第18話(新藤美咲)「丁寧のカースト制度」
今日は新藤さんです。
社内・外の敬語の難しさです。
美咲は応接室に呼ばれた。
見知らぬ人物がいる。
課長が言った。
「新藤さん、こちら取引先の会社の担当さんだから挨拶して」
美咲は笑顔を作った。
(名刺交換。目線。お辞儀の角度。会社名、復唱)
来客と名刺交換。
「△△社の□□様ですね」
ここまでは無事。
ところが課長が続けて、さらっと言った。
「あと、うちの部長も来るから」
美咲の緊張が一段上がる。
部長。偉い。間違えられない。
そこへ、部長が入室した。
課長が紹介する。
「当社の部長です」
美咲は反射で頭を下げ、言った。
「部長様、お世話になっております!」
言った瞬間、室内が凍りついた。
“部長様”。
自社の役職に様をつけた二重敬語。
さらに、社外の人の前で、身内を一番上に持ち上げてしまった。
来客が目を丸くする。
部長が少しだけ口元を緩め、来客に向かって言った。
「……申し訳ありません。うちの新人、
私を一番のお客様だと思っているようで」
来客が吹き出し、場が和んだ。
美咲は顔が燃えた。
赤い顔のまま小さく頷いて、やっと言えた。
「……失礼いたしました、部長」
席に着く際、課長が小声で囁く。
「新藤さん。外の人がいる時は、身内に敬語は無しね。
社員は“丁寧にしない”が正解」
部長は笑っていたが、それは”次は頑張れ”という親の目だった。
美咲は、応接が終わっても、頬が熱いままだった。
丁寧のカースト制度。
それが存在することを、美咲は初めて知った。
(つづく)
敬語、特に社内・外の区分けは、最初壁です。
脳内逆転現象が起こってしまい、色々と混乱します。
私も随分恥をかきましたし、
相手の会社でも時々見ましたwww




