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異世界生活はゆるふわで

「ふっふっふふん、ふっふっふふん♪ 今日も〜極上〜♪ 大儲け〜♪」

 今日もラスボスチートで楽勝、楽勝ー。

 鼻歌まじりに町の冒険者用ゲートに並ぶけど、いつもより早めの時間だから列は短い。

 隣の一般商人用ゲートと一般用ゲートはすごい列だ。 んーーー。まだ少し寒さが残る時期なんだけど、今日はおひさまが暖かくて気持ちいい。

  「おー、ユフィ。今日は早いなー?」

「今日はねぇ、シルバーウルフ狩ってきたんだぜぃ!」

 ボクのピースに、いつもの衛兵のおっちゃんが遠い目だ。シルバーウルフは結構強いから、一匹相手でも普通に死人が出る。

「ちゃんと倒せたから良かったよ〜」

「ったく、いつも呑気な顔しやがって。命は大切にしろって言ってんだろー」

  ごめんおっちゃん、実は群れで六匹狩らせていただきました。

 ハンターカードと小さめのシルバーウルフ一匹の死体を見せて、ゲートをくぐる。


 ここは女神フィーネが作ったとされるセカイ。その中でそこそこの大きさの国、ファーレン王国の王都ファーレン。

 そしてこのセカイは、ボクが転生する前にプレイしていた乙女ゲームのセカイと同じなんだ。 ボクはユフィーリア・ファーレンハイト。日本からの転生者。

 この身体のホントの持ち主は、ファーレン王国の王の娘で継承権第三位のお姫様。

 だけど黒い髪と瞳で生まれてきたから、生まれを隠されて別邸に移される。

 黒い髪と瞳は厄災の女神の特徴と同じで不吉の象徴とされてるし、この国の王族は金髪の碧眼しか認められていない。

 それだけなら良かったんだけど、乳母とメイドがひどい人間だった。国からのお金は懐にしまい込んで、ユフィーリアには最低限の食べ物しか与えず、そして十歳になる夜中に監禁状態の部屋で独り死を迎える。

 そこで憎しみの女神によって力と知識と感情を与えられて、ゲームのラスボスとして蘇るはずだったんだけど、なぜかボクに入れ替わっちゃったんだよね。

 死亡のせいか転生の影響なのか、今は転生前のボクと同じで桜色の瞳に同色の髪色に変わってる。


 王都ファーレンは山の中腹に王城が建てられていて、城を中心に扇状に街が広がっているのがここからでも見える。

 この城門から入った広場から城に向かってまっすぐ道が伸びていて、数時間歩いた所にまた城壁が作られている。

  広場は賑やかで活気がある。この時期は学園の新入生達が続々と集まってくるから、学生とその家族と思われる人達が多い。(このセカイに来て5年。早かったなぁ。もうすぐドキLOVE時代に突入だ)

  買い物客を横目に広場を通り過ぎて、冒険者ギルドを目指すけど、途中何度かスリに出くわしたから手を思いっきりはたき落としてやる。手加減はするけど、数日は腫れて使えないだろうね。クシシシ。

 ギルドは広場からまっすぐ城へと続く道の西側の角にある、すっごい大きな建物。で、反対側の角は商人ギルド。大きさは同じくらいだけど、装飾がちょっと豪華。 大きく重たい扉を開けてギルドに入るけど、チラチラ伺ってくる視線が煩わしい。

 もう長いけど、ギルドはいつも知らない顔だらけ。フードを深く被って顔を隠してるけど、小柄だから女だとは思われてるだろうね。

 いつも通りさっさとカウンターへ向かい、馴染みの職員の列に並ぶ。

「ただいまぁ、フリルぅ。今日はシルバーウルフとてきたよ。褒めて褒めてぇ!」 フリルぅ〜、フリルぅ〜。

 真っ白な肌に長いまつ毛の雰囲気のある切れ長の目。そしてかわいさの中に色気を醸す左目の涙ボクロ。薄い水色の髪はサラサラストレートで、耳に掛ける仕草には思わずドキッとしてしまう。

