02:将棋は誰もが遊び方を知る一般的なゲームです。
昔の小学生なら、ドッジボールをしようぜ!とか
中学、高校ならば授業後の部活動があっただろう
学校の授業の大半がオンラインで行われる時代
体育の様に体を動かす機会は少なくなったとも言えるが
その辺の実技は課題提出制であり、
スマートウォッチを用いたアクティビティの提出があったりする。
一般的な授業についても、定期試験以外の時間帯は融通が利き
授業を受けていれば答えられる程度の選択肢型の問題を用いて出席の可否としている。
高校あたりから、Eスポーツも授業として含まれるのだが
授業である以上、反応と思考を分けて評価をすることになる。
そして思考ゲームとしてリバーシ、チェス、将棋が推奨された。
だがリバーシは、序盤の展開の少なさ
やってはいけない手や、プレイ経験の差が実力差となりやすいことが判明し
次第と採用が減っていった。
要するに教師が強くなり過ぎたのである。
そして国内でのプレイ人口は「チェス<将棋」であったため
学校のEスポーツ(思考)では、主に将棋を用いられるようになる。
一時は古臭く将棋人口も減っていたのだが
Eスポーツ(思考)の授業という意外な形で
大抵の大人が将棋を理解し、遊べる時代になったのである。
今の時代の将棋について調べると、大体はこんな感じでまとめられていて
言ってしまえば流行中であり、そのせいもあってか便乗したゲームも少々見受けられる。
友人に勧められて昨晩プレイを開始したものの
あまりの酷さに「なんだよこのゲーム、2手目打てなかったぞ!」と送ったメッセージの返信が来ていた。
「もしかして、ランクマッチ(ランダム対人戦)やろうとした?
そっちはCPU戦で駒鍛えてから挑んだ方がいいですよ
初見殺し楽しめたかな」
寝てる間に届いたメッセージだったが
フレンドリストではオンラインの様だから、呼び出しを掛けてみる。
数秒のコール音の後に、
「やーほー」
やや低めのテンションで現れた声の持ち主は
「よぉ、鵜冠 (ウカンムリ)、あの初見殺しは楽しめなかったぞ」
「そうかー残念ー、駒鍛えてるー?」
「いや、昨晩寝る前に始めたので、ランクマの様子見ようとして、そのまま終えた」
「そうかー、じゃぁちょっと起動してー」
ソフトを起動?
もう少しあのゲームに付き合えって事か。
確かに理不尽ではあったが、その理不尽を解き明かすのもゲーム
そしてそれを超えるのもゲームだから、もう少しやってみるか。
「起動したぞ」
「ではー、CPU戦で1局遊んでみてー最初だし、セオリー通りで勝てると思うからー」
「一応、視界共有しておくぞ」
鵜冠にCPU対局の局面をシェアする。
「手順は授業で軽く流す程度だからな、もっと良い手があるのだろうが
見極めというか、包囲の仕方が甘いとつくづく思う」
「その辺については、詰め将棋とかオススメー」
「確かにパズルみたいなものだしな、何かオススメはあるか?」
「その対局終わったら、明日あたりから解放されるとはずー」
「??よくわからないが、とりあえず終わらすか」
鵜冠によるとゲーム起動初期のCPU設定は非常に弱く
手抜きとか接待とか、そういうレベルの弱さとのこと。
とは言え、弱いのは相手の攻め手だけであり
最終盤で相手を追い詰めても、とにかく逃げるという印象だった。
確かに相手の動きを制限し、最短で勝ち筋を作る詰め将棋の経験は必要そうだ。
「よし、勝った!」
「おめでとー、じゃメニューに戻ってー、新しく開放されたソレ」
「自動将棋?」
「そう、自動で打ってくれるよ」
「おいぃぃ!?何で自動なんだよっ!」
「いやー・・・これアイドルゲームだし?」
アイドルゲーム、それは放置を意味するIDLE。
ある程度の設定をすれば、一定時間ごとに結果をもたらす割と退屈なゲーム。
水道の蛇口から1滴づつ落ちるのを眺め、コップいっぱいになるまで待つような
あるいは、砂時計の砂が落ちるのを眺めるような
ただそれだけの、そういう傾向のあるゲームだ。
「えっとー、そこのコマンドに実績ってあるよねー?
各駒ごとにページ分けされててー、累積の移動距離とかー」
確かにある、そして時々移動距離の数字が増える。
「実は歩の強化がもう出来たりするんだけどー・・・」
画面左側、縦に並んだボタンの内
一番上のボタンのみ色が明るくなっている。
そのボタンには「行動回数アップ」と書かれている
「ちょっw行動回数アップって何?歩が2回動けたりするの?マジ?」
「基本的に最大5回までねー」
何か良くわからない・・・歩が5マス動けるってこと?
つまり開幕で相手陣まで切り込み、「と金」に成れるってこと?
「色々と制限はあるけどー、そんな感じでアップグレードできるんだよねー」
ふぁー・・・と大きなあくびが聞こえてくる。
「ごめん-、昨晩寝たのが遅かったので寝ちゃいそうー
もしかしたら夕方くらいには王将のアップグレードで、詰め将棋が解放されてると思う」
「そうか、さっきまで寝てたのか?起こしてすまなかった」
「いえいえー、その内シローとランクマッチで遊びたいしねぇ
あ、自動将棋中でも普通にCPU戦出来るから、歩を試してみるといいかもー?」
そのあと、ある程度の挨拶を交わし通話を切ることにした。
それにしても、最初の対CPUは普通の将棋だった。
アップグレードが入った瞬間、よくわからなくなった・・・
あいつに言われて、説明すら読まずダウンロードしたが
ソフト会社の紹介ページでは、色々なプレイ画像や説明が並んでいる。
初期配置の駒が20以上の画像もあるし、説明に記載されたものを組み合わせるなら
王の前にステルス化された香車を置き、フレンドリーファイアと貫通で全部薙ぎ払った
・・・と言ったところだろうか。
次の時に聞いてみよう。
主人公は三ノ葉 (サンノハ)志朗、友人は鵜冠 (ウカンムリ)。




