金曜日
「いいこと知っちゃったなー……」
夕食を食べ、風呂に入った千春は、布団の中に潜り込んだ。
弱みを握り、どうしようか考えているので、顔がニヤけている。
少し不気味な笑いをこぼし、千春は携帯を枕元に置いて寝た。
「風峰ー。疲れたー」
今日は金曜日。
疲れがたまっているのだろう。
「家までおんぶしてくれると嬉しいなー……」
「するわけないだろ」
「だよねー……えへへ……」
美咲は笑う。
俺たちは今、春花と秋葉が教室から出てくるのを待っている。
どうやら、授業が長引いているらしい。
「あっ、風峰先輩と美咲先輩!」
階段の方を見ると、千春がいた。
「何してるんですか?」
「春花と秋葉を待ってるんだ」
千春は教室を覗き込む。
「まだ時間かかりそうですねー……ここで少しお話でもしませんか?」
「別にいいぞ」
俺はそう答える。
「じゃあ……風峰先輩と美咲先輩はデートとかしないんですか?」
「しないってことはないが……。最近はあんまりしてないな」
「だから、明日は一緒に出かけるんだよねー」
明日は、美咲が行きたいと言っていたレストランに行くのだ。
「いいなぁ……」
千春は小声で言う。
少し悲しそうな顔をしている。
「だったら、一緒に行かない?」
美咲が千春に言う。
それを聞いた瞬間、千春に笑顔が戻る。
「本当ですか!? ありがとうございます!」
「起立!」
教室から聞こえてくる。
どうやら終わったようだ。
「じゃあ、集合場所とか集合時間についてはメールで送るね」
「はい!」
「すみません! 遅くなりました!」
「ごめんなさい……」
春花と秋葉が教室から出てきた。
俺たちは話を中断し、学校から出ることにした。