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うれおきかごと  作者: 貝月 恵芙


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3/3

一緒に聞いたお話

私たちで探そうと言ったものの、どうするのが一番いいのだろう。

美生は明日花と別れてから考えていた。

高校の範囲内でこの噂が広がっている可能性がある以上、まず始めるなら学校内からだろう。

次の日早速、明日花のところへ行き相談を始める。

「おはよう。明日花。」

明日花はケータイを触りながら自分の席にいた。

「ああ。美生。おはよ。」

そう言いながらもケータイから目を離さない。

「何見てるの?」

気になって聞いてみる。

「あの話さ。ネットに載ってないかと思ってね。」

それを聞いてハッとした。

昨日はそんなこと頭になかった。自分の周りのことばかりを考えていた。

「それで?なんかあった?」

結果が気になって身を乗り出す。

「それがさ。」

明日花は首をひねりながら答える。

「おかしいんだよね。そんなことあるはずないのに。」

「どうしたの?」

明日花はやっと視線を美生に移してくれた。

「どこにもないの。」

「え?」

「だから、どこにもそんな話出てこないのよ。ほんとに全く。少し似通ってるのならあるんだけど、どこかで違うって思うの。ネットだよ?そんなのありえない。」

明日花は興奮しながら一気に話あげる。

「もしかして。」

「もしかして?」

「伊吹が作った・・・とか?」

「なんのために?」

「わかんないけど。こんなにどこにも情報が出てないなんておかしいと思わない?」

確かにそれはそうだ。

このネット社会の世の中で一つも情報が載っていないなんてあり得るんだろうか。

例えば、その発信元がそう言う場所に書き込みをしてこなかったとしても、伝えられた相手が同じとは限らない。

ネットで情報を発信することを知らない人間なんてほとんどいないだろうに。

「もしかして・・・。」

今度は美生が言う。

「ほんとにこの高校だけのお話なのかな。」

明日花は眉をしかめて聞き返す。

「もしそうだったとしてさ。私たちって一番使うじゃん。ネット。なんで誰も書き込みとか配信とかしないわけ?」

最もだよ。

「それもそうだよね。でもさ、私考えたんだけど。この学校から探すのが一番早い気がしない?」

「まあ確かに範囲もわかってるし。そこからかもね。」

明日花も頷く。

「じゃあ放課後から始めよ。」

頭を切り替えて授業に集中しよう。


切り替えたかった頭は心と裏腹に全く機能しなかった。もちろん勉強についてだ。

もう諦めるしかない。

要するにこの問題を解決すないと自分の成績も怪しくなってくるということ。

「どこから始めようか。」

明日花と一緒に学校内を歩き回る。

「伊吹って部活なんだっけ?」

「確かバレー部じゃない。」

「じゃあそこから聞いてみよ。」

美生と明日花はあのお話を知らなかった。ということは私たちは関係していないけど、伊吹だけが触れている環境が怪しい。

体育館に着くと同じ一年の子達が目に入った。

「とりあえず。同じ学年か。」

二人で一年の集団のところへ向かう。

「長谷川さん。」

明日花が声をかける。

隣のクラスだったか。

「明日花しってるの?」

「うん。ちょっとね。」

長谷川と呼ばれた生徒が顔をこちらに向ける。知り合いだと気がつくと笑顔で手を振ってくれた。

「明日花ちゃん。どうしたの?」

「ごめんね。部活中に。聞きたいことがあって。」

明日花は物おじせずそこにいる長谷川さんを含めた他の子達にも聞こえるように話し始める。

「変なこと聞くって最初に言っとくんだけど。最近さ、怖い話聞いたことない?」

「怖い話?」

ここにいるほとんどの生徒が同じ反応だ。なんのことだろうと言った顔。

「知らないな。なんで?」

「ちょっと調べてて。」

「ふーん。そいういえば伊吹は?最近全然見ないけど。」

「なんか学校も休んでるらしいね。」

話題が変わってしまいそうな中、一人真剣な顔で返事をする子がいた。

あの時の伊吹を思い出すような表情。

「ねえ。知ってる?で始まるやつ?」

「え?」

そこにいる全員が一瞬動きを止める。

その意味を知っている美生と明日花は当たり前として、その他の子達まで動きを止めるのはどうしてだろう。

「そう。それ!知ってる?」

「うん・・・。伊吹の名前で思い出した。一緒に聞いた。」

「一緒にどこで?誰に聞いたの?」

「えっと。」

記憶を引き出すように目を閉じる。

「確かテスト前だった。部活も休みになるからって最後の練習日で。一緒に帰ってたの。そしたら二年の竹下先輩が帰り道が一緒だからって三人で帰ってて。その時。」

「その話の内容覚えてる?」

「私怖い話って苦手で。ほとんどちゃんと聞いてなかったんだよね。伊吹はすごく興味ありそうに二人で盛り上がってた。」

「ちょっとでも覚えてない?」

明日花はさらに質問する。

「待って。確か、音が聞こえるとか。この近くの路地から聞こえるみたいな話だったような。」

同じだ。伊吹があの日してたお話と同じだと直感でわかる。

「その竹下先輩って今日来てる?」

美生が突然話しかけたので驚いたようにこちらを見るが

「来てない。最近ずっと。伊吹と同じなの。」

すっと背筋がつめたくなる。

「何?伊吹と竹下先輩ってなんかあんの?」

長谷川さんは野次馬根性丸出しの顔で聞いてくる。ちょっと嫌悪感を感じる。

「竹下先輩の友達は?」

明日花はそんな長谷川さんをはっきりと無視して続ける。

「今日いるメンバーならあそこにいる町先輩かな?」

指さす方向にはショートカットの背の高い生徒が友達を話をしていた。

「あのショートの人?」

「そう。町先輩が一番中よかったと思う。」

「ありがとう。」

明日花はそういうとさっさとこの場を後にする。

「ありがとう。」

美生もお礼を言って慌てて明日花の後を追う。

去り際に長谷川さんの視線が気になったが・・・。

「明日花。あの子とどういう知り合い?」

気になりすぎてもう一度、聞いてみる。

「親戚なの。」

一言だけ。

それだけで明日花が本当は彼女が嫌いなのだとわかった。

これ以上は何も言わないで隣を歩く。


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