しかばねんたろうのゆうつ
「いやー、よく頑張った、これほど、的確にはずす人
私見たことない
まだ一年目だけど」
先輩の度重なる、訂正の中
僕は、とある、弁当屋の前にいた
それは、本通りからはずれ
寂れたマニア向けのむせが立ち並ぶ中で
異様な可愛さと寂れ感を醸しだし
中にいたのは
驚くことに
パラサイトさんに似た女性であり
めがか見に隠れて見えないが
美人そうだと思った
「・・ウツボカズラの唐揚げお願いします」
「そんなものはやっていませんが」
「・・・」
緊張で、間違えてしまったのかと、読み直すが
まちがってなどいない
新入りなのか、はたまた、間違っているのは自分か
「おー地獄じゃねーか」
僕が、別のメニューに変更しようとしているところに
店の奥から、かなり懐かしい声がした
「お・・藤木じゃねーか」
髪がぼさぼさ、変なTシャツ(何かのこだわりか、いつも同じ
本人曰く何十枚も持っているとか、いないとか、噂で聞くが興味ではない)
「久しぶりだな、いつかえってきた」
幼なじみは、そう言うと、無遠慮に、店の横にある玄関から僕を、中に引き込む
「おい、どう言うことだよ」
「いや、何となく居候中だ」
「・・・・彼女は何者だ」
「フィアンセだった奴だ」
「・・・・・いつからお前にそんなものが出来たんだ」
「そりゃ出来るさ」
「出来るのか」
「ああ・・でももう終わったのさ」
「・・・なぜだ、良い人そうじゃないか」
「いや、あいつはああ見えて、よくわから何やつなんだ」
「わからないだと、確かにミステリアスではあるが」
「いや、そんな良いもんじゃない、あいつ、愛しのウツボカズラたちを
捨てたんだぜ、じゃまだって」
「まあ、じゃまだろう、俺にお前いまいそうろうだろ、何で彼女がいるんだよ」
「たまたまだ、たまたま」
「そうか、たまたまいそおろうしたところに、フィアンセがいたんだな」
「いや、フィアンセがいたところに居候したんだ」
「お前の性格を疑うよ」
「まあ、いつも通りだがな」
「・・・・・しかしなんだあの、ウツボカズラの天ぷらって」
「いや、まずかったから残り物を」
「・・・・・・・・」
「それじゃあ、もう別れたのか」
「いや、結婚はするよ」
「するのかよ」
「ああ、あれは、かれこれ八十年前」
「結構最近だな」
「雨に濡れたウツボカズラを心配して」
「植物だから大丈夫じゃないのか」
「電柱の下で、読書していたのが彼女だ」
「不審者だな」
「ああ、俺もそう思ったから、警官として、声をかけた」
「・・お前警官だっのか、と言うか、見回りちゅうに、なに、ウツボカズラ心配して職務放棄しているんだよ」
「いやまあ、てれるな」
「照れるな」
「と言うか、良く職務中だと分かったな」
「いや、お前のことだ、想像は付く」
「照れるな」
照れるな
「それでどうしたんだ」
「いや、どうもしないよ、付き合いますかと、彼女が言ったから
いや、ウツボカズラが待ってますので、って、断った」
「もったいない奴」
「で、住み着いた」
「・・・」
「まあ、押し掛け女房という奴かな」
「・・ストーカーだな」
「押し掛け女房と」
「っあ、もう戻らないと」
「そうか、またこいよ・・と言うか、ここにいるという事は、おめでとうだな」
「ああ、ありがとう、無事受かって戻ってこれたよ」
「しかし、良くお前みたいな、殺人鬼が、三千世界で一番神聖な死に神試験受かったな」
「何いってんだよ、俺がいつ人殺しなんて」
あの世はまだ知らないことを、藤木 ちひろは、とんと百年の間に忘れていた
あの世には、人格が二つある
一つは起きているときの人格
もう一つは、寝ているときの人格
今、もう一つの人格は、あの世から切り離され
牢屋に監禁されている
その時間、三百年と五十五年
殺した数は、数知れず
いま、あの世の夜の人格は
作られた人形(人造性格)が埋め込まれたものだ
その性格は、実に、奇妙キテレツ
起きているのに、寝ているようで、笑っているのに
寝ているようで、
死んでいるのに生きているようで
大方、仕事をしている様は
殺した霊のパッチワークとも言えそうである
それもそのはず、その際の手術者は、かの悪名高名高い藪移築湾と腐乱ケンシュタイン博士が、合作したとかしないとか
まあ、冗談はさておき完全に、彼の悪を抜ききるとしんでしまうため
彼の体の中には、父と母の魂が、今もぞんざいしており
日夜、悪と戦っている
