剣術指南 3
カオリさんの攻撃によってノックアウトされてしまった私は情けなく思いながらも数秒の気絶をしてしまいました。
目を覚ますと体は多少回復してくれていたので、筋肉痛の痛みも和らぎ自身の回復さんの優秀さんを実感しています。
カオリさんも、次の日に目覚めると筋肉痛はなかったそうです。
先にレベルを上げていたので、治りが異様に早いですね。
私は、昨日決めた通りに朝に500回を目安に素振りをしました。
昨日は300回ほどで筋肉痛が出て腕がだるくなったのですが、1日で自身の回復のおかげで超回復して強くなってくれました。
そのため、500回を超えたところで腕がだるくなり、1000回で腕が上がらなくなりました。
会社に行くわけではないので、ミズモチさんと大盛りラーメンで有名なお店に伺いました。
ミズモチさんのお腹を満たすためには、たくさん美味しく食べられるお店を探すとnew tubeにデカ盛りハンターという方々を見つけました。
ゾウさんという方の動画にとても美味しそうなラーメンが出てきたので、これを食べたいと思っていたのですが、会社があったので来れていませんでした。
私は普通のラーメンを頼んで、店主さんに魔物の挑戦でも良いですかと声をかけると快く承諾してくれました。
「ミズモチさん。今日はデカ盛りハンターミズモチとして、頑張っていきましょう!」
「ヴュ〜!!!」
30分以内に食べ切れたら賞金七万円、失敗しても七千円というリーズナブルなデカ盛りを見つけたので、ミズモチさんに味わっていただきましょう。
総重量は八キロにもなるそうです。
「ミズモチさん、それではスタートです!」
私がタイマーを落とした瞬間に熱々のラーメンにミズモチさんが飛び込みました。ダイナミックなミズモチさんをスマホで撮影して、食べている姿を見つめます。
ミズモチさんはラーメンプールを5分ほどで完食してしまいました。
「えっ? もう三杯食べたい? 店主さん、賞金はいらないので、おかわり三杯お願いします。もちろん、料金はお支払いしますので!」
5分で食べきって物足りなかったミズモチさんは総重量八キロのラーメンを三杯食べられてやっと満足していました。
私が一杯のラーメンを食べ終わるのと時間的には同じ程度に食べ終わっておられました。
総重量三十二キロのラーメンを食べきったミズモチさんは、ジャンボ餃子と、ジャンボチャーハンも食べておられました。
「かっ、完敗だ!」
店主さんが涙目でおられましたが、私は全ての料金をお支払いして、今後もミズモチさんと来させて欲しいとお願いしました。
「くっ!こっ今度は四十キロの特大定食を用意しておくからな!」
本日のミズモチさんは三十五キロほどの定食を食べられたので、それを超える物を用意してくれるそうです。
ちなみに、お代は三万円ほどだったので、リーズナブルですね。
「ミズモチさん。満足できました?」
「ヴュ〜」
(おいし〜)
どうやら上機嫌になっていただけたようです。
ミズモチさんとのランチを食べ終えたので、家に帰ってお風呂掃除をして、昼寝をすることにしました。
どうやら自身の回復さんは少しでも眠ると私の自己免疫力を向上させて痛みや怪我を修復してくれるようなので、1000回を振った体も休めば超回復が起きてくれます。
超回復という言葉を聞いたことがありましたが、自分の体で実感できる日が来るとは嬉しいですね。
「ミズモチさん、カオリさんが帰ってくる前に素振りをしてきますね」
「ヴュ〜!」
(いってら〜!)
私が家から出ると、離れた位置で五十代ぐらいの女性が慌ててどこかに行ってしまいました。
「うちの家を見ていたような気がしましたが、気のせいでしょうか? きっと気のせいですね」
一週間で一万回の素振りと言われましたが、二日で三千回の素振りができました。体の痛みも自身の回復さんが治してくれるので、結局四日で一万回が終わってしまいました。
そこで、五日目にミズモチさんの魔力補充も兼ねて冒険者ギルドと、東郷さんの道場によって見ることにしました。
「すいません」
事前に八千代さんにメッセージを送ってアポを取りました。
私と八千代さんはmain友達です。
「あらあら、いらっしゃいませ。阿部君」
「朝早くにお邪魔します」
「いいのよ。あの人も張り切って朝から道着に着替えて待ってましたからね」
八千代さんに通していただき、道場に入ると道着に木刀を持った平三郎さんが立っていました。
「来たかね。まだ五日。実質は四日だ。本当に一万回振ったのか、まずは素振りを見せてくれ」
「はい!」
ミズモチさんが定位置である八千代さんのお膝の上に乗り、私は木刀で素振りを開始しました。
五日前に持った時は重く感じましたが、現在は軽くすら感じます。
「むうう!!! 凄い!!! しかも筋肉痛も出ていないというのか?!」
「どうでしょうか?」
「素晴らしい!!! 阿部君! 君はどんな体の鍛え方をしているんだ! しっかりと上げて振り下ろせているぞ」
「振り下ろせている?」
「うむ。刀とは刃の部分をしっかりと当てねば斬れぬ。それは一本の筋を描かねればならぬのだ。それはどんな視線でも構わぬ。型など後からで積み上げられることができる。だが、刀として斬れぬ者にはいくら、教えても上手くはできぬ」
何を言われているのか分かりませんが、興奮する平三郎さんが褒めてくれているのだけは分かります。
とにかく私がしていたのは良かったようです。
「こっ、これで剣術を教えてくれますか?」
「もちろんじゃ! 基本の素振りができたのだ。次は型を覚えてもらう」
「はい!」
一歩前進です。




