表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
好きな人の恋人役になったらいつの間にか囚われていました  作者: Karamimi
本編

この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

10/88

アンネリカに抱くこの気持ちは一体何なんだろう~ディラン視点~

タイトル変更しました。

新タイトル「1年後隣国に嫁ぐ貧乏令嬢ですが、いつの間にか恋人役のヤンデレ公爵令息に溺愛されていました」

カサンドラと話をした後、1人家路についた。そもそも、なぜ俺はカサンドラが好きなんだろう。


思い返してみれば、俺は公爵家の嫡男だ。子供の頃からチヤホヤされて育った。もちろん、女共も皆俺に猫なで声ですり寄って来る。どいつもこいつも、俺を見ている訳ではなく、公爵家の嫡男という俺を見ているのだろう。


俺と結婚すれば、一生安泰だもんな。正直、女なんてうざいだけだ。豪華な衣装に身を包み、やれ「このドレスはどこで買いましたの」「これは最新デザインですの」と、見栄ばかり張っている。


正直どんなドレスでも、俺には大して違い何て分からない。学院に入ってからも、クラスの令嬢からすり寄られて、本当にウザかった。そんな中、俺に見向きもしなかったのが、カサンドラだ。


それどころか、俺の事を他の人と同じように扱ってくれた。さらに俺にも普通に我が儘を言う。そんな特別扱いしないところに、猛烈に惹かれていった。まあ、よく考えればカサンドラは俺より身分の高い王太子の婚約者なのだから、それが普通だろう。


そして1年前、念願かないカサンドラと付き合うことになった。彼女は意外に甘えん坊で、よく俺におねだりをしてきた。それが嬉しくて、何でも買い与えていたな。


けれど…

アンネリカに出会ってから、彼女とカサンドラをどうしても比べてしまう。俺の為に嬉しそうにお弁当を作って来るアンネリカに対し、カサンドラから俺に何かしてくれた事があっただろうか…


ああ、またくだらないことを考えてしまった!きっとカサンドラと離れているせいだろう。また以前のようにカサンドラと過ごせば、気持ちも戻っていくはずだ。


そう思っていたのだが…

アンネリカと過ごしていくうちに、いつの間にかもっと彼女の事が知りたい、もっと一緒に居たいという思いが次第に強くなっていく。


でも、彼女の事を調べれば俺はもう後へは戻れなくなる。とにかく、今はもっともっとアンネリカと一緒に居て、王太子を完全に油断させることが大切だ。そう思い、俺は放課後アンネリカをお茶に誘うようになった。


嬉しそうにお茶を飲むアンネリカに、やはり心の奥に温かい感情が生まれる。いや、この感情は気のせいだ!そう自分に言い聞かせ続けた。



そんなある日の事。

「お前最近物凄く楽しそうだな。アンネリカ嬢の事好きになったとか?」

マルクスがニヤニヤしながら話しかけて来た。


「別にそんなんじゃない」

そう、決して俺はアンネリカを好きな訳ではない。俺が好きなのはカサンドラだ!


「ふ~ん、そう言えば、王太子の奴完全にお前とアンネリカ嬢の事を信じているぜ。このままいけば、前みたいにカサンドラ嬢と一緒に過ごせるんじゃないか?」

カサンドラと一緒に過ごせる?


「何だよ、嬉しくないのかよ!あんなにカサンドラカサンドラって言っていたのに。それともやっぱり…」


「うるさい!嬉しいに決まっているだろう。俺はカサンドラを誰よりも愛しているんだ」


そうだ、そうに決まっている。俺が愛しているのは、カサンドラだ!


「わかったよ。そう怒るなって!そう言えば、アンネリカ嬢と契約を結んで3ヶ月経つな。せっかくだから、街に出て買い物にでも連れて行ってやったらどうだ?あんなにお前に協力してくれているんだ。何か買ってやっても、バチは当たらないだろう」


確かにマルクスの言う通りだ。2ヶ月前にハンドクリームを渡して以来、何もしていない。俺は公爵家の人間だ。世話になった人に礼をするのは当然だよな。


早速次の日の休みに出掛けようと、アンネリカを誘った。最初は渋っていたアンネリカも、恋人役の一環だと言ったら納得してくれた。


アンネリカと初めてのお出かけか!楽しみだな。せっかくだからアンネリカの欲しがる物をすべて買ってやろう!

早く週末にならないかな。こんなに週末を待ち遠しいと感じたのは、いつぶりだろう。


そして、待ちに待った週末。伯爵家に迎えに行くと、既にアンネリカは外で待っていた。


初めてみるアンネリカの私服姿。黄色のシンプルなワンピースがとてもよく似合っている。それに、いつもくすみかかっていたピンクの髪も、今日はツヤが出ていて奇麗に整えられていた。


元々整った顔をしているアンネリカだが、今日は特に美しくて、つい固まってしまった。俺はいつもの様に、「可愛いね」と伝えた。


すると、アンネリカは嬉しそうに「ディラン様も素敵ですよ」と言ってくれた。きっと社交辞令だろう。分かっているが、褒められると嬉しいものだ。



挨拶はこのくらいにして、早速アンネリカをエスコートし、馬車に乗り込む。俺は当然のようにアンネリカの隣に座った。今日は格別にいい香りがするな。2人でいる時は、恋人のフリをするのがルールだ。俺はアンネリカの腰に手を回す。するとアンネリカがすり寄ってきた。


