表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
ロングロード 〜 果てしない旅道の果てに辿り着いた場所 〜  作者: 八葉門希


この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

4/6

子猫?と一緒に



 前日の夜に泊まった宿を出発して、周りには他の馬車の姿が一台も見えない静かな朝となった街道を、アスト達を乗せた馬車はゆっくりと進んでいた。


 まあそれもそうだろう。


 昨夜の宿場町に泊まっていた多くの貴族、商人達のキャラバン隊、冒険者パーティー達の一行は、『ラスターテ家』の影に怯えて昨夜の内に早々に宿場町を後にしていたからだ、多分だが、この先に在る野営に適した場所でその多くが野宿して過ごしたのであろう。


 双子の妹達も、今日は馬車の中でジェラに左右から抱き付いて離さないでいる。



 宿場町の馬繋場で、バンバンに鞍を装着しようとしていたジェラに対して、


「ジェラ姉様、今日はマリンとムーン達と一緒に馬車に乗って下さい。」とムーン


「今日は私達と一日中一緒です!」とマリン、


 二人揃って完全に甘えん坊状態で、バンバンに鞍を装着しようとしてるジェラの足に纏わりついて、バンバンの鞍の装着を阻止しようとする上、


 ある程度人の言葉を理解する事が出来るバンバンは逆に、


『今日は僕に乗ってはくれないの?』ってな感じで、その大きく真ん丸な瞳でジェラの顔を覗き込んでくる。



「うううう・・・ バンバンすまん、お嬢様達からのお願いには逆らえん。」

『クゥ〜〜!?』

「ああ今日は私は馬車に乗るよ。

 また明日、大空を一緒に飛ぼう。」

『クゥー!』

「今日はジェラ姉様を譲ってくれてありがとう。マリンは優しいバンバン大好き〜♪」

「ムーンもバンバンが大好きですよ〜♪」と素直にジェラを譲ってくれたバンバンの頭に、左右からムーンとマリンが抱き付き頬擦りしてありがとうの気持ちを伝えている。


 バンバンも双子の妹達の事は大好きで、屋敷の龍舎では良くバンバン達の背中に乗って遊んでいる姿を見ていた。


 万が一の事を考えて、一応バンバンの背中には鞍を装着したが、当のバンバンは嬉しそうに馬車の後を走って付いて来る。


 このバンバン、飛龍の割には走るスピードも速い。


 ラスターテ家の龍舎が在る牧場では、良く馬達と一緒になって牧草地を走り回っていたので、走る事も嫌いでは無いのだろう。



 太陽が真上に差し掛かる頃、昼の中休みを取るのに適していそうな見晴らしの良さそうな場所があったので、そこでちょっと長めの小休憩を取る事にした。



 何故なら、この王都に続く街道に多くの馬車の車列が続いて混んでおり、快調に馬車を走らせる事が出来そうにも無かったからだ、まあ理由は分かっている。


 昨夜の出来事のせいであの宿場町の宿泊客の多くが、宿泊をキャンセルして野宿が出来る場所に馬車を停めて野営した結果、その多くが起きるのが遅くなったり、逆にのんびりと朝の時間を過ごしたいりしていたので、街道には馬車の車列が出来る結果となったのだった。



 幸いに次の宿場町までは約半日で到着出来る距離ではあるし、宿もラスターテ家から先触れが出ていて、宿泊先である宿の部屋を確保してあるので、夕食の時間までに宿に到着すれば問題が無いのだ、


 セバスが馬達の世話を開始すると同時に、ジェラと双子達お付きのメイド達が昼食の準備を始めると、双子達はバンバンに駆け寄り戯れて遊び始めたので、私は側にあった大木の根元に腰を下ろして持参していた本のページを捲り始める。




