史的唯物論を異世界に持ち込んだら、資本主義から作るハメになった
本来書きたいのはギャグ要素だったのに、筆を進めるに従って全然シリアスになってしまったので、改稿版を別途出すという方向性にしました
——まずは、資本主義を作るしかないな
転生して二日目の夕暮れ。村を見下ろす丘の上で、僕はそう呟いた。
理想からは遠いが、仕方がない。
本当に作りたいのは、そんなものじゃない。
誰かが生まれつき支配する側に立ち、誰かが生まれつき従う側に置かれる、そんな階級のある社会は御免だ。生まれや土地に縛られずに暮らせる世界がいい。
だが、それを実現するための共有化なんてものは、畑や道具をみんなのものにすればそれで済む、という話じゃない。
生産力、つまりどれだけ物を作って暮らしていけるかという力が低いまま、生産手段である畑や道具だけ共有しても、結局、みんなが同じように貧しいままで終わる。封建制という、領主が土地と人を縛っている仕組みをすっ飛ばして共産主義へ直行するのは、考えとしては筋が通っていても、現実にはうまく成り立たない。
だから——まずは、資本主義。
少なくともこの村では、市が立ち、人と物が動き、領主の外で食べていける働き口が生まれるところから始めるしかない。
前の世界で『資本主義的搾取の構造分析』という論文を書いた人間が、異世界で売り買いの場づくりから始める。皮肉な話だが、そうするしかない。
——話は、前の体で生きていた、最後の夜から始まる。
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【前世・現代日本・夜】
スマホが鳴った。
研究室の時計は、九時を少し回っていた。机の上には、十九世紀イギリスの工場法をめぐる論文と、労働相談の書面が散らばっている。赤ペンの跡は、どちらにも半分ずつついていた。
画面を見る。「佐藤」の名前が表示されている。
通話に出た瞬間、切迫した声が飛び込んできた。
「先生、田中がもう限界です。三か月休みなしで、今日辞めたいって言ったら損害賠償請求するって脅されて——さっき電話したら息が詰まってるみたいで、全然うまくしゃべれてなくて」
「落ち着け。田中本人とは連絡がついてるのか」
「さっきまでは既読がついてたんですけど、今は返ってなくて」
田中。真面目で、控えめに笑うことが印象に残っている。
三か月休みなし。残業代未払い。退職の妨害。よくあるブラックの構図だ。だからこそ、放っておけない。
法律や制度はある。けれど企業は巧妙にそれを回避して、人を限界まで使い潰す。
「連絡を続けろ。出なかったらメッセージを送れ。今から俺が行く、とだけ送っておけ」
「え、先生、どこに——」
「田中のところだ」
「そこまでする必要、ありますか」
「ある。こういう時に動かなかったら、俺は俺でいられない」
上着を掴み、そのまま研究室を飛び出した。
エレベーターを待つ時間が惜しくて、階段を駆け下りる。
田中のアパートまでは、走れば二十分ほどだ。
校門を抜けて、人気の薄い通りに出る。夜風が頬を打ち、肺が熱を持っていく。
着いたらどうするか、頭の中で手順を組む。まず休ませる。必要なら救急。明日になったら労基と大学と弁護士。会社が出てくるなら、対峙すればいい。
信号のある交差点が見える。青が点滅していた。
まだ渡れる。
そう判断して踏み込んだ、その瞬間だった。
視界の端で、ヘッドライトが白く膨らんだ。
クラクション。
ブレーキの悲鳴。
衝撃。
次に来たのは、背中に広がるアスファルトの冷たさだった。
息がうまく入らない。世界が横倒しになっている。
……冗談じゃない。
教え子を助けに行く途中で、こんなところで終われるか。
誰も、あいつを救えなくなってしまう。
そこで意識が途切れた。
⸻
【授命暦842年 3/1 朝】
湿った土の匂いがした。
最初に来たのはそれだった。
土と、干した藁の乾いた匂い。鼻の奥にまとわりつく、こもった土の匂い。
目を開ける。
木目の見える天井があった。
……木目?