「しかし驚いたよ、君眠ることがないんだね」
「何のことです先輩」
「いや、四六時中起きていると思ってさ」
「そんなことありませんよ、しっかり寝ています」
「・・・」
「証拠あるんですか」
「・・・実は、ビデオ撮って置いたんだよ」
「本当ですか」
「ホンと」
「それ盗撮ですよ」
「ふざけているの」
「・・・さておき、病院行ってきます」
「・・・何で」
「いや、夢遊病の可能性があると思うので」
「・・まあ、そうかも知れないけど、見てみる」
「見てみます」
「・・・・」
そこには、あの世が、夜な夜な落語を語っているシュールな画が、写っている
「何なんですかこれは」
「落語聞く・・私結構好きだけど」
「・・・・・・・・・・・・・・・・特に覚えは」
「そう、残念」
「でも、どうして、どうして寝ている間に落語なんて」
「これはそう、乗っ取りだね」
「のっ・・乗っ取り・・・何ですかそれは」
「知らないの、あんた、死に神試験受かったんだよね」
「まあ」
「まあって、あのねえ」
乗っ取りとは、別人格を、他人にのりこませ
操ってしまうという
高等テクニックを、機械化により
誰でも可能にしてしまった、いわゆるピッキング的反モラルグッズである
「そうなんですか、知りませんでした」
「本当、危険意識のない奴ね」
「まあ、そこまででは」
「そうね、もう、ここで危険意識がない時点で、危ないわ」
「しかし、それなら、どうしましょう」
「そうね、占いせんもんてでも行って、ウイルスを、取り除いてもらうしかないんじゃない」
「ウイルス・・風みたいですね」
「まあ、疑似魂なんだけど、まあ、良いわ、早めにいったほうが良いでしょうし、早退する」
「いえ、聞いたところ、眠らないと出てこないみたい何で、定時で、帰った後にします」
「そう、こう言うこところはりちぎね」
かくして、仕事終わりに、付いていくという先輩
いや良いですよと言う
あの世であった
「おもしろいですね、これ、内容がありません」
「内容がないようですか」
「・・・・先生続けてください」
「ええ、本来、この手の術は、悪意による物が殆どなんですが
これは、ただ、何もしないと言うことが根本に決定されていますね
それに」
「それに何なんですか先生」
「あの世さん、昔何かありましたか
これ、最近のハッキング術ではなく
本来の高度な靈遷しの術ですね」
「・・何か悪いことでも」
「いえ・・ちょっと待ってください」
先生はそう言うと、患者についてのファイルを開きに
別室に
そこで、A級犯のマークを見てしまうのであった
「まずいな、言ってしまったぞぼくは」
かくして、覚醒まで近づくあの世なのであった
「なんか昔にあったの」
「・・・いえ、両親は、僕が生まれた頃に死んでしまって
その後祖父母の家で」
「へー、どこら辺」
「裁き城下内です」
「・・あんた、侍だったの」
「ええまあ、そんなところです」
「よく、留学できたね」
「ええ、まあ、勘当されましたが」
「それはまあ、そこまでして何で留学したかったのよ」
「いや、そのころ、ライバルがいたんですが
そいつが、留学したいといつも言っていまして
その影響で」
「へー、そいつは今何をやってるの」
「・・それが、ある日突然、消えたんです」
「消えた・・どういことよ」
「僕も、色々調べたんです、でも、神隠しとしか言いようが」
「そんな、嘘でしょ」
この世界に、嘘はない
この世界に、陰はない
この世界全てが光である
それがあの世であり
何一つとして、管理外はない
いや、分かっていると言うべきか
それはつまり、あり得ない事態
「それをあんたは、どう思っているの」
「単純です、誰かが何かを隠している」
「まあ、そうよね、あり得ないんだから、所在不明の神隠しなんて」
「で、その消えたこの名前って何て言うの」
「しかば」
「しかば」
「死庇 念太郎です」
「どう言うこと、所長と、同名じゃない」
「ええ、あれは、弟です」
「弟」
「ええ、死庇一族で、確か、下にもう三人いたような気がしますが
よく遊んだのは、所長も含めて四人でした」
「へー、知らなかった」
「そうでしょう、僕もつい最近まで忘れていました」
「・・・」
「で、その後、それはどうなったの」
「ええ、いわゆる迷宮入り・・とでも言うべきでしょうか」
「・・・」
「まあ、何か、調べる術があると思って、留学もしたようなものですが
結局、分からずじまいですよ」
