酒呑童子ダンジョン 1
平安時代中期の大江山に住んだとされる鬼の頭目・酒呑童子や副将・茨木童子配下の鬼の四天王。
酒呑童子四天王や童子四天王などとも呼ばれる。
一般的には熊童子、星熊童子、虎熊童子、金童子の4匹の鬼として知られている。
つまりは、酒呑童子にたどり着くまでには、四体の魔物を倒さなければいけないということです。
大江山には酒呑童子の里と呼ばれる場所がある。
のどかで落ち着く場所だった場所が、ダンジョンと化して現在は鬼の住処になっている。
鬼のモニュメントや、テニスコート、キャンプ場もある解放された場所だが、そこには酒呑童子の他に四人のAランクの鬼が存在している。
「かなり危険な場所になっているのですね」
「はい。それも度々山を降りては、モンスターパニックが起きているので、危険度が高くなっているようです」
童子というだけあり、彼らは子供の姿をして現れるそうです。
童子とは八歳から二十歳までのことをいうそうですが、子供が迷子になったと思って声をかけると鬼の姿になって、人を襲うのは卑怯ですね。
熊童子は青鬼
虎熊童子は黄色鬼
星熊童子は茶色鬼
金童子は赤鬼
酒呑童子に近い色合いの鬼たちが多い。
「それでは、あの巨大な両腕に鉤爪をつけた青鬼は、熊童子ということでしょうか?」
ダンジョンで出会ったためなのか、熊童子さんは、童子の姿ではなく鬼の姿をされていました。
危機察知さんは赤色なので、Aランクのボスと同等の強さを誇っています。
しかも黒に近い赤なので、危険な鬼です。
「四天王の中では、熊童子が最弱だそうです」
「どこかのフレーズで聞いたことありますね。あいつは四天王最弱だからなと。ただ、油断ができない強さはしっかりと持たれているようですよ」
「ですね。十分に気をつけてください」
「はい!」
鬼が出た場合は鬼切丸を持っている私の方が有利なので、本日は出し惜しみはしません。最初から私が戦います。
カオリさんには、他のも私が襲われることがあれば、フォローや声掛けをしてもらうサポート役になってもらいました。
「ミズモチさん。まずは私が一人で戦ってみます。危険になった場合は救出をお願いします」
「ブルブル」
ミズモチさんはレベルが上がったことで空気が振動する「ヴュ〜」から全身が振動する「ブルブル」に声変わりをなされました。
うがいしながら話しているような感じなので、最初聞いた時は笑いそうになってしまいましたが、もしましたらレベルが30になればミズモチさんも普通にお話をしてくれるようになるかもしれないので、楽しみです。
「ありがとうございます。行ってきます」
両手に鉤爪をつけた青鬼鬼は、鬼ヶ島であったゴツい鬼ではなく小柄で細身の鬼でした。一瞬人と間違えそうなほど華奢だったので、鬼なのか疑わしくはありましたが、近づいていけば気配が魔物です。
それに危機察知さんが先ほどから警戒を告げておられます。
「変身!」
私が鬼人化すると、熊童子さんは驚いた顔を見せました。
「なんだ、貴様も鬼か? 我々の仲間になりにきたのか? 酒呑童子様は仲間ならば歓迎するぞ。黄色鬼か?」
「いいえ、私は人間です。ある方から鬼化する力を授かったに過ぎない。偽物でしかありません」
「そうか? お前からは我々と同じ匂いがするぞ」
「そうなのかもしれません。私は人外へ足を踏み入れたそうです。鬼化しているのは光栄であり、その力を使ってあなた方を倒せるなら喜んで白鬼乙女さんの仲間になりましょう。そうすれば彼女が孤独でなくなるなら」
私は冒険者になった当初、ミズモチさんに助けていただきました。
ですが、ご近所ダンジョンさんがなければ、ミズモチさんが強くなることも、こうして私が強くなることもなかったでしょう。
「何を言っているのかわからないが、お前は俺たちの仲間にはならない。敵ってことだな?」
「そうです。お手合わせ願えますか?」
「いいねぇ〜俺たちはいたずらも好きだが、正面から殴り合うのも好きだ。もちろん強者同士でな。お前は強いだろ」
両腕の鉤爪を下ろして片手を上げる。
「強いかどうかはわかりませんが、正面から戦っていただけるのはありがたいですね」
「くくく、鬼だから卑怯だと思ったか?」
「いえ、ここまで陽気に話してくださる鬼さんは初めてだったので」
「鬼さんか、俺は熊童子。お前は?」
「阿部秀雄です。どうぞ勝負願います」
私は鬼切丸さんを下段に構えて、相手は胸の前で鉤爪を交差させて構える。
「いくぞ!」
「はい!」
魔物と正面から戦うのは、コカトリスダンジョン以来です。
あの時はコカトリス師範に稽古をつけてもらった。
「キエエ!!!」
両手の鉤爪を振るう六つの刃を器用に使い分ける熊童子さんを攻撃を《円》を持って対処します。
スキルとは、改めて凄いものですね。
見えているわけではないですが、鬼切丸さんで対処ができています。
普段とは違う、正面からの戦いではありますが、これが楽しいと感じている自分がおります。
いつの間にか、私の精神は冒険者になってしまっていたのかもしれませんね。
「はっ!」
「やるな!」
楽しそうにしているのは、私だけではないようです。
熊童子も獰猛な笑顔を浮かべております。




