一戦は仕方が無いのか①
自称竜騎士団を手に入れた俺は、凱旋したくとも家に帰れない身の上だ。
そして、部下の前で俺が頭を下げることは出来無い事は当たり前だが、俺を締め出す乙女達に譲歩してしまえば恐らく際限なく今後も譲歩させられ、終いには俺の身の危険さえも感じる身の上に落とされる事だろう事は簡単に想像がついた。
凄いよな、大奥を持っていたお殿様は。
あるいは、衆人観衆の中で繁殖できるパンダこそ、最強の雄なのかもしれないね。
俺は方針を決めた。
謝るのも下手に出ることも無理な状況であるのならば、現代人ならば誰もがしたことがあるだろう、逆切れをすることにしたのである。
「仕方が無いだろ!人間は俺より先にあっという間に死んじゃうんだからさ!お前らの子々孫々に囲まれる事で俺はお前らとずっといられる気がしたんだよ!」
本心でもあるが、とっても卑怯な物言いなのはわかっている。
俺の想像通りに乙女達はほろほろと涙を流し始め、俺の後ろのデカい奴らまでも涙にくれ始めた。
「頑張ります。俺達頑張って子孫を増やしますよ。女選ばずに頑張ります。やれますよ、俺は若いんで、ダグド様。」
くすんだ金髪にチタンの炎色反応のような金色の瞳をした外見だけは最上のティターヌが、最低の台詞を俺に言い放った。
「そうですよ。あんな美女なら、俺達は普通にイケイケですから大丈夫です!」
小石をぶつけてやりたくなるカイユーの言いざまだ。
俺は自称竜騎士でも変態司祭にお似合いだった聖騎士を振り返り、彼らを遠い彼方に捨て去れる魔法を唱えようとした。
しなかったのは、石膏で作った人形に色付けしたかのように絵になるアルバートルが、大砲を傍らに立つという笑い話にならないいで立ちをしていたからである。
「あの大砲はお前の魔法か。大砲の音には魔法は感じられなかったけれどね。」
アルバートルは大砲を俺に向けると、にやりと笑った。
「大砲は普通の大砲ですから。俺はこいつを隠し持てるというだけです。」
「あぁ、グロブス召喚術か。お前は騎士と言っても剣の騎士では無いんだね。ここにいる全員もそうなのかな。全員がそれを使えるのか?」
「パラディンとスクロペトゥムの二重奏ですが、大砲は俺だけですね。」




