表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
『最凶進化ダンジョンマスター ~冒険者を餌に最強を目指す』  作者: もかどら


この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

1/80

第1話 死んだ俺はダンジョンになっていた

冷たい。


 そう思った瞬間、俺の意識は浮上した。

 目を開こうとして、、できない。

 まぶたが、、ない!?

 手を動かそうとして、、できない。

 手も足もない、、


 代わりに、妙な感覚があった。

 周囲の空間すべてを見渡しているような、不思議な感覚だ。


「……なんだ、これ」


 声を出したつもりだった。

 しかし音は響かない。

 俺は焦った。

 ついさっきまで、仕事をしていて、

 会社帰り。たしか雨が降っていたような、、


 目の前に迫る大型トラック。

 強烈な衝撃。

 そこで記憶は途切れている。


「死んだ……のか?」


 その瞬間。

 頭の中に機械的な音声が響いた。


【個体認証完了】

【新規ダンジョンマスターを確認】

【初期化を開始します】


「は?」


【名称:未設定】

【種族:ダンジョンコア】

【階位:F】

【保有DP:100】

【保有魔物:0】

【保有罠:0】

【生存優先プロトコル起動】


 意味がわからない。

 だが一つだけなぜだか理解できることがある。

 俺はもう人間ではない。


 その証拠に、視界には水で反射して映る青白い結晶が浮かんでいた。


 直径一メートルほどの巨大な水晶。

 なぜかわかる。

 あれが俺だ。


「……冗談だろ」


 周囲は薄暗い洞窟だった。

 岩壁。湿った地面。天井から滴る水滴。

 ゲームで見たことのあるような、洞窟。


 そして中央に鎮座する結晶。

 それが俺自身。

 どう考えても異常だった。


【チュートリアルを開始します】

【ダンジョンマスターはダンジョンを成長させる存在です】

【DPを消費して魔物や罠を生成できます】

【侵入者を排除してください】

【コアが破壊されると死亡します】


「侵入者?」


【説明終了】


 雑すぎる。


 俺が混乱していることなどお構いなしに、システムは沈黙した。

 洞窟には静寂だけが残る。


「待て待て待て……」


 整理しよう。

 まず俺は死んだんだよな、、

 そして謎のダンジョンコアになった。

 コアを壊されると死ぬ。


 つまり――


「これ、二周目の人生どころか、ゲームのボス側じゃねぇか……」


 笑えない。


 異世界転生なら勇者とか貴族とかが普通じゃないのか、、

 なぜダンジョンマスターなのか。いや、それ以前に。


「侵入者って誰だよ」


 そう呟いた瞬間だった。


【警告】

【生命反応を検知】

【侵入者接近】


 洞窟入口付近に赤い光点が三つ表示される。

 まるでレーダーだった。

 その光点はゆっくりとこちらへ近づいてくる。

 嫌な予感がした。

 そして数分後に洞窟の入口から人影が現れる。


「おっ、本当にあったな」

「初心者向けダンジョンか」

「コア持ちなら金になるぞ」


 三人組だった。

 革鎧。剣。槍。背中の荷物。どう見ても冒険者である。

 男二人と女一人で、年齢は全員二十代前半くらい。

 彼らは警戒もせずに奥へ進んでくる。


「魔物ゼロじゃん」

「楽勝だな」

「コア壊して帰ろうぜ」


 その言葉で理解した。血の気が引くとはこの事か。

 いや、今の俺に血はないが。


 あいつらは...俺を...殺しに来た...


「ふざけんな……」


 会ったこともない、恨みもない。それなのにあいつらは当然のように俺を破壊しようとしている。

 冒険者たちにとってダンジョンコアは資源なのだろう。だが俺にとっては命そのものだ。

 殺されたくない。

 せっかく意識が戻ったのに。こんなところで終われるか。


【保有DP:100】

【生成可能】

【ゴブリン:50DP】

【スライム:10DP】

【落とし穴:30DP】


「……生成」


 反射的に叫んだ。

 次の瞬間。

 洞窟の床が淡く光る。

 そこから緑色の小柄な人型が現れた。


 ゴブリン。


 ファンタジーではおなじみの雑魚モンスター。

 見た目からして頼りないのだが、今の俺には唯一の戦力だった。

 残りDP50。


「頼むぞ……」


 ゴブリンはギギッと鳴きながら棍棒を握る。

 そして入口へ小走りで向かって行った。


「いたぞ!」


 冒険者が笑っていた。


「ゴブリン一匹だけか!」

「経験値のたしにもならないな!」

 剣士が飛び出す。


 一閃。


 俺の配下は一秒で首を飛ばされた。

 ゴブリンの頭が床を転がる。


「えっ、、」


 DP50が一瞬で消えた。

 それだけだった。


「…………」


 終わった。

 弱すぎる。

 あまりにも弱すぎる。

 冒険者たちは笑いながら近づいてくる。

 十メートル。

 九メートル。

 八メートル。


 俺まで一直線。


「クソが……!」


 死にたくない。

 死にたくない。

 死にたくない。


 その時だった。


【緊急条件を確認】

【ダンジョンマスターの強い生存意志を検知】

【固有スキルを解放します】


 視界に赤い文字が浮かぶ。

【固有スキル】

 ・捕食進化


【対象を殺害した際、その能力の一部を奪う】


 俺は息を呑んだ。理解が追いつかない。


 「こういう時は強い魔物とか、魔法とかだろ...どうする...考えろ!! またゴブリンを出すか...」

 いや、DPが足りないし、出したところで変わらない。

 「クソッ!! 落とし穴ッ!!」

 

 そして同時に冒険者たちの足元が光る。


【落とし穴生成】

 残りDP20。


 床が崩壊する。

「なっ――!?」

「うわあああっ!?」

 先頭の剣士が悲鳴を上げながら闇へ落ちていった。

 直後、岩盤に叩きつけられる鈍い音が響く。


 骨の砕ける音。

 少し後に血の臭い。


【侵入者を撃破】

【DP+80】


【捕食進化が発動します】


 俺の意識に、誰かの記憶が流れ込んできた。

 名前

 恐怖

 絶望

 人生


 すべてが、一瞬で。


「――――ッ!?」


 そして、、


 それだけでは終わらないことを。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