無意識に頭を撫でると、サラサラの髪が気持ちいい。ずっとこうして居たい、でもあっという間に目的地に着いてしまった。


よし、とにかく今日はアンネリカの欲しいものを片っ端から買いあさろうと思って居たのだが、なぜか俺のものを買う羽目になった。気を取り直して、次に向かった店は、カサンドラによく連れて行かれる店だ。


ここの店員はとても親切で、押しが強い。きっとアンネリカも店員に圧倒されて何か購入するだろう。そう思っていたのだが…


最悪だ…

まさかアンネリカをメイドと勘違いするなんて、なんて店だ!もう二度と行くものか!

そう言えば、今日のアンネリカ、あんまり楽しそうじゃないな。俺はただ、アンネリカに楽しく買い物をして欲しかっただけなのに…


そんな俺を見て、気を使ってくれたアンネリカが、自分がよく行くお店を紹介してくれた。

連れられてきた場所は、どうやら大きな市場の様だ。あまり庶民が来る場所には来た事が無かった為、俺にとってはものすごく新鮮だ。


アンネリカも元気になり、お昼ご飯を済ませ、アンネリカお気に入りのお店に行った。それにしても、どいつもこいつもアンネリカを見つめやがって。


なぜこんなに視線を集めているのに、当の本人は気づかないんだ!いくら何でも鈍すぎるだろう。


俺がイライラしているのに気づかないアンネリカ。お気に入りの店に着くと、嬉しそうに店内に入っていた。そっと近くにあったネックレスに手を伸ばしてみた。


嘘だろ、このネックレス5ディールだって?安すぎるだろう。こっちは6ディール、何なんだこの店は。さっき食事をした店も30ディールだったし。庶民の店はこんなに安いのか!


俺が値段に驚愕している間も、嬉しそうに商品を手に取るアンネリカ。つい、「ここのお店の商品をすべて買おうか?」と言ってしまった。


目を丸くするアンネリカ。あれ?結構本気だったんだけれどな…


結局5ディールのネックレスのみを選んだアンネリカ。「本当にこれだけでいいのか?」と、何度も聞き返してしまったほど衝撃を受けた。


いつもカサンドラと買い物に行く時は、最低でも50,000ディール、多いと100,000ディール使うこともある。もちろん、カサンドラにとっては当たり前のことで、最近ではお礼すら言わなくなった。


それなのにアンネリカは、5ディールのネックレスを嬉しそうに首から下げて、何度も俺に頭を下げてくる。

きっと彼女にとっては値段ではないのだろう。こうやって誰かにプレゼントしてもらえる事に、喜びを感じているのかもしれない。


その後も色々な店を見て回ったが、アンネリカが俺に何かをねだってくることは一度もなかった。それにしてもよく似合っているな。次は本物の宝石をプレゼントしよう。やっぱりアンネリカの瞳の色と同じ、エメラルドがいいな。


楽しい時間はあっという間に過ぎるものだ、もう帰る時間になり再び馬車に乗り込む。


「今日は本当に楽しかったです。ありがとうございました」

アンネリカが再び俺に礼を言って来た。俺ももちろん礼を言い、また2人で出かけようと伝えた。正直、今まで何度もカサンドラの買い物に付き合わされたが、こんなに楽しかった買い物は生まれて初めてだ。


アンネリカが気を使うから、これからはアンネリカが行きたいところに連れて行こう。いや、でもアンネリカにもっといい物を身に着けて欲しい。やっぱり、いつも俺が行くところの店で買い物をするのもいいかもしれない。


そんな事を考えていると、肩に重みを感じる。見ると疲れたのか、アンネリカが俺にもたれて眠っていた。


初めてじっくり彼女の顔を見る。長いまつげにすっと伸びた鼻、ぽってりとした美しい唇、アンネリカはやっぱり奇麗だ…


俺は無意識に、眠るアンネリカの唇に自分の唇を重ねた。柔らかくて温かい…

初めての感触に体中の血が沸き立つような、そんな快感に襲われる。ぺろりと舐めると、くすぐったかったのか、顔をそむけてしまった。


アンネリカ…俺に背を向けないでくれ…

もう一度俺の方を無理やり向き直させる。


「う~ん」

しまった、起してしまったか?

そう思ったが、アンネリカは眠ったままだ。


再びアンネリカの唇に自分の唇を重ねた。このまま、家に連れて帰りたい。このまま誰の目にも触れさせず、どこかに閉じ込めておきたい。


今まで感じた事のない黒い感情が溢れ出す。その時、馬車が止まった。どうやら伯爵家に着いたようだ。


俺は一体何を考えていたんだ!アンネリカはただの協力者だ!とにかく、アンネリカを返さないと…


まだ眠たそうなアンネリカを起し、家へと送り届ける。


俺の中で眠る、どす黒い気持ちが目覚めようとしている事を、この時の俺はまだ気づいてはいなかった。


アンネリカへの気持ちに、やっと気づいた(と言うより認めた)ディラン。これから徐々に本領発揮していく予定です。


※次回もディラン視点です。

よろしくお願いしますm(__)m

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