体を起こそうとして、失敗した。思ったより重い。いや、違う。体に力が入らない。
手が小さい。腕が細い。
藁が肌に刺さった。チクチクとした粗い繊維が腕を引っかく。麻のような布から鋭利に突き出している。
周囲を見回す。
土間。土壁。壁に立てかけられた農具。小さな窓。差し込む朝日。その向こうに麦畑。さらに遠くに、石造りの建物が見えた。
痩せた女が、鍋で何かを煮ていた。ぐつぐつと泡立つ音がする。女が振り返って、僕を見る。
「ムーア、起きたの? まだ寝てた方がいいよ。熱があったんだから」
ムーア?
誰だ、それは。
いや、それが今の僕か。
頭の奥に、別の記憶が急速に流れ込んでくる。ムーア。イェニー。井戸の場所。村の道の曲がり方。畑の区切り。納屋の鍵。父の顔——記憶の中でも、声は出てこなかった。短く切れた生活の断片が、体が覚えている順に、とぎれとぎれに浮かんでは沈む。
前の人生の僕の記憶は、そのまま残っている。けれど、今ここで息をしているのは、ムーアという十三歳の少年だった。
事故のあと、知らない家で、知らない体で目を覚ました。
……転生、と呼ぶのがたぶん一番近い。
だが、そんなことを考え込んでいる場合じゃない。先に確かめるべきことがある。
空腹だ。信じられないほど腹が空いている。現代人には体感したことのないレベルの飢餓感だった。
イェニー——今の僕の母親だ——が椀によそった粥を差し出してきた。受け取る。熱が掌にじかに伝わる。木の椀は薄くて、縁がささくれていた。
口に運ぶ。
ひどく薄い。塩気もほとんどない。麦を水で煮ただけの味だ。
だが、腹に落ちた瞬間、情けないほど体がそれを欲しがった。
自分でも引く勢いで、椀の底をさらっていた。
「そんなに急いで食べたら喉につかえるよ」
イェニーが少し笑う。
よく見ると、目の下は落ちくぼみ、手の甲の皮膚は荒れ、爪の間には黒い土が入り込んでいた。
気がつくと、椀には何も残っていない。だが鍋の中身も、ほとんど残っていなかった。
「……母さんは?」
「わたしはいいんだよ、あとで」
たぶん、嘘だ。
自分の取り分を削って、熱のあった息子に回したのだろう。
自分の取り分を削ってくれたのだと思うと、胃のあたりが重くなった。
これでは、明日働く体をつなぐのがやっとだ。豊かさどころか、もう一度畑に立つだけの飯すら危うい。
前の人生なら、これは明日も働ける体を保てていない状態だと書いていたはずだ。今は、その当人になっている。
窓の外に目をやる。風が入り込んで、干した藁と土埃の匂いを運んできた。
麦畑が広がっている。その向こうに、石造りの館のようなものが見えた。
畑はある。だが、鍋は空に近い。
作っている側の暮らしが、これほど貧しい。
畑は三つに割られていた。何も植わっていない区画、青い麦の区画、穂が色づき始めた区画。
三圃制だ。畑を三つに分けて、一つを休ませながら回すやり方だ。生産量は、ただ畑を休ませるだけのやり方よりは伸びるが、それでも豊穣にはほど遠い。余剰も薄い。食べる分を超えて残る分がほとんどない、ということだ。移動も交換も制限されていれば、農民は飢えから抜け出せない。
かなり典型的な封建社会だ。
「……封建制か」
気づけば、声に出ていた。
イェニーの手が止まる。
「ムーア?」
「……なんでもない」
「まだ熱があるんじゃないのかい?」
「ちょっと、頭がぼんやりしてるだけだよ」
嘘だ。ぼんやりどころか、頭の中は忙しい。十三歳の体に、二十九年分の知識が詰め込まれたままなのだ。
イェニーはなおも疑わしそうな顔をしたが、それ以上は追及しなかった。
椀を置く。
