10話 影さんと一緒.4
12/4 加筆修正致しました。
リティナがケモ耳っ子達に、もみくちゃにされている……物凄く羨ましい。
「うぅっ、羨ましいっ」
「おとうさんっ、ミルンのしっぽでげんきになるの」
「モフモフだぁぁぁっ……」
そんな姿を見て、血の涙を流しながら、ミルンに慰められていたら、笑顔のニアノールさんが、透き通る様な声で一言。
「皆んなぁ、そろそろ離れましょう、ね?」
ニアノールさん、笑顔が笑顔じゃ無いです。
ケモ耳っ子達は、ニアノールさんのその顔見て、一目散に逃げて行った。
「ニアだ逃げろ!」
「尻尾刈り取られるぅっ」
「ニアちゃん恐いいい!」
「わたちはおいしくないもんっ」
「いんちょーせんせーいっ!」
「悪い事しません悪い事しません」
「もっとみてっもっとみてーっ」
「わたしはいきるいきるんだ」
一人だけやばい子が居るぞ。
本気で将来が、心配そうな子が居るんだけど、皆んな本気で逃げてるな。
建物に入って行ったけど、何だここ?
さっき迄の、スラムのボロ屋とは違って、しっかりした作りになってるぞ。
「リティナ様、大丈夫ですかぁ」
「あぁ、有難うなニア……死ぬかと思ったわ」
ケモ耳っ子達は、ニアノールさんが恐怖の魔王なのか、建物内からチラチラ見てくる。
「物凄く……可愛いなぁ」
「おとうさんは、ミルンのっ!」
ミルンにヤキモチ妬かれてるよ。
嬉しいけども、許して?
あの姿は、ミルンの次に可愛いんだ。
そんな事を考えていたら、建物から、一人のケモ耳幼女と手を繋ぎ、誰か歩いて来た。
黒外套を羽織った、見た事ある様な人。
「皆様、ようこそお越し頂きました。私はここの孤児院の院長をしております、影と申します。何卒、宜しくお願い致します」
この姿……影の人だよね?
影さんだよね?
何でここに居るんだ。
「えっと……院長の、影さん? あんた、女王と一緒じゃ無かったっけ?」
その黒外套は、見間違う筈無いぞ。
泣き虫女王の一声で、急に現れて、ミルンを優しく捕まえた人だよね?
「それは、別の"影"で御座います。ですので、初めましてですよ。小々波、流さん」
俺、名前言ったっけ?
言ってないよな?
と言うか、別の影って……何?
「お待ちしておりました。リティナに頼み、貴方を呼んだのは、この私です。詳しくは、中でお話し致しましょう」
「影さんが、俺を呼んだ?」
そんな話をしている最中、影さんと手を繋いでいるケモ耳幼女が、俺に肩車をされているミルンを、ジッと見つめる。
「そこ、かわって?」
「このばしょは、ミルンだけのもの」
少し考えていたケモ耳幼女が、影さんの手を離して、俺の後ろに居た村長を、まじまじと見つめ、軽やかに頂上へ昇る。
「んしょっ、こっちのが高い!」
ケモ耳幼女と、ケモ耳幼女が、眼を合わせ威嚇し合っているけども、可愛い過ぎて、鼻血が出ちゃうよ。
「流君っ……これは、どうしたものだろうか」
「役得だろ村長。似合ってるじゃん」
「あんていかん、ばつぐんっ!」
「おとうさんは、しゅんびんせいがあるのっ!」
肩の上で、何のやり取りかな?
喧嘩なら止めるけど、この感じだと、互いのテリトリーを決めて、不可侵の取決め?
犬耳の習性なのかね。
「んじゃ、行くか」
「おとうさんっ、はしって!」
「こらっ、暴れるで無いぞっ」
「きんきくっ、しゅっぱつ!」
俺達はそのまま、ケモ耳幼女を肩に乗せ、影さんの後を、ついて行った。




