20、ニャンニャン体操
♪~
魔王城のテラスにて
例の魔王の罰ゲームが行われていた。
「もっと脚上げてぇ!!」
「嫌そうな顔しないでくださぁい!!」
その中で顔を赤くしてテンションノリノリで
声を上げるラプラサスとファフニール
「く、………」
魔王は屈辱的な顔
さっきから声を張り上げるこの二人は……
踊る度に執拗にダメ出ししてくるのだ
そして駄目な所を指摘してやり直しを命じてくる
しかも、ついさっき郵送屋のガーゴイルがラプラサスの故郷からちょうど酒が届けて、女達はそれを飲み明かしてダメ出しにさらに拍車がかかっている
(マンティークは甘い酒は苦手だと辞退、勇者も未成年であるため断った)
訳の解らない発言に異様なテンション
不快な笑い声、
ウザい、非常にウザい
二人もウザいが
哀れみの視線を送ってくるマンティークも
我関せずな勇者もかなりウザい
………今のでもう7回目のやり直しだ
そろそろ、魔王の堪忍袋の緒が限界だった。ぎちぎちと歯ぎしりする魔王。
だが、二人はそんな事にも気づかず
「もっと真面目にやって下さいな魔王様」
「そーですよぉ!そんなんじゃ全然駄目なんですからぁ!!」
「「やり直しぃ!!」」
本日8回目のやり直しを宣言されて
ブッツン
ついに魔王の中の何かが完全にぶちギレた。
扉を蹴破り部屋を出て行く魔王。
逃げたか?
ラプラサスとファフニールは少しやり過ぎたかと残念そうな顔をする
だが、予想に反して再び扉が開き……
入ってきたのは
ネコミミを頭に付け、体にピッタリと張り付くようなシャツと尻尾を垂らしたバイクパンツを履いた可憐な少女
魔王は変身を解いてかなり際どい衣装に着替えてやってきた。
「…………ぅ……な?」
何故か勇者が真っ赤な顔して一番うろたえていた。
驚きの視線を無視してテープのスイッチを入れる魔王
“さぁ~良い子のみんな!!ニャンニャン体操、はっじまるよぉ~!!
曲に合わせて身体を動かす魔王
その表情に嫌がる様子は一切無い
手を前に出して誘うように握り
脚を擦りゆっくりと床に沈む
体の横で猫の手を作り
程よく膨らんだヒップを尻を尻尾を
魅せるように動かす
音楽や踊り(体操)自体は先程と全く変わらない筈なのに
限りなく妖美な雰囲気を醸し出している
うねる手足、
小さく揺れる胸元、
乱れる髪
体を動かし続けたせいか汗が滲み出て
髪を伝い、背中を伝い、指先を伝い、空に舞ってキラキラと輝く、
濡れた体が光を反射しヌラリと光る
それが動きを余計に色っぽく見せる
四つん這いになり、鳴き声を上げる猫
脚を崩して胸元の両脇に手を充てて餌をねだる猫
尻を突き出し獲物を狙う猫
………尻尾をゆらゆら揺らす猫。
あまりにも過激な踊り(体操)に勇者は
途中でぷしゅー……と、真っ赤な顔で頭から湯気をたてながら目を回してしまった。
呆気に取られる三人(約一名鼻血垂らしてます)
もう魔王の踊りに目が釘付けだった。
____
……それじゃ、みんなば~いば~い!!”
お別れの挨拶の後、曲が途切れると同時に顔面から完全に表情が消え失せた。
身体から漏れた魔力が黒い煙となり立ち込める。三人はぞぞっと冷たいものが背を這うような感覚に襲われた
永遠とも思える沈黙
終わった後の体制から……
ゆらぁりと立ち上がり
ニコリと笑顔を向けた。
そして一言
「………これで満足か?」
タイミングを見計らったように具現化した蛇のようにうねり牙を剥くどす黒いオーラを全身に纏い
爽やかな可愛らしい笑顔とは裏腹に
ドスの利いた野太い低い声でそう言った。
満足……ってか想像を遥かに越える魔王の踊り(体操)に文句などあろう筈はない
しかし、魔王の魔力に充てられて、返事を返せない所か指一本動かす事すら出来ない彼等は肯定する事も否定する事もできなかった。
二人の酔っ払いの酔いは当然の如く綺麗さっぱり消え失せていた。
唯一魔力に充てられないであろう人物は
隣で完全に目を回してノックダウンしてしまっている
「さて……次はお前らの番……だな?」
普段ならそんな約束はしていないと即座に、否定する所だが
今はそんな事ができる雰囲気ではない
下手なことを言ったら消される、そんな空気を孕んでいた。
この場の空気は完全に魔王の支配下だ
誰も逆らう事は出来ない。
「返事は?」
ギョロリと魔王の紅い目が睨んだ
「「「はいぃぃ!!!」」」
その日は一日魔王城からニャンニャン体操の音楽が途切れる事は無かった……
エロい描写なんて僕には無理でした………
頑張った結果がこれだよ!!??