第24話 別れ
「ウベル、、会いたかったっチェ」
ウチエの弟の名前のようだ。
キヨ・ウベル。この世界ではよくある名前なのだろうか。ウベルはウチエに抱きつくと、ウチエの後ろに隠れてしまった。
ずっと背負ってきた重い荷物をやっと下ろせたような感覚がした。
「じゃあ、ウチエさん、俺は行くね。そうだ、これで借金を返して、こんな街からはすぐに離れた方が良いよ」
海老名はメダル1100枚のチケットをウチエに渡した。仲間たちでメダルの分配を決めた際には隠していたものだ。
「そうだ、私、この街で借金をしていたっチェ。海老名さん、何から何まで本当にありがとう」
「俺がやりたいと思ったことをやっただけだから、気にしないで」
「海老名さん、これを受け取ってほしいっチェ」
ウチエから赤い宝石がついたピンのようなものを受け取った。
「これは?」
「私の一族では成人の時にその石をもらうっチェ。それを、生涯で一番の恩人と思える人に渡すことになっているっチェ」
「生涯で一番の恩人、、そんな大層に考えてくれているのか」
「海老名さん以外にいないと思うっチェ」
「わかった。ありがとう。ウチエさんからのプレゼントって、なんだか縁起が良さそうだな」
ウチエたちのもとを去りながら、手の中にあるウチエのピンを見た。彼らが平和で幸せな人生を送ることを心の底から願った。
「おお!魔法使いのニイチャン!例の弟さんは助けられたんだな!今から祝勝会をするんだ。主役のニイチャンも来てくれよ」
札束を手にした仲間に声をかけられた。
「ありがとうございます。でも僕はこれで失礼します。」
仲間に丁寧に礼を言ってその場を離れた。
「さて、どうしようかな」
(ウベルくんの救済とウチエさんの借金返済のために、持ち金を全部使ってしまってスッカラカンだ。ベガスラシティへ行くための交通費もないし、今日の宿代もない)
(こんな状況だから、自分のために力を使っても仕方がないよな。借金をしてスロットで増やすか)
(と言っても、さっきまでのスロット場ではもう打てないからなー)
ケイ-イヒンタウンを歩いていると、市場を見つけた。海鮮屋の店主と思われる女性に声をかけた。
「すみません、ここらへんにスロット場はありませんか?あそこにある大きいスロット場以外で」
「え?この街にスロット場はあそこしかないよ。なんだい、タコ負けでもしたのかい?」
「そうですか、、困ったな」
「他のスロット場に行けば勝てるってのかい。バカな考えね。まあ、どうしてもって言うのなら、この街の東にあるメオーシ村に行くと良いさ。スロット場もあるよ」
「そこへは歩いてどのくらいですか?」
「歩くのかい?馬車で2時間くらいだけど、歩くと6時間はかかるよ」
「6時間、、、頑張ってみます」
小さなため息が漏れた。
メオーシ村を目指して海老名は旅立った。




