修行です!
私は平三郎さんに申しつけられた宿題をすることにして、夕食を終えた夜に1日目の1000回の素振りができるのかチャレンジしました。
数はミズモチさんに数えてもらいます。
「ヴュ〜! ヴュ〜! ヴュ〜!」
(1、2、3)
なんでしょうか? ミズモチさんの声で数えてもらうとほのぼのとできてしまう気になります。
ですが、300回を超えたあたりで、腕が上がらなくなってきました。
100回ぐらいまでは、いつも冒険者をしているおかげで筋力がついて、私でもできるんじゃないかとか思いましたが、300回から、一気に速度が落ちて完全に腕が上がらなくなったのは、854回目でした。
「はぁ、1000回もできませんでした」
時間があるので、一回で何度も連続でするのではなく、時間を分けてやった方がいいかもしれませんね。
「お疲れ様です」
「はい、疲れました。やっぱり、普段とは違うのだと思い知らされます」
「そんなに違うのですか?」
「そうですね。重さは白金さんよりは軽いと思います。ですが、杖は端と端を持って重さを変更できるのですが、木刀は同じところを持って延々に振り続けます。途中までは無心で振ることができるのですが、脇や胸に痛みが走ってあげようとするとダルくなってあげられなくなりました」
最終的に痛みに変わったのですが、運動で味わう痛みってなんだか気持ち良いですね。汗を流しているという感覚が強くなるので、気持ちがとてもいいです。
昨年は散歩に行くだけで筋肉痛になっていたので、久しぶりに味わう筋肉痛に心地よさと快感のような気持ちよさを感じます。
「私も何か運動した方がいいかな?」
「カオリさんは、何もしなくても綺麗です!」
「ありがとうございます。でも、護身用に覚えたいです」
「わかりました。私が教えられるのは、杖術だけですが、良ければ」
先ほど帰ってきたばかりなのですが、もう一度人気の少ない場所に赴いて、カオリさんと素振りをすることになりました。
カオリさんに見せるために、ミズモチさんに折りたたみ杖の形になっていただき、常の型を取ります。
「こうですか?」
「はい。端と端を持って入れ替えるように素振りをします」
「なるほど」
カオリさんは私がするように真似てくれる。
同じ動きをしてくれるカオリさんを見ると、ちょっと嬉しくなりますね。
「次に三つの攻撃を覚えてもらいます。相手に当てて突き刺す。刺突」
私は近くにあった石に杖を当てて押し込むと石に穴が空きました。
「うわ〜!!!凄いですね!!!」
「ありがとうございます。ふふ、次は引っ掛けです」
私は木に向かって杖を巻き込むように引っ掛けます。
枝が綺麗にへし折れました。
「これは前に見たことがありますね」
「はは、前にカオリさんの腰に引っ掛けた技です。あの時はすいません」
「ふふふ、全然気にしてませんよ」
「最後は突き落としです」
私は地面に落ちている石に杖を落として、砕きました。
「なるほど、この三つが基本の技なのですね」
「はい! まずは杖を常に持って歩いてこの技を何度も繰り返します」
「はい! ヒデオ先生!」
なんでしょうか、胸がホワホワして嬉しいです。
「そっ、それでは? 実際に打ち込んでみてください! 私に向かってどうぞ」
「えっ? いいんですか?」
「はい。石や岩は慣れてからしないと怪我をしてしまうので、私なら多少の傷も寝てしまえば治りますから」
「はい! やってみます」
カオリさんが構えをとって、私に刺突を打ちました。
まだ手元はおぼつかない様子で、肩を狙っておりますが私は甘んじて受けるつもりでいます。
「グヘッ!」
しかし、カオリさんの手元が狂って、ミズモチさんによって強化された折りたたみ杖が私の喉に突き刺さりました。
「ゴホゴホ!」
「あっ! ごめんなさい! 手が勝手に動いて!」
「いえいえ、最初は慣れない間は、目標が定まらないモノです。ですから、気にしないでください」
「本当に大丈夫ですか?」
「ええ、すぐに治りますから」
私は密かに回復魔法をかけました。
喉は流石に辛いと思いますが、なぜかカオリさんからだと思うとそれだけで幸せな気分になりますね。
「次に行きましょう。次は引っ掛けです!」
「はい!」
今度は足ですからね。転んだとしても受け身を取れば問題ありません。
「行きます!」
「はい!」
私は足をかけやすいように重心をゆらゆらと軽くして、カオリさんの攻撃を待ちます。カオリさんが杖をついて私がそれを避けました。
戻す際に引っ掛けるので引いた瞬間に、私の股間へ!
「えっ! ぐっ! ふっ! あふ!」
引っ掛けられた大事な場所に私は悶絶してしまいました。
「すっ、すいません! 大丈っ! あっ!」
私を心配して近づこうとしたカオリさんがつまづいて、杖が私の鳩尾へ。
「ゴホッ!!!!!!!!!」
まるで、柳師匠に受けた時のような一撃に私はトドメを刺されて意識を奪われました。
「ヒデオさん!!!!」
カオリさんの心配する声が遠くの方から聞こえてきました。