「そう・・・でも、そう言えば、お医者さんの対応も、みょうと言えば妙竹林よね」
「・・そう言えば、途中から、そわそわしているように見えなくもなかったですが」
「見えてるでしょ、早く帰ってくれって感じだったわ」
「・・・もしかして、僕の中にある魂が関与しているのでしょうか」
「・・まあ、結局、強力すぎて、取り除けなかったみたいだし
それに負い目を感じてたんでしょ、でも良かったじゃない、害はないらしいし」
「まあ、勝手に、お金を使われたり犯罪するよりはましですけど」
「まあ、良いわ、少し気になるし、私に方でも少し調べてみます」
「大丈夫ですか、少し、心配です」
「まあ、気にしないで」
かくして別れたのは、血の池パラダイスなる看板の下の家の前であった
「しかしまあ、良く分からないわね、どうして、新聞どころか、記録さえ乗っていないの」
「そうなんですよ、僕も、死に神になれば、ある程度は、分かると持っている時期もあったんですが
いざなってみたら、こんな物です・・ただ」
「ただ何なの」
「ただ、思う節があるんです、もしかしたら、事件でさえなかったんじゃないかと」
「それはないわよ、だって、生きていることにはなっているでしょ」
「しかし、どこを探しても、彼はいないんだよ」
「ねえ、死庇が、怪しいとは思わない」
「どう言うことですか」
「どこを探しても、彼の存在が不明なのよ、と言うか、いないし」
「・・・たぶん、実家にいると思うんです」
「実家」
「ええ、そこい外に考えられない」
「行ってみたことは」
「無いです、子供の頃でさえ」
「そう・・・行ってみなしょうか」
死庇の歴史は古く、日本で始めて、死に神制度の執行者になったと言われている
勿論、そんな由緒正しい家柄にあるため、
その一角は、地獄城下通称裁き城下とは、対をなす存在であり
遠目から見ると
二本の鬼の角のように見える
「しかし、先輩大丈夫ですか」
今二人の手の中には、拝見書と言う
言ってしまえば、職権乱用が、握られている
「大丈夫よ、たぶん」
偉く自信がない
「すいませーん」
チャイムの軽快な機械音が響きわたる中
ガラス戸が開き
中から、黒髪の和服女性が現る
「あの、このたび、拝謁に、受けたまりました、死に神部の物です」
「女予約は承っておりませんが」
二人はきづいているのだろうか
彼女のもう一つの腕が
この隙にも着物の中で一つの剣を握っていることに
「いえ、お中元を、お持ちしたわけでして」
「あら、そうですか」
二人は知っているのだろうか
この間にも、彼女は、テレパシーを、仲間の元へ送り
入れさせるかどうかを、迷っているという事を
「では、立ち話も何ですから、中へどうぞ」
それはまるで、地下牢には行ったような
ひんやりとした空気
そして画にも言われぬおもっくるしい空気だった
「入ったことないんだっけ」
「ええ、お袋さんには、合ったことがりますが」
「どんなひとよ」
「・・小柄な人でした、たしか、子供の時でさえ、言われるまで、子供だと思うほどに」
「それはまた、すごい話ね」
二人が案内された部屋は
幅は酷く狭いのであるが
奥行きが、百メートルほど向こうに見えるほど
長い
「・・」
「お休みになってください」彼女はそう言うと
手をにかいたたく
すると、奥の障子が開いて、お盆を持った黒服が
二人の前に、菓子とガラスのコップに入れられた麦茶を出すと
また戻っていく
「それじゃあ、私が時間を稼いでいるから」
「らじゃあ」
かくして二人は、蟻塚には行った蝶のような愚行を、行いにかかるのである
その城は、恐ろしく歪であり
きっと、十年そこらでは、全ての空間を把握することなど
到底不可能に思われた
しかし、彼には、留学中唯一体得していた技があった
それが、水移しと言う、水を自由に操るものなのであるが
どう言うわけか、こらばかり特異であり
生き物から蒸発した水分を辿ることさえ可能とした
今、黒光りする廊下を、青白い水滴が、蓮の葉に弾かれたスライムのように、滑る後を、一人あの世が、追いかけていた
「やっぱりいたんだ」
あらかじめ、あの世は、持っていた、死庇の持ち物から
探すことを、用意していたのだ
「おい、何をしている」
まずい、こう言うときは、おトイレ、と言うものだが
大丈夫であろうか
「あの、おトイレは」
あの世は、驚愕する
誰もいない
そこにあるのは、薄暗い廊下とわずかな明かりを灯す豆電球
まさか、姿を消す術か
