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異世界とは愛すべき者達の居る世界  作者: かみのみさき
六章 異世界とは古き民が居る世界

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13話 天然混じりの恐怖のドジっ子.9



 四月十一日、午後二時半。

 朝に暇だと言ってた筈が、色々な事が一気に押し寄せて来て、無駄に忙しいよね。

 橋の上に、少し大きめのテーブルを設置して、ノブストン側に三名、アッジスノード側にも三名座わり、向かい合っております。


「えーっ、只今より、大国ノブストンと、アッジスノード王国の、代表会談を始めるの。進行役は、ミルンにお任せっ」


 うん、なぜかミルンが仕切ってんの。可愛いから良いんだけどさ。


「ワンブルですーっ、可愛いですねーっ」


「っ、陛下。あのワンブルは、敵側の者。頼みますから、黙ってて下さい」


「ふんっ、何故ワンブルがここに居るのだっ! 彼奴らは、北部から下りて来ぬ筈っ!」


 ノブストン側に、知らない奴が居るけど、何あの巨体……贅肉たんまり肉厚じゃん。


「発言をする場合は、挙手して下さいなっ。挙手しない場合、強制退席なのっ」


「はいっ! はーいっ!」


「あなたはだあれっ!」


 そりゃあね、ミルンは知らんだろう。それなのに何で、仕切ってるのかな?


「エルララルラ・ポーノグリトス・ノブストンですーっ。貴女はどこから来たの?」


「ミルンですっ。ファンガーデンから来たの」


「撫でさせてーっ?」


「丁重に、お断りします。次の質問どうぞっ」


「ええっ!?」


 素で断られてやんの。犬人のミルンは、危機察知能力も高いから、無邪鬼の女帝から、何かを感じ取ったんだろう。


「ふんっ、次は儂だっ!」


「あなたはだあれっ! ギョロ目の太っちょ?」


「きっ、貴様失礼だぞっ! 儂はダブレス・ダダンっ! この国の大臣であるっ!」


 大臣が複数人居るのか。そりゃぁ、ポンポンお亡くなりになってるから、数居ないと国が回らんし、考えてみたらそうか。


「チャッフ・デフレイヤ・ルボワ・ノル・ポメラリオン国王に、提案だ。今直ぐここで、降伏宣言をすれば、命だけは助けてやろう。これを聞き入れぬ場合……無事では帰さんぞ」


 この大臣、開口一番に脅しでくるの?


「ふぉっふぉっふぉっ。君は、相変わらずの様だね、ダブレス大臣。幼き女帝を追いやって、好き放題かい?」


「貴様こそ、どうやってここ迄来たのかは知らんが、馬鹿な事をしたな」


「馬鹿な事かい? 首都目前まで迫られて、内心は、冷や冷やしてるんだろう? 見た目と違って、君は臆病者だからね」


「だっ、誰が臆病者だっ!!」


「臆病者だから、洗脳と言う手段でもって、じっくりと我が国を、陥す予定だったのだろう」


「ぬぐっ……っ、大人しく滅びておれば良いものをっ、しぶとい奴めっ」


 どうやらチャッフ国王は、誰が黒幕なのかを、知っていた様だな。この感じだと、そこそこ長い付き合いっぽいぞ。

 そんなら次は、俺の番だろうか?

 そっと手を上げて、ミルンに合図を送る。


「はいっ、お父さんっ!」


「何っ、あのワンブルの父親……?」


「変態さんが、パパンですかーっ?」


「ワンブルの父親が、人種?」


 ノブストン側の三人が、同じ様な顔を向けて来るのは、分からんでも無い。エイドノア大陸でも、不思議に思われてたからな。


「父親で悪いか? 知らん顔が居るから、改めて自己紹介するぞ。アッジスノード王国の同盟者、魔神流だ」


「きっ、貴様が報告にあったっ……万の軍を蹴散らしたとされる奴かっ!?」


「おっ、やっぱり知ってんだな。お宅のとこのペペルーノから、色々と聞いたぞ?」


「っ……まさかっ」


「侵略した目的は、あの防衛施設と、その先にある、不滅の岩だろ?」


「ぐくぅっ、スパンキンの奴めっ」


 この大臣も、分かり易い奴だよな。腹芸が下手過ぎて、全部顔に出てんだもん。


「時間も勿体無いし、これを読んでくれ」


 女帝、ペヘッホ大臣、タブレス大臣の前に、こちらの要求を、纏めた紙を出す。

 それに目を通した、タブレス大臣の顔が、見る見る真っ赤になって、血管が浮き出て気持ち悪い。


「何だこの内容はっ! 巫山戯ておるのかっ!」


「巫山戯て無いぞ? そもそもが、お前らがアッジスノードに、ちょっかいをかけたんだ。そんぐらいの賠償で済むなら、安いモノだろ?」


「この橋を新たな国境とするなどっ、認められる訳が無かろうがっ!!」


「認めないなら、それでも良いんだけどさ。その場合、交渉決裂と言う事で、俺らがあの首都を陥すけど……耐えられるのか?」


「んなっ!?」


 攻める気は毛頭無いけど、脅しには使う。

 丁度ミルンが拳を握って、「攻め込むのっ」とヤル気を見せているし、ハッタリとは気付かないだろう。


「因みに、持ち帰って検討も無しだ。ノブストンの女帝と、アッジスノードの国王が揃ってるんだし、今この場で決めて貰う」


「はいっ! はーいっ! この条件を飲んだらっ、うるちゃんを返してくれますかーっ!」


「うるちゃんは、お前の国の者じゃ無いだろ。返すとしたら、レッツァマーダ魔導国にだろうな。ペペルーノなら返すぞ?」


「ぺぺは要らないからーっ、うるちゃんでお願いしますーっ。うるちゃんを返してーっ!」


「ぐっ、陛下は黙ってて下されっ!!」


 自国の女帝に対して、黙れとか。この国を、実質的に治めてるのは、ダブレス大臣なのか。


「ダブレス大臣、念の為に言っておくぞ。この場だけ約定を飲んで、後からそれを、反故にした場合、ガチでノブストンを攻めるからな」


「ぐぎっっっ」


「あんた全部、顔に出てんのよマジで」


 人を殺し、殺される戦争は嫌いだ。

 しかし、戦とは何も、それだけを指すモノでは無く、やりようは他にも有る。


「さあどうするよ、ノブストン」




 次回は、四月八日午前七時半、更新。

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