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異世界とは愛すべき者達の居る世界  作者: かみのみさき
六章 異世界とは古き民が居る世界

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13話 天然混じりの恐怖のドジっ子.10



 もしもノブストンが、こっちの条件を飲まなければ、即座に行動する。

 何をするのかって?

 あまりやりたくは無いが、迅号を使って、ノブストンの領土内を駆け巡り、作物を確認次第、空間収納で、土ごと根刮ぎ頂く。

 するとどうなるか……分かり切った事だ。

 困った人達は、国へ助けを求め、場合によっては、その地を離れる事になるだろう。

 

「もう一度聞くぞ。どうするよ、ノブストン」


 早く決めないと、兵站責めを行なって、大国ノブストンを、食料難にしちゃうぞ。

 そうなれば、飢えた民衆を扇動して、首都へ集中させる事も可能だし、国の崩壊の始まりを、作り出せる。

 

「お父さんのお顔が、過去一悪いのっ」


「ふぉっふぉっふぉっ。本当に、小々波君と敵対せずに済んで、良かったよ」


「魔王よりも、凶悪な笑みですなっ……」


 ミルン、チャッフ国王、デンバー副団長の三人が、俺を見て、半笑いをしている。


「貴様っ……何を企んでおるっ」


「んっ? 何でお前に話さにゃならんの? 聞いたら答えるとでも、思ってんの?」


「変態さんは、何をする気ですかーっ?」


「変態じゃ無いってっ、何回言わせんだゴラァっ!! ガチで兵站根刮ぎ奪うぞっ!!」


「兵站っ……」


 あっ……怒りでポロっと言っちゃった。まあ、バレても別に、問題無いか。


「ペヘッホ大臣は、何か気付いた様だな?」


「ええ。このテーブルや椅子は、一体何処から、持って来たのですか?」


「俺のスキルで、"空間収納"っと。こんな風に持って来たけど、それが何か?」


「っ……通信を受けてから、日が経ってい無いと言うのに、首都目前まで来る、異常な速さと、そのスキルを組み合わせれば……ですか」


 この大臣は、そこそこ頭が回る様だ。

 女帝にポッキリされかけてた、雇われ大臣だから、ただの生贄かと思ってたぞ。


「どう言う事だペヘッホっ! この男はっ、何を言っておるのだっ!」


「ダブレス大臣。ここでこの要求を、受け入れられなければ……我が国は他国に攻め入られ、削り取られてしまいます」


「何っ、そんな訳があるかっ!」


「陛下。この要求を、受け入れるかどうかは、陛下が御判断下さいませ」


「かっ、勝手な事を抜かすな馬鹿者っ!!」


 ダブレス大臣の、お怒りモード。しかし、ペヘッホ大臣は、無視をしているってか。

 そりゃそうだ。

 そもそも、ただの大臣が女帝の意思を無視して、好き勝手決めれる問題じゃ無い。


「えっとーっ、煩いですよ大臣っ」


「なっ────ぼぎゅっ!?」


 因みにこの女帝は、席の真ん中に座っているのだが、向かって左側が、ダブレス大臣だ。

 そのダブレス大臣が────バギィッとテーブルに叩き付けられ、動かなくなった。


「あっ……軽く叩いただけなのにっ、またやっちゃいましたーっ。うぅっ、手に脂が付いて、気持ち悪いですーっ」


「……軽く?」


「んしょっ、んしょっ、退避するのっ」


 テーブルの真ん中に居たミルンが、俺の肩の上に避難して来る程に、危険な奴だわ。

 

「ふぅ、綺麗になりましたーっ。それで、ペヘッホ大臣。私が決めても、良いんですかーっ」


「えっと、はい。大臣と言う立場の、私の意見を申しますと、ここは、要求を飲むべきではありますが、判断するのは、陛下で御座います」


「うわぁ、初めての公務ですーっ」


 目をキラキラと輝かせて、まるで初めて、お使いを任された、子供の様な顔だ。

 十歳だから、子供なんだけどね。


「ぷにぷにのおじ様っ」


「何だい、エルララルラ王」


 他国の王様を、ぷにぷに呼びとかっ、本気でこの女帝、教育を受けて無いな。


「うるちゃんを返してーっ」


「その件は、小々波君に一任してるよ」


「うぅっ、さっき駄目って言われたーっ」


「僕には、どうしようも無い事だね」


 女帝がチラチラと、俺を見て来るが、そう簡単に、円堂を渡す訳にはいかない。


「うるちゃん……駄目ですかぁ?」


 諦めの悪い女帝だなぁ。


「さっきも言ったが円堂は、レッツァマーダの者だろ。交渉材料だから、駄目だな」


「うるちゃんを返してくれたら、要求を全部飲みますしーっ、なんなら、レッツァマーダへ渡りを付けて、安全に行けますよーっ」


「……何て?」


「レッツァマーダ魔導国とは、遠い親戚の様なものですしーっ、どうですかーっ」


 遠い親戚? そう言えば、この女帝の称号って、"神を蹂躙せし者の末裔"だっけか? やっぱりこの女帝、古代人の子孫なの?

 レッツァマーダ魔導国は、古代人達を保護する国。その末裔が、この女帝ならば、遠い親戚と言えなくも無い。


「なんだよ、ちゃんと交渉出来るじゃん」


「えへへっ、初めて褒められましたーっ」


「褒められるのも、初めてとか……」


「お父さんっ、気を許しちゃ、めっ! あの女の子から、嫌な気配を感じるのっ」


 肩の上のミルンが、ガチで警戒している。

 無邪鬼とか、意味不明な存在だから、関わり合いになりたく無いけど、ここは妥協するしか無いだろう。


「なあミルン。無用な戦が無血で終わって、古代人が居るであろう、レッツァマーダ魔導国に行けるのなら……有りじゃないか?」


「むぅ……そうだけどっ」


「僕としては、有りだと思うよ?」


「チャッフ国王は、賛成派か……それなら円堂には、人身御供になって貰おうかね」


「うるちゃん返してくれるのっ!」


 俺の言葉を聞いた女帝は、喜びの余り、テーブルを叩き、バギンッとそれを破壊しました。

 ミルン工房製の、お高いテーブルなんです。

 もうこいつに、動いて欲しく無いわぁ。


「こっちの書類にサインして、国境の線引きをしたら、返してやるよ」


「早く終わらせますーっ! 大臣っ! 私の印を、持って来て下さーいっ!」


「畏まりました。それと陛下。このダブレス大臣は、如何なさいましょうか」


「んっとーっ、要らないですーっ」


 テーブルが壊れた所為で、地面に口付け中の大臣は、失神している間に、無職となりましたってか? 酷でぇ……。


「でもコレで、何とか戦は、収まるかなぁ」


「戦い終わり?」


「そうだぞミルン。これなら、ミユンとの交代にも、間に合いそうだわ」


「それは良かったのっ」


 地味に疲れたわぁ。早く終わらせて、キュッと一杯を、楽しみたいもんだ。




 次回、四月九日、朝七時半更新します。

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