10話 影さんと一緒.6
12/4 加筆修正致しました。
影さんに待つ様、部屋に通されたので、硬めのソファに座り、ミルンを膝の上に乗せて、まったりとティータイム。
村長宅から持ち込んだ高級茶葉を、空間収納からほいっと出して、全力で寛いでいます。
「あぁ……何か一気に疲れた」
「おとうさん。だいじょうぶ?」
「大丈夫だ。ずずっ、お茶が旨いねぇ」
「おじいになってるのっ」
ミルンの頭を撫でながら、ぼっーと、今までの事を、思い返してみる。
「何で、ここに来たんだろうなぁ」
食料品店を出て、気付いたら森の中。
豚野郎さんこんばんは。
崖から落ちて、桃尻でミルンに助けられ、いつの間にかここに居る。
「ミルンが一緒に居てくれるだけで、癒されるけど、生活どうすっかなぁ」
「せいかつ?」
「そうだぞ。職探し……異世界に、ハロワはあるんだろうか。冒険者?」
日本だと、まだまだお金有ったのに、今居るこの場所、異世界だからね。
金無し職無しやる気無し。
このままニート拗らせて、何処ぞで籠って野垂れ死にってのは、嫌だしなぁ。
ミルンの尻尾をモフモフ。
「あぁ……働きたく無い」
「あーっ、はたらきたくない」
ミルンが俺に被せて来た。
流石ミルンさん、俺の言いたい事を、良く分かってるじゃ無いか。
「それじゃあ、働いたら?」
「まけなの!」
「ミルンさんや、何でこのネタ知ってるの?」
そんなやりとりをしていたら、扉がノックされ、影さんが入って来た。
「お待たせして、申し訳ございません」
「そんなに待って無いぞ。影さんもお茶飲む?」
「何処でそのお茶を……有難く頂戴します」
影さんはゆっくりと歩き、反対側のソファに座って、俺が差し出したお茶を一口。
そして、シュルッと黒外套のフードを取って、俺の顔を見て来た。
「改めて……初めまして、小々波流さんに、ミルンさん。私は"影"と申します。お二人にお会い出来る日を、心待ちにしておりました」
「めっちゃ美人っ……マジか」
「きれいなおかお!」
腰まで伸びた、黄金に輝く髪色。
凛とした眼差しには、どこか神々しさをも感じ、均整の取れた顔立ちとも相まって、正に、人外の美であろう。
そして、その人外の美を持つ存在の、一番の特徴が、細長く大きな、立派な耳。
「エルフっ、エルフですよね?」
異世界あるあるのっ、エルフっ!!
ヤバいぞ……影さん美人過ぎて、顔を直視出来ませんよこんなの。
「ミルンっ、尻尾をこっちにっ」
「どうぞ!」
「モフモフ……っ、心よ落ち着けっ」
やっぱり、ミルンの尻尾をモフると、落ち着いてくると言うか、気持ち良い。
「ふふっ。思っていた通り、流さんの反応は、ユカリにそっくりですね」
俺は、影さんが発した一言で、ミルンの尻尾をモフるその手を止めた。
ゆっくりと、影さんを見る。
「誰が誰と……そっくりだって?」
ユカリ……由香里?
いや、聞き間違いだろ。ここは異世界で、似た様な名前が沢山……ある筈だよね?
「小々波、由香里。貴方と縁のある、御名前だと思うのですが、違いますか?」
「待ってくれ……っ、確かに、良く知っている人の名前だ。名前なんだけどっ、何で影さんが、その人の名前を知ってんだ?」
その名前は、俺が引き籠る前に亡くなった、母さんの名前だ。何で異世界まで来て、初めて会う影さんが、その名前を知ってんのさ。
「其れも含めて、私が知り得る限りの情報を、お伝え致します。代わりにどうか……お力添えを」
「力添えって……」
ヤバいっ、混乱してきたぞ。
この美人エルフさん綺麗だなぁ……とか、見惚れてる場合じゃ無い。
「ええっと、その何だ、俺に何をして欲しいんだ。言っちゃなんだが、俺は無一文の根差し草だから、力になれ無いぞ?」
「おとうさんっ、おかねなし!」
ミルンが尻尾をピンッとしながら、的確に心を抉って来るよ。
金無しって、ストレートに言わないで?
間違っちゃいないけど、泣くよ?
「分かりました、端的に申します。流さん、貴方にお力添え頂きたいのは、魔王となりこの孤児院の子達を保護して頂きたい」
「まおっ……何で魔王……」
「ここの治安は悪く、私だけでは、子供達を守り切れません。しかし魔王が居れば、手を出す者は少なくなるでしょう」
「ボソッ(既に半魔王なんですけど、ガチ魔王にジョブチェンジしろと?)」
「そして……願わくば、リシュエルと言う、天の使いを滅せ…とは言いませんし、出来ないと思われますので、殴り付けて欲しいのです」
「はぁ……? んんっ?」
頭がいっぱい胸いっぱい。
頭上でミルンが尻尾を振り振り、走り回ってひよこと戯れ、そのまま育てて胃袋インっ!!
「要するに……俺が魔王になって、ふはははっ! ケモ耳っ子達は、俺のモフモフだっ!!」
こう宣言して、俺が肉壁となり、危ない奴らから身を挺して守ると。
「もう一個が、天の使いである、リシュエルに合ったら、マウント取って、殴って殴って蹴り上げて……リシュエルって、聞いた事ある様な?」
リシュエル……何処で聞いた?
違う、何処かで見たんだ。何処かで……ステータスっ、そうだステータス!!
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・楽しい経験値リシュエルのサプライズ
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「コレだああああああ────っ!?」
ピンポンパンポーン(上がり調)
レベルが上がりませんでした(殴らないで)
ピンポンパンポーン(下がり調)
「そうだね、タイミングバッチリだね。絶対見てるよな。おーい、せめてレベル上げろよおおおおおお────っ!?」
正に、意味の無い、唯のアナウンス。
毎回毎回毎回っ、人の頭の中で煽り文句垂れ流す元凶っ、リシュエル!!
「うしっ……出会ったら一発殴ろうか!!」