 あぁ、目が離せない。物語の王女様ってこんな感じだよね。あっ、ボクが王女だった。

「おかえり、ユフィ。よしよし、今日も頑張ったね。西の村に現れた奴かな? 何匹?」

「六匹♪」

「二匹にしとこっか。前の分も終わってるから、受け取って帰ってね」

  シルバーウルフは高く売れるし、討伐報酬も良い。

 ホントなら単独で相手にする魔物じゃない。群れを狩るなんてとんでもないし、値崩れしても困るから、六匹も持ち込みがあったなんて話は無い方がいい。

「オッケー、グーグー♪」

「オッケー、グーグー」

  さすがグーグーさんはセカイをこえる。ちなみに向こうのカウンターのちょいイケ顔がアレクス。話すとなんか面倒くさい奴だから、「アレクス教えて」なんて言ってやらない。

 ドヤッ。

  「何、面白い顔してるの? ほらほら」

 いろんな書類を素早く書き上げながら、2枚の紙を渡してくれる。受付票と前回の報酬の引き換え票だね。

 クールで美人、仕事が速くて料理も美味い! デキる女性はステキ♪ 表情はクールだけど、フリル忙しそう。次々人を捌いていく。

 パソコンあれば楽になるだろうなぁ。スーツ姿で眼鏡をかけてパソコンに向き合うフリル。うんうん、似合いすぎる。

 クシシ。 買取りカウンターで受付票とシルバーウルフ二匹を渡して、支払いカウンターで前回の報酬を受け取る。

 当日に受け取るのが普通だけど、レア物は数日かけた方が値段が上がったりするらしい。

 知らんけど。

 お金には困ってないから後で構わないのだ。報酬をアイテムボックスに入れてギルドを出る。うっしっし、2ヶ月位は余裕で生活できる金額だね。 城門前の大きな広場は、真ん中の道だけ残して所狭しと露店が並ぶ。お祭りの出店みたいな雰囲気で活気がある。

 ローブに傷がついちゃったから、新しいの買わないとね。

 広場の屋台で買った串焼きを頬張りながら市場を見てまわる。

 市場のお店は決まってなくていつも違うお店が並んでるよ。早く閉めちゃう店もあるけど、すぐ次の商人が店を広げて、夕方に近づくと飲食店の割合が増えてきて、夜遅くまで広場は賑やかなのだ。 服飾品を扱う店をいくつか見たけど、あまりしっくりこない。中世な世界観なのでそこまで華美なものや可愛い服なんてないし、単色でシンプルなローブでいいんだけど、布の質が違うんだよね。

 キメの細かさ、丈夫さ、糸で肌触りが違うから、気に入るものを探し出さないとね。布さえ見つけたら自分で縫うよ、縫い物は得意だよ。

 けっこう見て回ったけどイマイチかなぁ。今日は諦めて宿に帰るかぁ。 肉まんみたいな食べ物を片手にふらふらしてると、なにやら人だかりが目につく(太る……? ふっふ〜ん、成長期だから大丈夫。成長期だから!)。

 スマホやSNSなんて物がないから、うわさ、人づて、人だかりって重要! 得をしたけりゃ集るべし!

 人の間をスルスル抜けるぅ(小柄って便利。……成長期だからっ!)っと。

 あっちゃー、来ちゃったかぁ。まー、そーなるよねー。

 人の壁の向こうには、初めて見るけど知っている金色の長い髪の美少女と、五人のイケ顔の愉快な仲間たちが並んで歩いてるんだよねぇ。



作品を読んで頂いてありがとうございます。

面白いと感じてもらえたら、いいね、ブックマーク、☆評価お願いします。


至らない点が多数あると思いますが減らして行けるように頑張ります。

作品は今後も加筆、修正あります。

投稿は不定期です。


先に閑話的作品を投稿して……と思ってたんですが、本編と大幅にズレてきたので書き直しか別の作品になりますね。

一緒に読んで評価いただけたら嬉しいです。

本編の執筆が忙しく更新は止まっております。


https://ncode.syosetu.com/n2673im/


カスタムキャストでイメージを作ってみました。

ユフィは良い感じにできたかな? と思ってますがフリルさんはイメージ通りには出来ておりません。


※画像はイメージであり、実際のものとは異なります。

挿絵(By みてみん)



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― 新着の感想 ―
[良い点] ボクっ子、いいですね 文章は読みやすくてさらりと読み進められます。 [気になる点] 冒険者の仕事で討伐した数を誤魔化していいのでしょうか……? [一言] 一応最新話まで読みました。話も入り…
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