33、逆ギレだ……と?
今回は早めに書けた………ぜ。
次回もこれぐらいの早さで書ければ良いのに…………
「ごめんなさいごめんなさいごめんなさいごめんなさい」
「お……お〜い……大丈夫か勇者、」
三人が勇者達の元にたどり着いたとき、
まず目に入ったのはボロ雑巾になって横たわる勇者とそれに回復魔法をかけ続けるクレアに、ユラユラと遠慮がちに揺らし、揺り起こそうとする魔王の姿だった。
「ど、どうしたんですか勇者さん!?」
真っ青というか真っ赤というか……
出血多量で血まみれ&顔面蒼白、恐らく数十ヶ所骨折して現在進行形で死線を漂っている勇者の姿にファーが声を上げる。
並々ならぬ強さを持つ勇者が完膚なきまでにボロボロになっている様を見て
信じられない!!といった様子でラーサとマンティが、何があったのか聞こうと二人に顔を向けるが……
何故かサッと気まずそうに顔を背けるクレアと魔王……
「………」
その様子で“ああ、あんたらがやったんかい”と即座に理解した勘の良い部下達であった。
「なにやったの?クレアちゃん……」
呆れたような声で改めて何が起こったのかを恐る恐る尋ねるラーサ。
「いや……あの………違うんです、これは不可抗力というか……」
モゾモゾと言いにくそうに話し始めたクレアだが、
「へ、魔法弾数十発ぶち込んでおいてよく言うよ」
と魔王の人を小馬鹿にしたような口ぶりにクレアはプッツン
「んだ?じゃあ、無抵抗のお兄様を勢いに任せて殴り飛ばしたテメェはどうなんだよ?あ!?」
チンピラ口調で魔王をまくし立てると
若干怯みながらも
「し、仕方がないだろうが!!それに、オレの身体に無断で触れてきたんだ……それなりの罰を……オレは悪くない!」
と反論、なんか開き直った
「謝れ!!兄様に全力で謝れぇぇ!!」
魔王につかみ掛かり、物凄い顔で迫るクレア
「何でオレがコイツに謝らにゃいけんのだ!!」
それにまけじと凄む魔王
火花を散らし言い争う二人は取っ組み合い喧嘩にまで発展しかけたが……
「ちょ、勇者さんの顔がまた青く……」
治療魔法を中断したため顔からどんどん生気が消えていく勇者、もうすでに口から魂が殆ど抜けきっている。
「わわわ!」
クレアが慌てて治癒魔法をかけ直してみるものの勇者の生気は一向に良くならない
本格的に危篤状態に陥ってしまった。
数10分の治療の後、どうにか事なきを得たが……
それを見て一言
「勇者っち、なんつか……とんだ災難だったッスね……」
マンティが心の底から同情した。
___
ムスー
「「……」」
顎の粉砕骨折に内臓裂傷、全身打撲および出血多量、普通なら明らかに即死するであろうダメージだがクレアの勇者力による懸命な介護と自身の異常な生命力で漸く治療が終わり起き上がれるほどに回復した勇者。
その勇者は縮こまっているクレアと魔王を目の前に並ばせて恨めしそうにジーと見つめていた。
「……クレア……何か言うことは?」
普段あまり怒らない勇者が冷たく静かに怒りの炎を燃やす様子にクレアはたじたじだ。
「……ご、ごめんなさぃ……」
クレアは素直に自分の非を認めて頭を下げた。その様子に幾分満足した勇者は、今度は魔王に向き直り。
「……魔王」
「オ、オレは悪くないぞ!!」
「……」
なんということだろう魔王は往生際が悪く尚も自分は悪くないと開き直って言い募り始めた。
「だ……だいたいお前が油断しているのが悪いんだ!」
「……」
「そもそも、こうなった原因もお前の妹が蹴りかましてきたからだし………オレに全く非は……」
「……」
魔王の殆ど開き直りとも取れる言い訳に勇者はただ黙って魔王を見つめていた。
「…………」
「……」
ジトーと
勇者はただ黙って魔王を見つめていた。
「わ、わ、悪かったよ!!だからそんな底冷えするような目で見んな!!」
謝る魔王、しかし誠意の足りない謝罪に僅かながら眉を寄せて睨みつづける。
「………はぁ」
暫く冷たい視線を送り続けていた勇者だが、魔王の背中に大量の冷や汗を流し出す頃。
結局は、怒りを通り越して、最早呆れて声も出ないといった感じで短くため息をついた。
「………で?」
「「……で?」」
「なんでこうなった」
「「……は?」」
「あー、確かにそれは気になったッスね、ってか勇者っちその場に居たのに判らないんスか?」
「何があったんですか?」
「勇者ちゃんが何がしたの?」
それまで静観していた魔王の部下が勇者の質問をきっかけに詳しい話しを聞こうと詰め寄る
「………クレアのけりに魔王と一緒にふんすいにおちたのはおぼえてる……」
そう、勇者が覚えているのは噴水に落ちた所までだ。その後意識が戻る前に二人のコンボ技を喰らったために、自分が何をしたか全く覚えていないし、そもそも知らなかった。
「お……おま、あんな事をしておいて覚えてない……だと?」
「……?あんなこと?」
自分が何をしたのか全く知らないため頭に疑問符を浮かべるばかりの勇者と、現場に居なかった部下達。
「…なにかした?」
「……そっそれは……」
「……え、えーと…」
言い淀む魔王とクレア
当然、言える訳がない
まさか勇者が魔王のおっぱ○に顔を埋めていたなんて恥ずかしくて言える訳がない。
「あ……う……え」
「どうしたんですか?」
「えと……」
「黙り込んでないで早く言ってくださいよー」
先を促されるも顔が赤くなるばかりで話す気配がない、そして何かに気づき、さりげなく距離を置くラーサ
「……クレア、魔王」
再度二人に何があったか問いただそうとする勇者、二人の頭からは湯気が立ち上っているが気付いているのはラーサだけ
「「い……」」
「「「い?」」」
「「言えるわけあるかぁぁぁ!!!!」」
ボワッ!!!
爆音と共に叫び声を上げた。
涙目で絶叫し逆ギレした二人の魔力の暴走により生じた衝撃波が勇者達を襲う
あまりの迫力に目を見開いてビビる勇者だが、なんとか吹き飛ばされずに踏み止まる事が出来た。
しかし、踏み止まれなかった人も居る訳で………
怪我人が二人増えた。




