10話 影さんと一緒.5
孤児院は外見はボロく見えるものの内装はしっかりとしており、何より埃一つ無い程に清潔にされている為、外の街並みとは全くの真逆で息がし易い。
「ちゃんとお掃除してますねぇ」
ニアノールさんが姑の眼でチェックしながら歩いている。
「まあ、院長おるし大丈夫やろ、ここのガキ共はしっかりしとるからな。なあお前等?」
「「「しっかりやってるよ!」」」
影さんを筆頭に歩いていたら後ろには俺(ミルン付き)、村長(ケモ耳幼女付き)、ニアノールさん、リティナは良いんだけど、ケモ耳っ子達が楽しそうについてくる。
何か、子供達を攫う童話があったような…無かったような。
「リティ、ニア、先に院長室で報告を、流さんとミルンさんはこちらの部屋で少しお待ち下さい」
はいよっ…村長はどうするんだ?
「ヘラクレス様はお手数ですが子供達の相手をお願い致します」
そんな事を言われた村長の顔が引き攣っているというか肩に乗ってるケモ耳幼女が笑顔で顔を引っ張っている。
「院長殿!? 私は遊ぶ為に来たのでは無いのですぞ!!」
全くもってその通りだが、肩のケモ幼女の尻尾が垂れ涙目になってるぞ村長。
「おじちゃん、ミウとあそんでくれなぃ?」
ミウちゃんと言うのか。
ああ…流石の村長も肩の上で泣きかけているケモ耳幼女には何も言えないのか…あの時とは大違いだな。
「待ちたまえミウとやらっ何も遊ばないとは言っておらん! 流君も笑ってないで助けてくれ!?」
どうやら俺は笑っていた様だ。
「村長、影さんからの話は後で伝えるからさ、遊んでやったらどうだ? どうやら用があるのは俺とミルンだけみたいだし、頼むよ」
むうっと考えている村長ではあったが、溜息を吐いて分かったと了承した瞬間にーーー
「取り囲めー!」
「黒い身体…人種?」
「おじちゃん誰?」
「めっちゃおおきーい」
「ミウちゃんかわって!」
「どうやったらそこまでの姿に」
「きんにくっはぁはぁきんにくっ」
「いきるためにはちからがいるの!」
ーーー一瞬にしてケモ耳っ子達に囲まれた。
その時の村長の顔は、困りながらも少し、ほんの少し楽しそうではあった。
約一名やばい子がいるけど、大丈夫だろう。
そして、その場で村長は息を吐き、筋肉を肥大させる。
「やあ!!はじめまして!!」
ムキィッ(手を後方で組み)
「私が!!」
ムッキィッ(爪先立ちで)
「ラクレル村から来た!!」
ムキッムキッ(大胸筋が歩いている)
「村長…ふぅぅぅむん!!」
ムキッムキッ(ゆっくりとポージング)
「ヘラクレスゥゥゥウ! ヴァント!!」
ムッキィ!!(両腕を前に持ってきて)
宜しくな子供等よ!(笑顔で白い歯を見せる)
一気にケモ耳っ子達の人気者になった。
羨ましい…これが筋肉の力。
物凄く…羨ましい。