06:将棋艦隊
「なんだよ、そのメンテ入れられなくなったって」
「簡単な話IDLEゲームってさ、プレイ時間の長さも一つの勲章なんだけれど
修正アップデートの際には対局中の勝負が強制中断されて、正常保存されず
対局前に巻き戻しをされちゃうわけねー」
新しく情報ウィンドウが表示され、そこには対局開始から1224日と記載されている。
「飛車のランカースキルに将棋艦隊ってのがあって、
ややRTSじみた挙動の、外部乱入可能な将棋を模した大規模戦が出来るスキルでね。
飛車のランカーを取るようなプレイヤーなので、育成も極まってるし
何より減った駒の補充も早い。」
飛車ランカースキル「将棋艦隊」
運営曰く、コンテンツの一つとして実装する予定だったが
限定テスト的な意味合いでランカースキルに設定したのが間違いだった。と
特殊なフィールドを展開し、
育成状況に応じて設定された育成スコアで殴りあう
戦力や持ち駒 (ストック)によって、フィールド上での駒が決まり
育成の極まった廃人同士のバトルフィールドとも呼ばれる。
一番の特徴は途中乱入可能であり、
プレイヤーは自分の駒を動かし相手を攻撃するのだが
育成スコアによる殴り合いというのが問題で、
本来なら自分が進み相手の駒を取れるはずが
相手が強い場合は、返り討ちに合ってしまう所だ。
特殊盤上に誰もいなければ良いのだが
スキルの発動者である飛車のランカーと、
討伐を狙う角のランカーが居座ってしまったため
対局が終わることなく続き、
毎日小競り合いと言う名のスコア稼ぎが続いていたりする。
増え続ける戦力から、別動の駒を作り守りも固めているため
相手の離席中に仕掛けようとも削り切れなかったり突破が難しかったりと
長い事膠着状態になっている。
「以前にどうしてもスキルを取り上げたい運営が
対局の終結をもくろんで将棋艦隊参加でのスコアにボーナスを入れてねー
大量のプレイヤーが参加したんだけども
全然削り切れなかったりだよー」
運営は飛車ランカーの将棋艦隊が終わり次第
新コンテンツとして将棋艦隊と新ランカースキルの実装をアナウンスしている。
「あの硬さは絶対おかしいでしょー
僕の火力で歩3枚しか抜けないって
相性の悪い銀に当たったら、抜けるかどうか」
「将棋艦隊の事はまだ見てないのでよくわからないけど、
どれくらい育成すれば、そこそこ遊べるようになる?」
「何人かで組んで勝つつもりなら、2年は育成必要ー
あるいは歩のランカースキルを取ってようやく舞台に立てる感じかな
ソロで勝つのは無理じゃないかなー
参加するならランクマッチ解放で、プレイヤー検索出来るからそこからー」
「よし、将棋艦隊は頭の片隅に追いやっとこう」
「今はそれがいいかもねー」
「でも、まずランクマッチ解放か」
最初のアレ以来、何度か挑戦してみたが
・相手の王の真正面に居ると死ぬ
・一手目で自分の王を逃がすが、縦軸を合わせるように相手の王が追ってくる
そんな感じで、縦軸を合わせなければ生きられるが
最終的に飛車か角に引っかかって死ぬ。
「じゃぁヒントー!銀のアップグレード!」
「あぁ!シールド!?」
「そうー!」
銀の最初のアップグレードは左右斜めと正面へのシールド。
将棋について少し調べた事があったので意外に思ったのだが
将棋では王の側に居る金が守りを担当し
銀が攻めを担当するような印象らしい。
「初期の頃は金がシールドだったんだけどねー」
対人戦で金がシールドを持つと、色々と固すぎて崩せないので
銀と金のスキルが交換になったそうだ。
つまり、王を守るという意思を行動で示せと言うことらしい。
そして、ランクマッチ用チュートリアルを開始。
初手は、金の前へ銀を。
「一応、これで間違って銀と王を動かさなければ勝てるはずー
ホントはもう少し育成した方が、スキルで楽に押し勝てるんだけどねー」
その後は銀と王を動かさず、飛車、桂馬、角を動かして相手の駒を取り
その辺を使って相手を追い詰める。
相手CPUの挙動から察するに、王が突然死する可能性を取り除けば
通常の将棋を前提とした挙動の様で、
2マス進める歩だけでも効果絶大、一方的に相手の駒を蹴散らしてくれる。
ただ、強化駒の制約があるため、止めは強化していない角を用いることになりましたが。
「卑怯な事をしてる気分になるが、勝利だ」
画面には「ランクマッチ解放、おめでとう」と書かれている。
「おそらくだけど、ランクマッチも滅茶苦茶なスキル合戦になるのでー
理不尽な負け方や、卑怯な駒でも勝ちは勝ちを理解するために
この一戦があるんじゃないかー?と言われてるんだよねー」
「理不尽なら、さっきフリーバトルで散々味わった」
鵜冠強すぎである。
「とりあえずランクマッチはこのゲームのメインじゃないからねー
将棋アイドルクリッカーって名前の通りで、
将棋を題材にした、放置ゲームだから
一人でダラダラと時間をかけて遊ぶものなんだよねー」
IDLEゲームは大抵はじっくりと一人で楽しむものである。
他のプレイヤーなど気にせず、自分の気が済むまで育成を行う。
強化に必要な経験値はレベルと共に増大するため、
最初は次のレベルまで30分必要だったものが、
その次は2時間、8時間と延びていき
増え続ける時間に耐えられるなら、長く遊べるだろう。
飽きてしまうなら、忘れ去れらてしまう
そんなジャンルのゲームである。
そして鍛えぬいた駒を用いて対戦が出来ると言う
IDLEゲームにしては珍しい対戦要素を備えているため
時間を掛ける事が出来たプレイヤーには割と好評である。
ただ、現時点でランクマッチはイベント時以外は過疎っており
ランクマッチをするために頑張ったシロー君には悪いが
その後1ヵ月ほど対人戦のランクマッチが実現することは殆ど無かった。
そして、「殆ど」と表記するように、
少ない数ながらランクマッチは実現したが
その対戦相手は、ログインのタイミングを知っていた鵜冠だけであった。
もちろん大敗。
その後しばらくは1日1度のログインボーナスを受け取りつつ
駒のアップグレードをこなしていたが
他のゲームを始めてしまい、パタリとプレイが止まってしまった。
IDLEゲームとはそんなものである。
だが、安心して欲しい
例えプレイを止めたとしても、強化された駒による自動将棋は健在で
久々にログインした時に、超強化が可能なくらいポイントが溜まっている事もあるかもしれない。
そう、IDLEゲームとはそんなものなのである。
あれ?そういえばクリッカー要素ってどこかにあったっけ?
あれ・・・ビギナーのシロー君と、香車の子の話が打ち切りっぽくなってしまった。
前回の段階で飽きてたっぽいし、IDLEゲーはプレイヤーを選びますしね。
前書きの場所に後書きを書いてしまった・・・ウッカリ。




