四国旅行 7
鳴門公園、徳島県鳴門市鳴門町土佐泊浦福池にある大塚国際美術館は、1000点を超えている美術品が飾られています。
世界中の名画を陶板で再現している超巨大美術館で、地下3階~地上2階までの5階建てで、日本最大級の常設展示スペースを誇る、鑑賞ルート約4キロの広大な美術館です
「こんなにも大きな建物がダンジョンと化していると思うと怖くなりますね」
「はい。それもAクラスということはそれだけ大量の魔力が溜まっていることになります。確かにこの規模を一日で攻略するのは無理ですね」
私は大塚国際美術館に到着して、その大きさに圧倒されました。
どうやら電気は通常通り通っている様子で、中に入るととても長いエスカレーターが私たちを出迎えてくれます。
最も有名な美術館の華と言われるシスティーナ礼拝堂を模した壁画と天井画は、ボスがいる恐れがあるので、最後にするとして。
「地下の方から回ってみましょうか?」
「ダンジョンって普通は地下にボスがいるんじゃないんですか?」
「えっ?」
私が当たりをつけていた場所はてっきり上にあるのだと思っていましたが、カオリさんがいうように私の目的地は地下3階にあるようです。
「カオリさんが正解ですね。確かに地下3階に礼拝堂を模したフロアがあるようです」
「そうですね。最後の審判などもそこにあるようです」
ということは、魔物たちもそちらに全ての力を集めている恐れがありますね。
こういう場合は大事なものがある場所に、敵の親玉がいるものです。
「レベルを一つ上げることが目的です。解放はしたいですが、無理しないでいきましょう」
「はい! 目的を間違えないようにしましょう」
「ミズモチさんもいいですか?」
「ヒデビュ〜!」
ミズモチさんも承知してくれたので、私たちは一階から探索を開始しました。
美術館に現れる魔物がどんな魔物なのかわからない。
もしも、三好の山城城なら、四国の妖怪を相手にしなければいけなかったかもしれません。ですが、妖怪がいるのはここではない。
徳島を四国最後にしたのは、ダンジョンの数が他の県よりも多かったからです。
「ヒデオさん。どうかしましたか?」
「いえ、大丈夫です。少し警戒していた場所ではなかったので考え事をしていました」
「警戒していた場所ですか?」
「はい。徳島と聞いて私が思っていた場所ではなかったので、ただここもAランクであることは間違いありません。それに解放したいと思ったのは本当です」
私たちが美術館を進んでいくと美しい美術品が並ぶ中で、ゆったりと軟体動物の動きをする不思議な生物が美術品の間から現れる。
「あれはなんでしょうか?」
クネクネと気持ち悪い動きをしたその物体は、次第に人の形をとるようになり、肌色ののっぺらぼうが現れました。
体はカクカクとして、マネキン人形のようでした。
「さしずめのっぺらぼうマネキンといったところでしょうか?」
「今はスマホの通信が届いていないので、調べようがないですから。そういうことにしておきましょう」
のっぺらぼうマネキンさんは、ゆらゆらとこちらに近づいてきます。
一体、何をしたいのかわかりません。
「攻撃をしても良いのでしょうか?」
「多分、まずは私が攻撃してみようと思います」
カオリさんが前に出てブラックホールを展開します。
のっぺらぼうマネキンは、カオリさんが発生させた落とし穴へそのまま落ちてゆきました。
「え〜と、なんだったのでしょうか?」
「さぁ? 魔石も吐き出したので倒せたようです」
「う〜ん、強いのか、弱いのかわからない魔物ですね」
「ですね」
私たちは警戒をしてい進んでいきましたが、一階、二階では同じ魔物がただ、ゆったりとした動きで現れるだけで何をしたいのかわかりませんでした。
基本的にカオリさんのブラックホールに落ちるか、落ちない場合は、ミズモチさんが体当たりをすれば倒すことができます。
「ふぅ、なんとか地上は調査を終えましたね」
「そうですね。残りは地下ですが、疲れてはいませんか?」
カオリさんがのっぺらぼうマネキンをほとんど倒してくれたので、私は調査をしているだけで済みました。
私は他の魔物がいないか警戒をしていましたが、他の魔物は現れていません。
「ここがどうしてAランクなのか少し疑問ですね」
「そうですね。今のところは警戒するような敵はいません」
カオリさんも敵の弱さに拍子抜けしたようです。
ですが、Aランクは絶対に油断することはできません。
白カンガルーさんは、一人でSランクだと思えるほど強かったです。
ですが、それもボスが出るまでは倒せるかもしれないと油断していた私にも落ち度があります。
今回は、同じ魔物がずっと現れています。
それに意味があるなら、必ず何か仕掛けがあるはずです。
貴重な美術品を壊すことなく倒せたのは嬉しいですが、これで油断をして死ぬわけにはいかないのです。
「ふぅ、それでは地下へ降りましょう」
「はい!」
私は地下へ降りる階段を降り始めました。
地下一階はまだ警戒するほどの相手がいなければいいのですが。




