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新入社員・田中君と新藤さん(短編連作)  作者: 遠藤 世羅須


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19/19

第18話(新藤美咲)「丁寧のカースト制度」

今日は新藤さんです。

社内・外の敬語の難しさです。

美咲は応接室に呼ばれた。

見知らぬ人物がいる。

課長が言った。

「新藤さん、こちら取引先の会社の担当さんだから挨拶して」


美咲は笑顔を作った。

(名刺交換。目線。お辞儀の角度。会社名、復唱)


来客と名刺交換。

「△△社の□□様ですね」

ここまでは無事。


ところが課長が続けて、さらっと言った。

「あと、うちの部長も来るから」


美咲の緊張が一段上がる。

部長。偉い。間違えられない。


そこへ、部長が入室した。


課長が紹介する。

「当社の部長です」

美咲は反射で頭を下げ、言った。


「部長様、お世話になっております!」


言った瞬間、室内が凍りついた。

“部長様”。

自社の役職に様をつけた二重敬語。

さらに、社外の人の前で、身内を一番上に持ち上げてしまった。


来客が目を丸くする。

部長が少しだけ口元を緩め、来客に向かって言った。

「……申し訳ありません。うちの新人、

 私を一番のお客様だと思っているようで」

来客が吹き出し、場が和んだ。


美咲は顔が燃えた。


赤い顔のまま小さく頷いて、やっと言えた。

「……失礼いたしました、部長」


席に着く際、課長が小声で囁く。

「新藤さん。外の人がいる時は、身内に敬語は無しね。

 社員は“丁寧にしない”が正解」


部長は笑っていたが、それは”次は頑張れ”という親の目だった。


美咲は、応接が終わっても、頬が熱いままだった。


丁寧のカースト制度。

それが存在することを、美咲は初めて知った。


挿絵(By みてみん)


(つづく)

敬語、特に社内・外の区分けは、最初壁です。

脳内逆転現象が起こってしまい、色々と混乱します。

私も随分恥をかきましたし、

相手の会社でも時々見ましたwww

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