状況を眺めている場合じゃない。目の前にあるのは、母親が自分の取り分を削らないと子どもに粥も回せない暮らしだ。
その日は寝た。翌日も、熱の名残で足元がふらついた。
それでも二日かけて、僕は村を歩いた。
家の隅にあった銅貨を一枚、懐に入れる時、一拍だけためらった。何のために残してある一枚なのかまでは分からない。だが、家にとって気軽に使える金ではないことだけは、断片的な記憶でも伝わってきた。それでも、この村で金が通じるか確かめるには、実際に使ってみるしかなかった。
朝の鐘が鳴ると、村人はぞろぞろと領主の畑へ流れていく。自分の畑より先に、賦役の畑だ。領主のためのただ働き、ということになる。鍛冶場で『これで新しい鍬を買いたい』と銅貨を出してみたら、「何言ってんだ、坊主。これは領主さまの鉄だ。売り物じゃねえ」と返された。隣の家が卵を分けてもらっていたが、銅貨は出ていない。返すのは、いつかの手伝いだ。粉を挽く石臼も、森の木も、かなりのものが誰かの許しの下にある。
市はない。農民が勝手に物を売り買いする場を作ること自体、あの領主の館が許さないのだろう。
値を言い合う声もない。
行商がたまに来るらしいが、それは「待つもの」であって、暮らしの段取りに組み込めるものではない。物はある時だけある。ない時は、ない。
自由に移動することは難しい。自由に物を売り買いすることは、もっと難しい。人は自分の意思より先に、どの土地に属し、誰に支配されるかで生き方を決められている。
封建制は、ただ貧しいだけじゃない。
人を場所に縛り付けて動けなくする仕組みだ。
そして二日目の夕暮れ。
藁葺き屋根の家々から、夕餉の煙が細く昇っていた。煮炊きの匂いが風に乗って丘まで届く。
村を見下ろす丘の上に、僕は立っていた。
赤い空。沈んでいく太陽。眼下には三圃制の麦畑。その向こうには領主の館。
自由な時間が欲しい。階級をなくしたい。畑も道具も、生きるために必要なものを、一部の人間が握って他人を縛るための手段にしたくない。
けれど、この村にはその前提がない。
共有化は魔法じゃない。生産力が低いまま生産手段だけ共有しても、結局、みんなで同じ貧しさを抱えるだけで終わる。余剰がなく、流通がなく、市場がなく、人が領主の外で食べていける道もないままでは、結局は貧しさをどう配るかという話にしかならない。
封建制を壊すには、その次の社会の形が必要になる。
つまり——
「……やっぱり、資本主義を作るしかないか」
「何を言ってるの」
背後から、抑揚のない声がした。
振り返る。
二日間、村で何度か見かけた赤い髪の少女——ローザが、薪を背負ったままこちらを見ていた。痩せた腕に大きすぎる束を抱え、裸足の指先は赤く腫れている。薪の紐は腕に食い込み、いかにも痛そうだった。
そのくせ、目だけは妙に冷静だった。
「夕方の丘で一人で何ぶつぶつ言ってるの。怖いんだけど」
ずいぶん遠慮がない。
「……いや、理想っていうより、今よりましな仕組みのことを考えてた」
「もっと怖いよ、頭がおかしいの?」
まあ、そうだろう。
夕焼けの丘でひとり経済史をぶつぶつ言っている少年は、はたから見てかなり駄目だ。
ローザは薪の重さを片足で支え直しながら、面倒くさそうに言った。
「で、何。理想の社会って」
「聞きたいの?」
「聞いてすぐ後悔しそうだけど、一応」
予防線まで張られた。
僕は咳払いをした。こういうのは、最初の言い方が大事だ。
「朝から晩まで働き詰めじゃなくていい社会だよ」
「ふうん」
「腹いっぱい食べられて、病気ひとつで人生が終わらなくて、子どもが子どものうちから働き潰されなくて済む社会」
