表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
PR
3/3

ACT3

『卒業後は都内の画廊で働くことにしたわ』

 友達への返信にそう書き込むと、返信ボタンを押す前にわたしは考えた。

 

 断ち切れるだろうか?


 描きたいという欲求も。


「画廊?」

 加奈子が横からパソコン画面を覗いて顔をしかめた。

「絵かかへんの?」

「売るようなものは描けないからね」


 すると加奈子は真顔でいった。

「人がなんと言おうと、うちはあんたの絵好きや。でとったら買う」


 わたしは笑った。

「高いわよ」

「もちろん値切る」


 加奈子はそういってわたしにウインクして見せた。


 お気に入りの教授を見つけて走っていく加奈子の後ろ姿をみながら、少し羨ましく感じる。

 才能にかまけている加奈子ではない。


 努力をおこたらない姿勢と、それを感じさせないバイタリティもちゃんとあるのだ。


 才能がなくても、はなからかなわなかったのだ。


 ふと、あの三池で見た少年はどうなっただろうと考えた。


 遺体が遺族の元へ返ったからといって幽霊が現れなくなるというのは希である。

 なぜかはわからないが。


 未練というものかもしれない。

 あるいは残像。

 幽霊という名の。


 わたしの中の恐怖は、彼をまた見るのではという恐怖ではない。

 

 いつか―――またどこかで彼のような幽霊を見てしまうのではという恐怖だ。


 それはこれからもずっと、癒えない傷のように付きまとうのだろう。

 そしてわたしは脅え続ける。

 

 真実を見るという恐怖に。


 <おわり>

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