マルゲール王国の国王と王太子の会話
少し短めです。
もう1話、本日投稿予定です。
よろしくお願いしますm(__)m
「父上、ファイザバード公爵はやっぱり来ませんでしたね。それにしても息子までイカレテいるなんて。見ましたか、父上!自分の妻を鎖で繋いでいるのですよ!あり得ないでしょう」
鼻息荒くして怒る王太子。
「ブレイル!お前は何を考えているのだ。確かに私は昔、マリアンヌを愛していた。でも彼女とは、もう終わったことだ。現にお前の母親と結婚して、お前と弟のダイールが生れたんだろう。私は今でも亡くなったお前たちの母親を愛している」
「そうは言っても、いつもダニエラの叔父上が話しているじゃありませんか!ファイザバード公爵が、父上から汚い手を使って王女様を奪った。もし父上と王女様が結婚していれば、父上はもっと幸せになれたってね」
「ダニエラか!お前に余計な事を吹き込んだのは!そもそも、もうずいぶん昔の話だ。私はもう何とも思っていないよ。とにかく、これ以上相手国に失礼な態度を取るのは止めなさい。いいな!」
王太子を強めに注意する国王。
「わかりました。父上の昔の事は水に流しましょう。でも、ファイザバード公爵令息に関しては、口を挟ませてください。あんな他国を招き入れる場で、妻の腕に鎖を付けるだなんて、完全に狂っています。それに、あの怯えよう。もしかしたら、普段からかなり酷い事をしているのかもしれません!」
そうだ、そうに決まっている。そう呟く王太子。
「たとえそうだとしても、私達他国の人間が口を挟む事ではない。ブレイル、お前もいつかは国をしょって立たなければいけない。いいかい、自分の感情で動くな。常に冷静な判断を持つんだ」
必死に王太子に語り掛ける国王。
「それにしても、あの男の奥さん。とても奇麗だったな。あの怯えた顔もたまらなく美しかった。きっと笑ったら、もっと美しいのだろうな。確か名前は、アンネリカと言っていたな。そうだ、僕がアンネリカをあの男から助けてあげよう。僕は王太子だ!マルゲール王国にさえ連れて帰れば、きっとアンネリカは僕のものだ」
名案だと言わんばかりに、満面の笑みを浮かべる王太子。
「ブレイル!何を恐ろしい事を考えているんだ。相手はあのファイザバード公爵家だぞ。お前はあの家の恐ろしさを知らないから、そんな呑気な事が言えるんだ。いいか、そんな馬鹿な考えは捨てろ!そもそも、他国の公爵家の妻を自分のものにしようなんて、外道のすることだ!」
国王に叱責され、考え込む王太子。
(ここはとりあえず、父上の言う事を聞いといた方がよさそうだな)
「冗談ですよ父上。さすがに僕も、他国の公爵家の妻を無理やり手に入れようなんて馬鹿な事、本気で考えていませんから、安心してください」
「それなら良いのだが。とにかく、ふざけた考えは捨てる事だ!いいな!」
「はいはい、分かっていますよ。それじゃあ、僕はもう寝ますね。おやすみなさい」
そう言うと、王太子は王宮から準備された客室へと向かった。
アンネリカ、大丈夫だよ。君は僕が必ず助けてあげるからね。