「ねえキミ達も王都に行くの?」

「えっ!?」っと驚いて、不意に声を掛けられて声がした方に視線を向けると、猫人族の女の子が私の顔を覗き込んでいた。


「ごめんね、驚かせてしまったかな?」

「う、うん、驚いた〜」

「ごめんね〜、キミが真剣に本を読んでいる様だったから、どんな本を読んでるのかちょっとだけ気になって、思わず声を掛けちゃった〜」

「そっ、そうだったんだ?」


 本当は私が驚いたのはソコでは無い。


 私は双子の妹達の事も有ったので『感知魔法』を使って、周囲の状況を常に把握していた筈なのだ、なのにこの猫人族の少女は、足音を立てていないのはまあ猫人族の獣人なら考えられる事だが、私の『感知魔法』に感知されずに私に近付くのは、ジェラでも難しいと言うのに、難無く私の半径1m以内に近付き、しかも私の顔が覗き込める距離まで彼女が近付くまで、私が気付か無かったのは気恐怖でしかない。



しかも『キミはどんな本を読んでるの?』と、自然に私の膝の上に座って本を覗き込んで来る始末、


 この少女が『暗殺者』の類いだったら、間違い無く私は命を取られていただろう。


 

「私、ポプラ♪ キミのお名前は?」

「ああ、初めましてポプラ、僕はアスト、宜しくね!」

「うん、よろしくアスト♪ それでアスト達も王都に行くの?」

「そうだよ、」

「じゃあ大変だね〜 いつもは此処までこの街道も混んで無いのに、この先の湿地帯に出てたサラマンダーの群れも退治されちゃったて通りやすくなったから、ここを通る人達も増えたし、貴族達は王都に登城する時期だし、貴族の子供達は新学期と入学式があるから皆んなが集まるし、人が一杯で街道も混み混みだ〜」と屈託の無い笑顔でニコニコと笑笑って私に笑い掛けてくる。


「本当だ、街道は混み混みだね〜♪」と、その屈託の無い笑顔に釣られて、いつも双子達にする様についついその少女の頭を撫でながら返事をしてしまった。


 少女は頭を撫でられた事にキョトンとして私の顔を見上げたが、直ぐに満面の笑みになり、そのまま私の身体に背中を預けると、私が読んでいた『魔物図鑑』に興味を移した。



「コレって魔物達の絵だよね?キミって魔物に興味が有るのかな?」

「ああ僕が住んでた街には魔物は出なかったし、街の外に出ても魔物の姿を観る機会が無かったから、魔物達ってどんな生き物達なんだろう?って興味が有ってね!」

「そうなんだ〜、ポプラはゴブリンもオークも観たし、ボアなんかも良く観てたよ? もしかしてキミは角兎も観た事が無いの?」

「うん、角兎は見た事はあるけど、ゴブリンやオークは未だ見た事はないかな〜」と取り合えず彼女、いやポプラには無難に答えておく、


 ポプラは余程私の膝の上が気に入ったのか?そのまま私の膝の上から動こうとはしない。


 逆にポプラが膝の上で何かにつけてキャッキャ♪キャッキャ♪と楽しげに騒ぐので、ポプラが膝から落ちない様に、後ろから彼女のお腹に腕を回してしっかりとホールドする事になるが、これが少々気を使う。



 彼女、ポプラは幼い見た目の割には、その胸が少々・・・ いや、少々どころではなく、かなり大きな胸をお持ちであった。


 さっきも私の顔を覗き込んできた際、彼女が着ていた若草色のワンピースの胸元から、2つの大きなメロンがポロリと溢れ落ちそうな勢いで揺れていた。


 そして更に厄介なのが、ジェラや女神のニマにララにも言える事なのだが、そのお大きな胸故に、隙あらばその大きな胸をテーブルや台などの『胸が置ける場所』に置こうとするのだ、ジェラなんかは私を膝に抱き抱える時には必ずと言って良い程に、私の頭の上にその胸を置こうとする。


 そしてポプラは、背後からお腹に腕を回して支えている私に対して、初対面で在るにも拘らず、その見た目の幼さに反して大きな胸を私の腕の上に預けているのだ、なので私は


『ポプラは妹達と余り変わらない幼女、幼女、幼女・・・ 彼女には他意は無い、ただ無邪気なだけ、距離感が無くスキンシップが激しいのも幼女故・・・ 』と、頭の片隅で呪文を唱える様に繰り返しながら、笑顔でポプラの相手をしていた。

 



「アスト様、お食事の用意が整いました。」と私を迎えに来たジェラが私の膝の上に乗っているポプラを見て目を丸くする。


 まあそれもそうだろう。


 ジェラ達も私の身の回りには気を遣っている筈で、私に不審者が近付こうものなら、直ぐに気付くだろうし、ジェラ自身も私に声を掛けるまでポプラの存在には気付いていなかった様子である。



