10話 影さんと一緒.7
12/4 加筆修正致しました。
「そうだね、タイミングバッチリだね。絶対見てるよな。おーい、せめてレベル上げろよおおおおおお────っ!?」
「っ、おとうさん?」
俺の声に、膝の上のミルンがビクッとし、影さんが怪訝な目を向けて来た。
そういえば、頭の中に、変なアナウンスが流れてくる事、誰にも言った事無かったな。
側から見たら、ただ奇声を上げているだけの、危ない奴……っ、リシュエルの所為だろ。
「驚かせて悪かった。その……なんて言ったら良いいのか、頭の中で……」
頭の中で、声が響くんだ。
なんて言ったら、本気で危ない奴じゃん。
病院行って?
はいっ、話終わりっ! さようならぁっ!
「流さんは、祝福を受けてますね。御安心下さい。其れは、見えておりますので」
「分かるのか?」
説明する手間が省けた……けど、今見えてるって言ったよな。何が見えてんの?
「私は魔眼持ちですので、相手のスキルや称号を、見る事ができます」
「魔眼っ、厨二病以外で初めて見たぞ。本物の魔眼持ちって、キメ台詞とか言わないのな!」
「……キメ台詞? しかしその祝福が、どの様な効果をもたらすのかまでは、見えませんので」
ステータス一覧の、外側だけ見れるのか。
それだけでも、結構便利じゃん。
スキルの名称だけでも、相手の能力を考察出来るし、戦略が立て易い。
「それで、怪訝な目をしてたのか。要は、俺の頭の中に、そのリシュエルって言う天の使いの雑音が、時々響くんだよ」
しかも、大体がタイミング悪い時にな。
雑音、騒音、幻聴、浣腸……下剤?
「"声が"響くですか……ならば尚の事、リシュエルが接触して来るやも知れません」
「その時に、一発殴れば良いんだな?」
「お願い致します」
ボコって殴って張り倒す。
それぐらいなら、全然構わない。だって、散々俺を、煽って来たからなぁ。
「だけど、孤児院のケモ耳っ子達を、保護するのは、俺一人じゃ難しいから、少し待ってくれ。魔王に成る成らないは、別として、全力を尽くすからさ……」
可愛いケモ耳っ子達の為になら、全力で、やれる事をやるだけだ。
俺の言葉は伝えたが、どうだろうか。
「分かりました。流さん……どうか子供達を、お願い致します」
「ああ。何とかして見せるさ」
ケモ耳っ子達を、保護する方法。
確実な方法が有るんだけど、それをする為には、下準備と言うか、根回しをしないとな。
「それで、俺の母さんの名前を知ってる理由は、教えてくれるのか?」
「勿論で御座います。私の生において、最も貴重で、最も大切な、思い出になります……」
影さんは、ゆっくりと口を開き、思い出す様に、それを語りはじめた。
十年程前に、一人の少女と出会った話。
過ごした時間は短かったが、あの時が有ったからこそ、今も子供達と居られると。
少しの後悔と、感謝を込めて。
◇ ◇ ◇
一人の獣族の少女。
いつ死ぬかも知れない、過酷な状況。
偶然その場に、時の王子が現れ、その獣族の少女に、心惹かれる。
その王子は、獣族を虐げる王を滅す。
後を妹に任せて、少女の元へ。
少女を連れ出し、ひっそりと暮らした。
その少女の名が、小々波由香里。
転生者であり、称号、リシュエルの悪戯を持つ、天の使いに、生を狂わされた者。