「どこ見てるのよ」
あの世は、声の下方向をみる
「っあ」
そこにいたのは
昔と寸分変わらぬ姿の
死庇のお袋そのものであった
「・・どうして」
どうしてもこうしても、ここが内なのだから、当たり前であろうが
「やっぱり、地獄所の輪絶牢君ね、見ない間に立派になっちゃって」
「いえ、こちらこそ、お変わりなく」
「またまた」
全く寸分の狂いがない
こっちのせかいの時間でさえ、おそろしいかわりのなさだ
「あの、それで何ですが」
「内の息子を捜しに来たんでしょ」
「・・知ってるんですか」
「どういう意味かしら」
「いや・・いるんですか、生きてるんですか」
「うーん、生きているとは言えないけど
死んでいるとは言い切れない状態ね」
「どういう」
「まあ良いわ、こっちよ」
小ささと反比例するように
彼女の足は速い
「ここ」
そう言って、彼女は、本棚をずらした
そこには、鉄の扉があり
彼女は、数桁の数字を
機会に打ち込むと
白い煙があふれ出さんばかりのあきかたをした
いるんだ、やっぱり、しかしどう言うことだ
病気・・感染症のたぐいか
「あの、おばさん、死庇は」
「・・・・」
そこにあったのは、コンクリートの無機質の中に
巨大な水槽が、一つ中央におかれ
その中に、あの、小さい頃のままの念太郎が
浮かんでいた
「これは何なんですか」
余りに、蠢くようにチューブやら機械やらが、水槽につながっているところを見ると
死んではいないのかも知れないが
「胎児装置と、呼ばれる代物でね
魂が抜けた体を維持するための機械なの」
「・・魂」
最近聞いた気がする
「そう、もう、あなたも、良い歳だから、言わなきゃいけないのよね
あなたの中には、今も念太郎ちゃんが、生きて戦っているのよ」
それは耳に入ってなお、理解できない種類のことばだった
何だって
「聴いて頂戴、あなたはね、閻魔と悪魔との間に生まれた子供なの
聞いたことなあい、極端な物の交雑は、さらに強く
そして凶暴性の高い種を生み出すと
その結果、あなたのご両親は、あなたが、生まれたと同時に、存在していた、夜の人格と対面することになる
それは、いままでないくらい協力で、それは、赤子ながらにもう、言葉を話し、意識があった
でも、乗り移られたわけではないの
それは、始めからそこにあった、始まりの存在
それが発見されたのは、病院丸ごと惨殺された後だったけど」
「そんな」
「でね、お二人は、協力して、その力を、封印したそれは今でも、地獄を業火に焼き尽くされながら落ちている
二人の存在と共に
分かる、存在を消すという罪
それを、二人は犯した
だから、消えるしかない
そして、その存在は、強すぎた
だから、閉じこめるに当たって、二人の最強が必要だったわけ」
「でも、なら、念太郎は」
「そのあと、あなたの心の半分、それの穴埋めのために人造精神を、埋め込んだ、でも、まだ、夜の意識が、わずかなやみとして残っていた
それが徐々に出始めて
気づかない内に、一人、また一人と、巧妙に、消していった
それを目撃したのが、内の息子
それでね、私に、覗かれちゃったのよ、隠し事をしているって思ってしまって・・・」
「・・・」
「それで、私は、彼に話したわ、何故教えてくれなかったのかと
すると、すぐに、どうしたら直るのか、あれは、念絶牢君じゃないって言うのよ
代案は、色々あったけど、あまり、人道的ではなし
何より、あのこがいやがった
でね、息子は、あなたの中にはいることを選んだ
で、今に至る」
「・・・それは、出せないんですか」
「知っているでしょ、出せるのならもうとっくに出せている
魂は、混じり合い、取り出すことが出来ない
全て、あなたの中にいる闇がしたせい
年齢が離れれば離れるほど
精神が遠ければ遠いほど
影響は少なくなる
だから息子が選ばれた
いや、自ら名乗り出た
そして、出られなくなった
闇は、息子を、食いちぎり飲み込んだ
それはつまり、あなたから取り出しても
闇という罪で殺される
あなた自身も、息子という抗体がなくなり、すぐに、闇に支配しかねない状態になる
今も息子は、闇の中で、闇と戦っている
ねえ、どうしたらいい」
泣いたり怒こったりすることが想像できない人であった
それが今、水槽の前、床に突っ伏し泣いている
「僕は、彼を助けますよ」
「彼」
泣きはらした、目をこちらに向ける
「ええ」
「無理よ」
「何でです」
「彼女だもの」
僕は水槽に目をやる
「・・・」
