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無能と追放された俺、実は全スキル所持の最強でした ~気づいてないけど周りが勝手に国を作ってくる~  作者: 南蛇井


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第61話 使者

「……ここが、報告の場所か」


男は立ち止まった。


門の前。


整然と並ぶ人の列。


整備された道。


絶えない往来。


「はい」


側近が答える。


「“新興拠点”とされる場所です」


「……」


男は、しばらく何も言わなかった。


「……新興、か」


その言葉は、どこか引っかかる。


「入るぞ」


門をくぐる。


「いらっしゃいませ!」


明るい声が飛ぶ。


「……」


一瞬だけ足が止まり――


「……普通だな」


そう言って歩き出す。


だが。


数歩進んだところで、止まる。


「……いや」


視線が動く。


建物。


配置。


人の動き。


「……普通じゃない」


「はい」


側近も小さく頷く。


「すべてが“整いすぎています”」


「……ああ」


歩く。


市場へ。


「いらっしゃい!」


「安いぞ!」


「品質保証する!」


活気。


「……量が多い」


「はい」


「質も高い」


「はい」


「……」


男は小さく息を吐く。


「一つの街ではない」


「はい」


「流れができている」


「……経済圏か」


「その認識で問題ありません」


「……」


さらに進む。


訓練場。


「……止まれ」


足が止まる。


「……あれは何だ」


「住民です」


「……」


沈黙。


「……冗談はよせ」


「事実です」


「……」


じっと見る。


動き。


間合い。


気配。


「……」


「……騎士団レベルだな」


「はい」


「それが」


視線を広げる。


「……複数いるのか」


「はい」


「……」


言葉が消える。


さらに進む。


食事処。


「……」


一口。


「……」


沈黙。


「……なんだ、これは」


「日常の食事です」


「……」


視線が揺れる。


「……ここに住む理由が、分かるな」


「はい」


最後に。


広場。


人が集まり、笑っている。


「……」


しばらく見て――


男は、ゆっくりと言った。


「……報告以上だ」


「はい」


「控えめすぎる」


「同意します」


「……これは」


言葉を選ぶ。


「“管理対象”ではないな」


「……」


「“判断対象”だ」


「は」


その時。


「何かありましたか?」


声がかかる。


振り向く。


レイン。


「……」


男は、しばらく見つめる。


「……お前が、ここを?」


「はい」


「……」


沈黙。


そして。


「……理解不能だ」


「そうですか?」


「そうだ」


「……」


一拍。


男は静かに言った。


「だが」


「価値は、分かる」


「……」


「だから来た」


空気が、少しだけ変わる。

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