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異世界とは愛すべき者達の居る世界  作者: かみのみさき
一章 異世界とはケモ耳幼女が居る世界
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5話 異世界の現実.1



 俺は今、元豚野郎(肉)に追われた時よりも更に窮地に立たされているのだと実感している。


 背後をチラッと見ると、可愛い形相で血の跡をべっとりとつけながら、斧を持った犬耳幼女が凄い速さで追いかけて来ているからと言うか速っ!?


 少し考えている間に横に並ばれた!?


ヒュンッ

「おぉおあああ!?」

 転がる様に身体を前に向け、頭があった場所を斧が通り過ぎていく。

「ミルン! 殺す気か!?」

 犬耳幼女ことミルンは斧を振りかぶる遠心力を上手く使い更に追撃して来た。


 今度は脚!?


 無様に飛び跳ねて何とか回避したもののミルンがその勢いのまま身体を捻らせて下から斧を振り上げようとしている。

 

 そこは駄目だぞミルン!?

 飛び跳ねている為避けれない!!!

 狙われているのは一刻前に血塗れミルンがモゴモゴと食していた部位。


 斧がその部位目掛けて振り上げられる。


「そこを!」

 空間────────────

 「潰されてったまるかぁあああ!!」

────────────────収納!!


 ミルンの頭上に、大量の元豚野郎(肉)を雨の様に降らせた。


「お肉!?」


 ミルンが勢いを殺し、元豚野郎(肉)に目を奪われた瞬間、俺は何とか身体を捻り斧を回避つつ更に森の奥へと駆け出していった。


「まっ──」


 遠くで響くミルンの声が、少し寂しそうに聞こえたのは、幻聴であろう。


【5話 異世界の現実】


 ミルンに追われてからどれ程の時間が過ぎたのか。

 とりあえず俺は今、ボロ屋と川、森の位置から考えてのミルンが言っていた村を探している。人種の村、獣族は村に入れないと言っていたので避難所としては最適であろう。


 俺はヒュンッとなった股間を押さえ更に進んだ。

 

 ふと、小麦粉の焼けた匂い?


「こっちか!?」


 少しワクワクしながら匂いを辿り、光が差し込み森を抜けた先で躓き、目の前の落とし穴に落ちて行き…意識を失った。


           ※


 両親が死んだという連絡を警察から受けたのは、仕事での受注ミスにより会社に大損害与えたとして会社から お前、クビ と解雇通告を受けて家に帰っている最中だった。


 特別仲が良いとか悪いとかといった事も無い普通の家族。


 ありきたりな毎日にありきたりな俺。


 そんな時に両親の訃報。


 二人で買い物中に薬物中毒で頭が飛んでいる奴が母に襲い掛かり、それを護ろうと父が庇って結果二人共が亡くなった。


 周りの人は何もせずただ見ていただけ。


 で、亡くなった後にマスコミだの知りもしない親族だの金を貸していたと宣う知人だのが現れて何やかんやと争った後、結果全て俺が相続する形に納まった。そうなるように納めた。


 結果、独りぼっちのアラサーニートの出来上がりっと。

 お金があっても贅沢する気も無く、起きて飯食って、糞して、スーパー行って、飯食って、糞して、寝る。


 そんな時ふと、思ってしまう。

 生きているだけの毎日を過ごしている俺は、何も残せずに死ぬのだろうと。


            ※


「おいっ起きろ!」


 遠くでおっさんの声が聴こえる。

 俺は薄っすらと目を開けて、直ぐ閉じる。


「あっ、こらっ起きろって!」


 遠くでおっさんの声が聴こえる。

 俺は薄っすらと目を開けて、直ぐ閉じる。


「起きろって言ってるだろう!!」


 ドスっと腹に何かが刺さり、痛みで一瞬で目が覚めた。


「痛っつー何しやがる!?」


 俺は身体を起こし周りをみる。

 前には鉄格子、側面には壁、後ろにも壁、ニ畳程の広さに、角には小さな臭う穴。


 うん、牢屋じゃん。


「ようやく起きたか、あと少しで村長が来る。お前が何処の誰かは分からんが失礼の無い様にしろよ!」


 おっさんが棒を俺に向けながら注意してきた。


「おい、Mに目覚めたら責任取らせるぞ!!」

「Mって何だ?尻をこっちに向けるな気持ち悪い!!」


 Sに目覚めても責任取らせてやる。


 俺は心の中でそっと呟いた。



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