「それはいいね。できるなら」
「それから、生まれた時から偉い側と頭を下げる側に分かれてないこと」
「うん。そこまでは分かる」
「畑とか道具とか、人が生きるのに必要なものを、一部の人間が握って、他人を縛るために使わないこと」
ローザは眉をひそめた。
「最後のが急に分かりにくい」
「つまり、働くために必要なものを持ってる相手に、一生頭を下げ続けなくていいってこと」
「最初からそう言えばいいのに」
「最初からそう言おうとした結果がさっきだよ」
「失敗してたけど」
容赦がない。
僕は軽くむせた。
「……ともかく、そういう社会が理想なんだ」
「欲張りだね」
「最低限だよ。食えることと、頭を下げ続けないことは、同じ話だ」
「最低限の量じゃない」
ローザは言ってから、薪を少し持ち直した。
「で、その怖い理想のために、なんでさっき資本主義とか言ってたの」
よし。そこだ。
僕は少しだけ前のめりになる。専門分野の話になると、どうしても熱が入る。
「封建制っていう、領主が土地と人を縛っている今の仕組みの次に来るのが、資本主義だからだよ。共有化も、みんなで分ければ済むって話じゃない。作れる量が低いまま、畑や道具みたいな働くのに要るものだけ共有しても、貧困の平等配分にしかならない。だからまず商品生産、つまり売るための物作りを増やして、市場、売り買いする場所を広げて——」
「呪文みたいなことを言うのをやめて。気持ち悪い」
「まだ結論に入ってない」
「入る前に終わって。長くなる前に」
ひどい。
だが、ローザ相手に講義モードへ入るのは悪手だ。理論に忠実であることと、聞き手に優しいことは別問題である。
仕方なく、言い換える。
「……要するに、いきなり『みんなで分けよう』って言っても、そもそも分けるものがないんだ」
「そこはそう。鍋の中身が少ないのは分かる」
「今のこの村、鍋の中身が少なすぎるだろ。畑も道具も領主に握られてるし、人も土地に縛られてる。これを壊すには、まず人と物が今よりもっと動くようにしないといけない」
「人と物が動く?」
「余り物でも持ち寄る場所があれば、行商も寄りやすくなる。作った物を売れて、欲しい物を買えて、領主の畑の外でも食べていける口が少しずつできる」
「それが、資本主義?」
「正確には、その入口だよ。市ができて、人と物が動き始めて、やっと次の段階に進める」
ローザは僕の顔をしげしげと見た。
「何で嫌そうなの?」
「嫌だよ。必要な段階なのは分かる。でも、それを理想みたいに言うのは違う」
「意味がわかんないよ。理想の世界なんでしょ」
「時代が進んで資本主義になっても、今度は金を持った連中が、土地とは別のやり方で人を使い潰すんだ!それで良いかは別だよ!」
「なに怒り始めてるの?普通にヤバい人だよ。でも、豊かになるんでしょ」
「今のままよりは、たぶんずっとましになる」
「じゃあ、いいじゃない」
「よくない。その先が——」
ローザはそこで、ぴしゃりと切った。
「わたしたちは、そんな先のことを考えてる余裕ないよ」
言葉が止まる。
ローザは薪の束を背負い直した。細い腕に紐がさらに食い込む。
「病気になれば死ぬし、凶作が来たら子どもとか年寄りから先に死ぬ。来月のことも分からないのに、その先の、そのまた先がどうとか言われても困る」
淡々とした口調だった。
怒っているわけでもない。ただ、まず目の前の生存を考えないといけない暮らしをしているだけだ。
「わたしたち、そんなに暇じゃない」
その言葉に、はっきり突かれた気がした。
