ご近所ダンジョンさん 10
白オーガから感じる強さは、危機察知さんがブラックだと教えてくれます。
一番最初に出会う白オーガさんがブラックとは白鬼乙女さんも容赦がありませんね。
ガシャドクロさんと同じレベルだということです。
私とミズモチさんのレベルが上がっているので、あの時よりも苦戦しないと信じたいですね。
白鬼乙女さんも私の覚悟を理解されているようです。
今日はあなたを攻略するためにやってきました。
「ミズモチさん。ここからは私の全てをかけて挑みます。もしかしたら戻ってこれないかもしれません」
バシン!
いきなりミズモチさんに横っ腹に体当たりを受けました。
防具をつけている上からでも体が軋むような痛みがあります。
「痛い! 何をするのですか?!」
「ブル〜!ブ〜!!」
ミズモチさんが怒った様子で叫ばれます。
「えっ? カオリさんを待たせているだろって。はは、そうでしたね。覚悟が足りませんでした。全てをかけて白鬼乙女さんを解放して、カオリさんの元へ帰ります」
「ブルブル」
ミズモチさんには頭が上がりませんね。
カオリさんとの約束をしたばかりなのに、一体目の白オーガですぐに弱気になってしまいました。
「ちゃんと家に帰るまでがダンジョン攻略ですよね」
「ブルブル」
やっとわかったかと言わんばかりのミズモチさんの態度につい笑ってしまいます。
気が抜けたところで、私は鬼切丸さんを抜いて「変身」をします。
「阿部秀雄、参る!」
「ブル〜!」
白オーガに対して油断は一切しません。
ミズモチさんに乗り込んで、自分にとって一番強い型で対応します。
「ミズモチさん。お願いします」
「ブル〜」
ミズモチさんが全力で動き始めます。
高速で動いていく景色は全く見せなくなって、さらに速度を上げていかれます。
それなのに私の体は全く負担を感じていません。
鬼人化として人外に足を踏み入れたおかげでしょうか、鬼人化することで体の強さだけでなく心の強さを感じます。
それでも私たちの動きに白オーガは対応している様子で視線をこちらに向けます。
その手には小太刀を二刀持たれていて、正面で交差させるように構えておられます。
私たちはミズモチさんの高速移動に身を委ねながら、白オーガさんへ突撃を仕掛けました。白オーガさんは小太刀を防御に使って、私の鬼切丸さんを受け止められました。
ですが、私たちは二人です。
私の攻撃を防いだところで、ミズモチさん氷の魔法を使って、槍を生み出しました。
後ろに飛び去ろうとした白オーガでしたが、ミズモチさんの方が上手です。
氷の槍を横だけでなく、背後にも出現させて、白オーガが飛び去った場所に罠として設置しておられたのです。
「ぐるる。やりおる」
どうやら目の前の白オーガも言葉を話すことができるようです。
ですが、今の鬼人化した私に躊躇いはありません。
「いざ」
「ぐるる。いざぁ〜」
交差させていた小太刀を一刀こちらに投げつけて、奇襲を仕掛けてきました。
正面からくると思っていれば、ご近所ダンジョン手前の岩山を使って横から仕掛けて来られました。
小太刀の一刀目を鬼切丸さんで弾き、横からくる白オーガさんに私は「フラッシュ!」と目潰しを仕掛けます。
どうやら、私の攻撃が意外だったようで、腕を上げて目元を隠されました。
それは悪手ですよ。
「アベフラッシュビーム!」
私の額から飛び出した光のビームが、白オーガの胸を襲って焼こうとします。
熱と痛みを感じたときには二人の距離は、刀が届くほど近づいています。
「グルル!!!うおっ!」
持っていた小太刀を振り上げて、強引に攻撃をしようとしましたが、動きが鈍いです。ミズモチさんの強化された魔法によって、先ほどの氷の槍は毒が仕込まれていました。
「あなたが最初であったことに感謝します。とてもお強いことがわかりました。回天」
ミズモチさんと私の体が回転して、白オーガの攻撃を受け流して白オーガの胴体を真っ二つにして倒しました。
ですが、ブラックがここで終わりだと油断してはいけません。
「雷!」
トドメを刺すために上半身、下半身を雷で切り刻む。
「ふぅ、魔石になってくれましたね。ミズモチさん。どうぞ魔力として吸収してください」
ここからの魔石はお金など気にしません。
私たちの糧になっていただきます。
白鬼乙女さんにたどり着くまでにレベルを上げられるのであれば、上げておきたいのです。
「さて、出迎えは終わったようですね」
「ブル〜」
私たちはご近所ダンジョンさんの入り口へと辿り着きました。
ここは相変わらずの少数精鋭ですね。
今から思えば、最初のゴブリンも他のダンジョンではありえないぐらい強かったのでしょうね。
「ミズモチさん。中へ入ります」
「ブル〜」
ご近所ダンジョンさんの中へと足を踏み入れました。
入ると同時に灯りがついて、私たちを出迎えてくれるようです。
「どうやら白オーガを倒したことで、入る権利を得られたようですね」
「ブル〜」
ご近所ダンジョンの中を歩き始めると、温度が急激に寒くなっていくように感じます。いえ、階段前に待ち受ける存在に寒気を感じたのかもしれません。
「ガシャドクロさん。お久しぶりです。地下の中ボスさんが降格させられたんですか?」
「GYAAAAAAAAAAAAA!!!!!」
どうやらお話はできないようです。
私の言葉にお怒りではあるようですが、気に障ったのでしょうか?