「アスト様、此方のお嬢さんはどちらから?」

「ああ最初から僕と一緒に此処で『魔物図鑑』を読んでいる僕の友達のポプラだよ♪」

「そっ、そうですか・・・ 」

「ねえアスト、この綺麗なお姉さんは?」

「ああ彼女は僕のメイドさん、」

「へえ〜 アストにはこんな綺麗なメイドさんが居るんだ〜」

「えっ、にっ2回も『綺麗なお姉さん』だなんて・・・ なんて可愛い子なんでしょうアスト様♪」


 可愛い者や可愛い子供達には目が無いジェラ、早速私の膝の上からポプラを抱き抱えると、母猫が子猫を毛繕いしているかの如く思いっ切り頬擦りしている。


 まあ二人共猫獣人族なのであながち間違いでは無いとは思うが、物の見事にジェラの懐に入り込んでいる。


 いや、この場合、ポプラがジェラに確保されたと言う方が正しいのかもしれないが、


 ポプラはそのまま私達の馬車を停車している場所までジェラに確保され、連行されてしまった。


 きっと近くに居るであろうポプラのご両親が心配しなければ良いけれど・・・





 その後は私達と一緒に軽い食事を摂って、双子の妹達とも仲良くなったポプラは、暫くは双子達と一緒になって遊んでいたが、不意に顔を上げて頭の上に乗った可愛い二つの猫耳をヒクヒクと動かすと、


「アスト、父様達が呼んでいるからポプラはそろそろ行くね、アスト遊んでくれてありがとうね♪次に逢えたらまたポプラと一緒に遊んでね〜♪」と言って、向こうの方に止めてある馬車に向かってポプラが駆け出して行く、


 馬車の前にはポプラの家族達らしき人達がこちらに向かって頭を下げている人や、大きく手を振っている人もいた。


「しかしポプラは良く呼ばれているのが分かったな〜?」

「アレは、獣人族の者達の耳には聞こえる呼び笛ですアスト様、」

「そうなのジェラ?」

「はい、私達獣人族の子供達は、耳が良いですから普通に声が届かない場所に居ても、笛の音なら聞こえますから、それに、各家庭でも笛の音色が少し違いますから、獣人の子供同士で遊んでいても誰の家族が呼んでいるかが直ぐに分かるんですよ、まあ私はアスト坊ちゃんの声は何処にいても聞こえますけど♪」と、大きな胸をブルンと揺らしてわざと胸を張るジェラ、もしかしてさっきのポプラに対抗してる?




「アストお兄様、またポプラちゃんと逢えるでしょうか?」とムーンが馬車の座っていた座席を移動して来て私の膝の上に座ると、


「ポプラちゃん、私達と同じぐらいだと思うからきっと学園の幼年部で一緒になりますわ♪」とマリンも私の膝の上に登って来ようとする。


 この双子達、何かと良く甘えては来るが、さっきポプラを膝の上に座らせてた事を嫉妬したのかな?


 もし嫉妬からの行動なら、私のこの世界での双子の妹達、可愛いな〜♪



「いや〜、必ずしもポプラちゃんが学園の幼年部に通うって事は無いと思うよ?」

「「え〜!嫌だ〜」です。」

「だって貴族の子息では無い限り、学園の幼年部に入る意味が無いからね、」

「「え〜〜〜!」」

「マリン様、ムーン様、多分ですがポプラちゃんとは幼年部でお会い出来ると思いますよ!」

「ジェラ、どうしてそんな事が言えるの?」

「ポプラ様は、多分ですがラッチ男爵家の御令嬢かと思われますので、」

「どうして判るの?」

「ポプラちゃんが駆け寄って行った馬車には、ラッチ男爵家のエンブレムが入っておりましたので」

「えっ!あの距離で馬車に付いてるエンブレムまで確認出来たの?」

「はい!ジェラは優秀ですから♪」とまた大きな胸をブルンと揺らしてわざと胸を張るジェラ、


 まあそれが本当なら、またポプラちゃんとは逢う事になるだろ。


 その後は何事も無く今夜の宿に着く事が出来た。


 


 


 

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