そうだ。彼らが限界のところで生きていることは、頭ではわかっていたはずなのに。理論を並べ始めると、目の前の切実な飢えから目を逸らしそうになる。学者時代の悪い癖だ。
僕が頭の中で並べていた歴史段階、言い換えれば時代が進む順番の話も、理想社会の話も、この村の人間には遠すぎる話だ。
明日の飯。次の収穫。冬を越せるかどうか。
まずはそこだ。
「……そうなんだよ」
思わず、少し強い声が出た。
「だからまず、その入口を作るしかないんだよ。くそ、理屈としては正しいのが一番腹立つ」
ローザは真顔のまま言った。
「忙しそうだね、頭の中。暇なの?」
「暇じゃないけど、大変だよ」
「見れば分かる。頭の中だけ忙しい顔」
この少女、想像以上に遠慮がない。
だが、その遠慮のなさのおかげで、かえって頭が冷えた。
理想は遠い。だからこそ、最初の一歩は具体的でなければならない。
「……今、困っていることは何?」
僕がそう聞くと、ローザは露骨に嫌そうな顔をした。
「これ何か協力する流れ?キモいんだけど」
「協力じゃない。聞き取り調査だ」
「もっと嫌。やるなら普通に聞いて」
それでも、少し考えてから答えた。
「塩。あとは針がなくて困るかな」
「やっぱりそうか。飯が味気ないもんな。針がないと繕い物もできないし」
「やっぱり、って何。普通に困るよ。塩は行商が来た時だけ。針なんて、折れたら終わり」
針や塩といった生活に要るものが、恒常的には手に入らない。
欲しいものはある。だが、それを持ってくる人間も、並べる場所も、買う習慣も整っていない。
物を売るにしても、作らなければ始まらない。だが、先に要るのは工房じゃない。余り物でも持ち寄れ、行商も立ち寄れる売買の場だ。
「市だ」
「急に話が小さくなったね」
「小さくない。最初の一歩だ」
「さっきまで階級がどうとか言ってたのに、結局やることは市なの?」
「そうだよ。嫌だけど」
「面倒くさい人だね」
「理論に忠実だと言ってほしい」
「バカでしょ」
ローザは呆れたようにため息をついた。
「市ってそんな簡単に作れるの?」
「簡単じゃないけど多分作れる」
「で、どうやって」
「そこは、これから考える」
「今まであんなに偉そうに喋ってたのに?」
「方針と実務は別なんだ」
「便利な言い方」
ぐうの音も出ない。
ローザは最後にもう一度だけ、僕を上から下まで見た。
「でも、欲しいものがいつでも買えるなら、今よりは少しはましかもね」
その一言は、今の現実をそのまま言い当てていた。
自由時間も、階級の廃絶も遠い。生まれつき偉い側と頭を下げる側に分かれない社会も、畑や道具をみんなのものにする話も、まだ先だ。だが、針や塩が、ないままで終わらない場所なら、作れるかもしれない。
そして、たぶん、そういう売買の場を作るところからしか始まらない。
ローザはくるりと踵を返した。
「じゃ、邪魔。帰るから道あけて」
「ひどいな」
「夕方の丘でわけわかんないことを言ってる人にはふさわしいでしょ」
そのまま、草を踏みしめて下りていく。赤く腫れた裸足。薪の紐が食い込んだ細い腕。手持ち無沙汰なのか、指先で糸くずをいじっている。
あの重さを、あの体で毎日運んでいる。
明日も鐘が鳴る。鐘に呼ばれる朝が来る。
足元の草を踏み、僕は丘の斜面に一歩踏み出した。
市を作る。
針を買える場所を。塩が「たまたまある」じゃなく「いつでも買える」に変わる場所を。領主の外で食べていける人間を、少しずつ増やす場所を。
共産主義へ行きたいくせに、最初にやることが市場づくりだなんて、まったく出来の悪い冗談だ。
それでも——
「まずは、資本主義だ」
全くやりたくもない第一歩を、僕は踏み出した。




