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異世界とは愛すべき者達の居る世界  作者: かみのみさき
一章 異世界とはケモ耳幼女が居る世界

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8話 魔物は皆んな生きている.3


11/19 加筆修正致しました。



 皆んなが、玉葱香るシンプルシチュー食べるのを横目に、俺は硬く、冷たい石の上で。正座をしながら村長の説教を聞いている。


「私の家に勝手に上がり込み、勝手に寛ぎ、勝手にご飯を食べる事には目を瞑ろう。しかしだ、持ち主の許可無く物を持ち出し、あまつさえ自分の物とするのは、大人として恥ずかしいとは思わんのかね。しかも君は、自らそこの獣族っ失礼……ミルン君の父親だと、私にあの時に言ったでは無いか。ならば大人として、父親として、やってはいけない事を、教える立場にあるだろう。それを君はなんだねっ! まるで盗人のような事ばかりしおってからにっ! すこしは反省をするのだ!!」


 ガチで怒られた。

 いつもなら、ミルンが俺の頭をテーブル代わりに使うのに、今は離れて聖女と食べてるよ。


「それで、まだ私に隠し事は無いかね……流君」


 無いよーっ、断じて無い無いしか無い。

 人が居なくなったから、肉屋から肉を拝借したり、八百屋から野菜を拝借したりと、そんな事はして無いよーっ。


「村長……俺が悪かった」


 村長は、頭を下げた俺の態度を見て、溜息を吐き、矛を納めてくれた。


「ならば良い。ご飯を頂こう、流君!」


「流さん。お話おわった?」


「終わったよ……」


「んしょっ、んしょっ、ここが落ち着くの」


 即俺の肩に跨って、頭の上をテーブル代わりにしたね……流石ですミルンさん。

 

            


「それにしても、空間収納とは……規格外のスキルであるな。其れならば、ダンジョンのみならず、戦時の兵站問題も問題になるまい」


 スプーンを俺に向けて、村長が物凄く物騒な事を言ってくる。

 兵站問題ねぇ……そんな事よりも、やっぱりダンジョンあるんだな。

 

「いやいひゃ、そないなスキルにゃら、手ぶりゃで物資持ち運びひゃから、間違いにゃく商人向きやろ?」


「食べながら喋るなってか、こぼし過ぎだろ!」


 商人するにも、金が要るだろうが。今の俺、無一文だから、何も出来ないぞ。


「私は、単純に羨ましいですねぇ。そのスキルが有れば、リティナ様の御召し物を幾らでも、持ち運びができるのでぇ」


「それは同意だな。手ぶらで移動出来るし、貴重品を仕舞っておけるからな」


 あとは、コレは流石に言えんけど、俺の物と認識するだけで、自動収納出来ちゃうから、盗賊向きのスキルでは有る。


「流さんお代わり!」


 ミルンが、皿を下に向けて渡し来たな。綺麗に食べて、どこぞの聖女とは大違いだ。


「はいよ。大盛り一丁な」



 

 玉葱香るシンプルシチュー完売しました!

 又のご来店お待ちしております! 

 皆がお腹をさすって、満足そうにしている顔を見て、ふと笑みが浮かんでしまう。


「流さんお代わり!」


 違う。約一名、まだ食い足りぬとばかりに、俺の顔にお皿を押し付けてくる。


「悪いミルン、もうスープしか無いんだ。また明日にでも、コンテナの上で作るからさ。今日は我慢してくれ」


「いや!」

 

「えっ……ミルン?」


 ミルンから、嫌なんて言葉、初めて聞いたんですけど……どうしたミルン?

 

「ミルン……また明日な?」


「いや! いーやっ! いーまー!!」


 尻尾が勢い良く、俺の背中に当たってる。

 肩車してるから、良い感じに俺の脳天を可愛い手で、パシパシと……駄々っ子?

 

「ボソッ(何これ超可愛いっ)」


 今まで良い子にしてたから、その反動か?

 まさか反抗期っ!?

 いやいや……まだまだ先だろ。


 俺はゆっくりと、駄々を捏ねるミルンを下ろして、抱っこ姿勢で、優しく言い聞かせる。


「御免な。今日は夜も遅いし、食べ過ぎるのも体に悪いぞ。明日、明日また作ってやるから、今日は我慢しような?」


「なんかアンタ……変わったやっちゃなぁ」

「私にはあんなに、気持ち悪く来るのに!?」

「はっはっは! 本当に親子であるな!」


 周りのヤジは気にしない。

 気にしないったら、気にしない。


 その後、直ぐに我にかえったミルンは、顔を赤くして謝ってきた。俺は頭を優しく撫で、尻尾をモフモフと堪能した。


            


 青く照らす月明かりの下、コンテナの上部に毛布を敷き、空を見上げていた。


 見た事の無い星空。

 射手座、天秤座、乙女座、さそり座……見慣れた星座が、一つも無い。


 北極星なんて、見つけようも無い程に、全てが輝いている。

 そもそも、北極星なんて有るの?


「流さん……」

「んっ? どうしたミルン、眠れないのか?」


 俺の傍にいるミルンが、話しかけて来た。


「流さんは……どこからきたの?」


 そう言えば、ミルンに教えて無いな。


「地球って言う、お星様からかな」


 俺は正直に伝える。

 ミルンに出会う、前の話を。

 ここが何処で、どうしてここに来たのか、本当に分からない事も。


「流さんは…っ、かえりたい…っ?」


 ミルンの声が、少し震えている。

 不安なのかね。


「そうだなぁ。帰っても誰も居ないし、何も無い。仕事もクビになってるし……」


 俺はミルンを、ゆっくりと包み込む。


「ミルンを置いて、帰る訳無いだろ」


 優しく、この子が辛くならないように。

 せめて大人になる迄は、見守るからな。


「おとう…さんっ…」




「ミルン……寝たのか…ふぅ…」


 父さん。俺、無職なのにさ。

 母さん。俺、女の子と付き合った事も、無いのにさ。驚く事に、子供が出来ちゃった。

 凄く良い子でさ…俺を助けてくれたんだ。

 恐い思いもさせてしまって。

 頭の中が真っ白になって。

 あの時の様な事、二度と起きて欲しく無い。

 起こさせないからさ。

 どうか空から、見守っててくれよな。


 俺は、輝く星空を枕に、ゆっくりと、気持ち良く目を閉じた。


ピロン(小音)


レベルが1上がりました(観てますよぉ)


ピロン(小音)

 

 傍のミルンが、こそっと起きる気配がしたけど、眠気に負けて、そのまま夢の中へと、旅立って行った。




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