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好きな人の恋人役になったらいつの間にか囚われていました  作者: Karamimi
番外編:新婚生活&結婚式

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マルゲール王国の王太子は嫌な奴だった~ディラン視点~

しばらく馬車を走らせると、王宮が見えて来た。


「ディラン様、マルゲール王国の国王陛下は、一体どんな人なのでしょうね?」


どうやらアンネリカも、母上が愛した男が気になるようだ。


「俺もよく知らないが、物凄くやり手だと聞いているよ。今の国王になってから、随分国も潤った様だし」


俺の言葉に目を丸くして聞いているアンネリカ。話をしている間に、王宮に着いた。降りようとするアンネリカを掴み、もう一度俺の膝に座らせる。


「分かっていると思うが、俺から絶対に離れない事!いいね」


これだけはしっかり守らせないといけないから、目を見てはっきりと告げた。もちろん、俺のポケットには鎖が入っており、それをチラつかせる。


「はい、大丈夫ですわ!」


鎖を見た瞬間、青ざめるアンネリカ。どうやら、余程鎖で繋がれるのが嫌な様だ。よし、しっかり言い聞かせたし、そろそろ馬車を降りるか。


アンネリカの手を取り馬車を降りると、王太子たちが待つ部屋へと案内された。


「よく来てくれたね。まだマルゲール王国の王族が到着するまで少し時間がある。ここでお茶でも飲んでいてくれ」


陛下に促され、俺とアンネリカも席に着く。近くには憎き王妃もいるから、厳重警戒で行かないと!


そうだ、念のため鎖を付けておこう。ポケットから鎖を取り出し、アンネリカの腕に付けた。


「ディラン様、どうして!」


抗議の声を上げたアンネリカに向かって、優しく語り掛けた。


「すぐ側に王妃が居るからね。いつアンネリカを連れ去られるかわからないから、ここに居る間は鎖で繋がせてもらうよ」


そう、あの女が居る限り、この場所は危険でしかない。


「ちょっと、ディラン。さすがに今日はアンネリカちゃんを連れて行かないわよ。可哀そうだから鎖を外してあげなさい!」


王妃が抗議の声を上げるが、もちろん聞くつもりはない。


「前科持ちの分際で、よくぬけぬけとそんな事が言えますね。俺はあなたをこれっぽっちも信用していませんから」


はっきりそう告げてやった。


それでも何だかんだで王妃とアンネリカ、メルダシア王女は楽しそうに話していた。どうやら王太子も警戒している様で、しっかりメルダシア王女の腰を掴んでいる。


コンコン

「皆様、そろそろ到着されるとの連絡が入りました。門までお越しください」


陛下の専属執事が呼びに来た。


「それじゃあ、行こうか」


みんなで門まで行こうと思ったのだが、なぜか動こうとしないアンネリカ。


「ディラン様、あの、この鎖を外していただけますか?」


そうだった、鎖を外さないと。あれ?鍵が無い、どうやら忘れて来てしまった様だ。仕方ない。このままにしておくか。幸い袖の長いドレスを着ているから、あまり目立たないだろう。


「アンネリカ、すまない。鍵を忘れて来てしまった。今日1日、鎖付きで過ごしてくれ」


「そんな…」


俺の言葉を聞き、明らかに動揺するアンネリカ。


「もう、何やっているのよディラン!大体あなたはすぐにアンネリカちゃんを鎖で繋ごうとするから、こんな事になるのよ!」


隣でワーワー怒っている王妃。煩わしい事この上ない。


「落ち着け、鍵が無いなら仕方ないだろう。大丈夫だ。向こうの国王は、公爵の性格を誰よりも分かっている。鎖を見たところで、きっと息子も公爵に似たのだなっと思うぐらいだ。とにかく行こう」



陛下が王妃をなだめているが、あまりフォローになっていない。王太子とメルダシア王女が、俺を残念なものを見る目で見ている。クソ、どいつもこいつも!


明らかに泣きそうなアンネリカを連れて、門までやって来た。しばらく待っていると、マルゲール王国の紋章を付けた馬車が、こちらにやって来て門の前で止まった。


ゆっくりドアが開き、中から出て来たのは…


あれ?


まさかこの男が、母上が愛した男なのか?