「どう言うことですか、何であんな名前付けたんです」
「まあ、男の子だと思ったし」
「いや、思ったしじゃなっくて」
「それにほら、格好良いじゃない、女の子なのに男の名前なんて
すごいクール」
「何がクールですか何が」
「でも、良いじゃない、男の子で親友だと思っていたのに
実は、みたいなラブストーリー」
「・・・・・・・」
「でも、無茶は言っちゃいけないわ、無理だもの」
「・・・・・・・」
「方法はないんですか」
「無いって事はないんだけど、ただ」
「ただ何なんです」
「術者が居ないのよ」
「何なんですかそれは」
「巻物持ってくる」
「えー、そうなんですか、ぬか漬けは、腐ることはないんですか」
「そうなんじゃよ、内のぬかは、ほっときのぬかと、言われてな
かの大天狗、大国が、座った、木が、弟子たちの前だというのに
ポキリと折れてしまって、怒り狂った、大国は、くさらずの大魔術をかけた、その木で作ったぬかであるが故に」
「おばあちゃま、またお客人に嘘八百を」
「嘘じゃないわい うへぇへへへへ」
「お、あの世、トイレは大丈夫だったか」
先輩は気を利かすが
「もうばれましたと」
目で合図して気まずい雰囲気が流れた
「これが、例の方法がかかれた巻物なのですが」
それは、紫と緑が混ざったような
和紙のような、表紙だったが
しかし、よく見ると、銀色のようにも見えた
「では」
鈴さんは、そういうと、力を入れたように見えた
「わ」
それは、鉄で出来ていた
それを、開いていく
「・・・ここです」
プルプル等でがふるえているようにも見えなくはないが
すぐさま、おばあさまが、ダンベルを、左右に置いた
「完了だ」
と、我が物顔で、老婆が言う
「ここです」
念太郎のお袋が、指さすそこにかかれた墨には
「温泉郷 霊の湯」と書かれており
その技は、技ではなく
一種の特殊能力であり
誰か待わずに、出来ることではない
そして、この技は、魂を、分けることが出来ると書かれていた
「・・・もしや」
輪絶牢の心に、ある思案が浮かんだ
それは突如と言っても良い
いきなり、輪絶牢の体から、お湯が沸きだした
それは、一本の竜のように、集まると、先ほど来た廊下を戻る
「まさか」
一同そう思ったであろう
それは、地下に降りると
急激に、高温とかし
水槽を、その体で巻き付け壊し去った
「まずくないか」
あの世は、その高温を見てそう思う
それは、水槽の中にいた倫太郎の胸にぶち当たると弾け去り
一気に膨張し部屋中を、お湯で満たす
「っあ」
湯の中で、輪絶牢の体の中を、ミミズのような物が、何十本何千本と入り込み
何かを押し出す
それは、良く知るどころか、先ほど見ていたあの体であり
それは押し出されるように、お湯の中へと出ていく
「あ」
そのまま、体が元に戻ろうとした
ただ、輪絶牢は、それと同時に、体から無理矢理出た
黒い物に目を奪われた
体の中で分離された物が、またしても彼女を取り込まんと
体を、アメーバのように広げ
彼女を取り込もうとした
「まずい」
輪絶牢は、それにしがみつきちぎり破き
体に取り込む
しかし、無情にも、その大部分を含んだまま
体の中へと入ってしまった
「あ」
それはほんの一瞬の出来事であったのだろう
ただ、水は、どこへともなく消え失せ
蒸発した
その粒が、輪絶牢の中へと吸い込まれた
「おい、大丈夫か」
横たわる念太郎
「う、う、う」
わずかなうめき声
「・・・」
「ああ・・」
そのまま、彼女は倒れてしまった
病院の中、酷い隈の倫太郎が、白いベッドに横たわっている
「おい、大丈夫か」
目を開いた念太郎
輪絶牢は、顔を近づけた
「ああ、酷い夢を見た
毎晩、黒い魔物に、枕元で、踊られて、もう、百年ばかり、まともに眠ったことがない」
「悪かったな」
「いいさ、私は、家来だ」
いつの設定を引っ張っているのか
「しかし、ありがとう」
「本当に、良い迷惑だ、お前の両親と良い、幼なじみと良い」
「え」
「心配するな、私が家来であるかぎり」
「おい、どう言うことだ」
あの世 輪絶牢の苦労の一端を、ここで閉じさせていただく
ここまでが、冒頭に書かせていただいたとおり
温泉を使う、ひょんな、必殺技の開幕と終演である
ご静聴まことにありがとう・・ぎげ
幕引きに引かれる落語家
「気にするな、一緒にいられた百九年、決してつまらなくなかったぞ」
こんな言葉が、、リンタロウの泣き声に消されたのは
ここだけの話




