小さい。
だが、そこには威圧感も焦りもない。
「……ふむ、なるほど」
相手は慎重に頷きながら、疑念を隠そうと必死だ。
目の前の“普通に見える青年”が、本当に王国代表なのか――。
議題が進む。
条約、協力関係、交易条件――次々と提示される内容にも、レインは落ち着いて応答する。
「それで結構です」「問題ありません」「確認しました」
一言一言は淡々としている。
だが、その軽やかな対応に、周囲の重圧はどこか薄れていく。
「……本当に、この男が……?」
小声が再び漏れる。
困惑は増すばかりだ。
周囲の貴族たちは互いに目を合わせ、息を呑む。
「……まさか」
ある者が、小さく唸る。
しかしレイン自身は、まったく気にしていない。
会議は淡々と進み、議題は着実に消化されていく。
だが、誰もが心のどこかで思っていた。
「この男――何者なのだ……?」
表情はいつも通り。
動作もいつも通り。
だがその存在感だけが、誰にも理解できないほど圧倒的だった。
会議が終わったころには、王都中の関係者が心の中で呟いていた。
「……この男に逆らえる者はいない……」
しかしレインは、ただ軽く肩をすくめる。
「では、次の議題に行きますか」
その淡々とした口調に、誰もが息を呑む――。