馬車から降りて来たのは、小太りのどこにでもいそうなオヤジだった!はっきり言って、お世辞にもカッコいいとは言えない。母上はもしかすると、男の趣味が少し変わっているのかもしれないな。


そして奥から、これまた小太りの若い男性が出て来た。どうやら息子の様だ。こいつらを見ていると、アンネリカの元結婚相手を思い出す。


アンネリカも同じ事を思ったのか、真っ青な顔をしてギューッと俺にしがみついている。どうやらアンネリカは、太った男性が苦手な様だ。


「よくいらっしゃいました。マルゲール王国の国王陛下、王太子殿下」


「こちらこそ、お招きいただきありがとうございます」


「さあ、立ち話も何ですので、こちらへどうぞ」


陛下と王妃に案内され、小太り2人は王宮内に入って行った。


「僕たちも行こうか」


王太子の言葉で、俺たち4人も後を付いて行く。


「それにしても、マルゲール王国の王族は皆ふくよかなんだね。びっくりしたよ」


王太子がクスクス笑っている。明らかに失礼だろう。


「それは思っていても言わない方がいい!さすがに失礼だ!」


「それにしても君の奥さんは、ふくよかな男性が苦手なのかい?明らかに怯えていたね。そう言えば、元結婚相手もふくよかだったな」


こいつ、そんな事まで見ていたのか!


「そうみたいだな。だからあの王族を、出来るだけアンネリカには近づけたくはない」


「それは僕も同じだよ。メルダシアは美しいからね」


そんな話をしていると、どうやら部屋に着いたようだ。執事の指示に従い、それぞれ席に着く。もちろん、俺はアンネリカの隣だ。


「遠路はるばる、ようこそ我がアイランド王国にいらしてくださいました。こちらが妻のミランダです。その隣が息子のグレイソンと婚約者のメルダシア、そしてその隣がファイザバード公爵家の嫡男、ディランと妻のアンネリカでございます」


陛下がまとめて自己紹介してくれた。


「君がファイザバード公爵家の嫡男か。父上にそっくりだね」


そう言うと、にっこり微笑んだマルゲール王国の国王。俺はお前の愛する女性を奪った男の子供なのに、何でそんな穏やかな顔をしていられるんだ?


「父上。あの男が父上から恋人を奪った男の子供ですか!」


そう叫んだのは、隣に居た王太子だ。さすがにみんな目を丸くして驚いている。


「コラ、ブレイル。なんて事を言うんだ!申し訳ございません。ファイザバード公爵令息殿。息子がとんだ失礼な事を申しまして!」


深々と頭を下げる国王。


「だって本当の事だろう?この男の父親のせいで、父上は好きな女性と結婚できなかったんだろう?」


「コラ、止めなさい。本当に申し訳ございません。こいつは小さい頃母親を亡くしたこともあり、少し甘やかして育ててしまいまして。本当に、お恥ずかしい限りです」


なるほど、国王自体は優秀ではあるが、息子はバカという事か。


「とにかく、お茶にしましょう。せっかく遠くから来て頂いたのですものね」


王妃が何とかその場を収め、今後の貿易などについて話し始めた。


ん?あのデブ王太子、アンネリカを見つめていないか?物凄く嫌な予感がするのだが…


その時だった


「ねえ、そんなつまらない話はもういいよ。僕、庭が見たいな!そうだ、父上から恋人を奪った男の息子の奥さん。僕に王宮の庭を案内してくれないかい?」


さすがの俺もこの言葉には切れた。


「王太子殿下。失礼ですが、アンネリカは私の妻にございます。軽々しく人妻を誘うのは、いかがなものかと」


「別にいいじゃないか!さあ、行こう」


無理やりアンネリカを連れて行こうとする、デブ王太子。


「嫌です!離して!」


そんなデブ王太子を振り払い、俺にしがみついて来たアンネリカ。明らかに怯えている。


「君、手に鎖を付けられているじゃないか!やはり噂通りの男だったね。もう大丈夫だよ。僕が守ってあげるから。さあ、こっちにおいで」


こいつ、何を言っているんだ。明らかにアンネリカが怯えているだろう。


「いい加減にしないか、ブレイル!本当に、息子が申し訳ございません」


深々と頭を下げる国王。謝られたって許すものか!


「申し訳ございませんが、妻の顔色が良くありませんので、本日は先に失礼いたします!」



そう言うと、震えるアンネリカを抱きかかえた。


「そうね、アンネリカちゃんの顔色が明らかに悪いわ。今日はもう帰りなさい」


王妃から許可も下りたので、さっさと部屋を出て馬車へと向かう。クソ、あのデブ王太子。一体どういうつもりだ!怒りに震えながら、馬車に乗り込むディランであった。



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