第20話:プロポーズ効果とバースデー
小さい子どものプロポーズはほほえましくてちょっと和みますが、きっと実を結ばないのだろうなって思うと寂しい気持ちにさせられます、映像なんか残ってると将来彼らをも傷つけます、諸刃の剣です。
おはようございますアイラです。
一昨日ホーリーウッド昨日、出会ってから20時間くらいの男の子にプロポーズされました。
それから一夜明けたのですが
『僕ユークリッド・カミオン・フォン・ホーリーウッドはアイラ・ウェリントンに婚約を申し込みます。』 か・・・・・。
『返事は急がなくていい、僕がアイラにプロポーズしたという事実が大切なんだ』
とも言っていたか。
(7歳の男の子がプロポーズをするのは、どれだけの思いをこめたのだろうか)
暁も、暁は婚約が決まったのは小6の半ばだったけれど、こういうのは男から申し出るべきだと、暁の意思が関与しないところで縁談が概ね決まっていた上で、暁から神楽へ婚約を申し込んだ。
(あの時は既に縁談が纏まった状態で、それでも女の子のためにあぁやってボクから申し出たけれど)
今回のユーリはどうなのだろうか?
もしかするとユーリの認識ではもうこの縁談は決まっていて、だからボクにやさしいし付いてくるしいろいろ教えてくれるし。
返事を急がなくていいっていうのももうOKだと決まってるものと認識してる可能性も・・・?
なんて考えていたら・・・・。
「一睡もできなかった・・・・。」
アイラになってこんなの初めてだ。
どんなに緊張していても、どれだけ起きていようと思っても、今までは8時を回ればお昼寝なしでは起きていられなかった。
昼まで寝てたからとか?いやそれでも10時くらいには眠ってしまうはずだものね・・・コレはつまりボクは本気で悩んでいるってことなんだろう。
まさか・・・・、7歳の、それも男の子からのプロポーズで眠れない日がこようとは・・・・。
ぼんやりした頭でベッドから立ち上がる。
時間は朝7時前くらいか、トリエラが起こしにくるまであと10分くらいはあるね、先にトイレに行っておこう・・・パジャマにしているピンク色のワンピースのままボクは部屋を出た。
魔法道具を持ってしてもトイレの排水と換気は大きな設備になってしまうため私室には着いていない。
匂いを気にしないなら私室につけれないこともないらしいけれど、それなら1箇所に共同のトイレを作るよね。
ディバインシャフト城にあるトイレはすべて水洗の個室(男女共用)でそれも日ノ本でいう洋式便座だ。1箇所のトイレに大体4基の個室トイレが設置されていて、ディバインシャフト城全体で17箇所に設置されているらしい。
そのうちの4箇所についてはボクたちホーリーウッド家と御側メイドくらいしか使わない実質身内専用で今ボクが使っているのもそのうちの一箇所だ。
寝所のすぐ傍だしね。
その安心感というか家の中感とでもいうのだろうか、徹夜による寝不足という要因もあってかこの日ボクは生まれて初めてやらかした。
今までだって別に失敗がなかったわけじゃないけれど、今回のは明らかにまずかった。
頭の中が急速に醒めてくる、ついでにお股と脚も冷めてくる・・・・。
(冷静になれボク!まだあわてるような段階じゃないはずだ!!)
今まで一度だってこんな失敗したことはなかった、ハンナ母さんやサークラにもほめられてきた。
ボクは個室の中で呆然と立ちすくんでいた。
冷静に整理しよう・・・ボクは、個室に入ったあと、寝ぼけたまま用を足そうとした。
ココまではOKだ。
しかし問題はその後だ、ボクはなぜかいまさらになって、かつて暁がそうしていた様に便座をあげておちんちんを摘んで用を足したのだ、かつて魂に刻みこんだルーチンワークのそのままに・・・ただそこには誤算があった・・・ボクにおちんちんはついてない!!
どうやら寝ぼけてスカート部分の飾りボタンを摘んだみたいだね。
まぁ冷静に状況を整理したところで・・・
「どうしよう!?」
頭を抱えたくなるけれど手にもおしっこがたっぷり付いてしまっている、抱えられない。
あぁもう言葉をごまかしていたのに言ってしまった。
もういいや、ボクはトイレの個室にたどり着いて置きながら、ワンピースのスカートと下着をおしっこでびちゃびちゃにしてしまったのだ。
手の平もびちゃびちゃ、足も足元の床もびちゃびちゃ、そして現在進行形でじわじわと胸元まで湿ってきている気がする。
このままでは今まで築いてきた利発なお子様のイメージが・・・誰かに見られるわけにはいかない、仮に見られるとしても状況と人数は絞りたい。
もう10分足らずでトリエラがボクの部屋にやってくる、それまでにボクはこのトイレを人に見られず、痕跡を残さずに脱して、部屋で着替えをし、証拠の服を隠さないといけない。
もう・・だめなのか・・?
あきらめるのかここで・・・?
「まだだ!まだ終われない!」
思わず声が出てしまった。
「アイラ様?トイレで大きな声を出されてどうかなさいましたか?おなか痛まれるのですか?」
隣の個室から、ナディアの声が聞こえた。
思考に嵌りすぎて回りの音が聞こえなかった様だ。
続けて水の音がする。
あ、コレ聞いちゃいけないやつだ耳をふさ・・・げない・・・
仕方ない、ナディアならトリエラと比べて口も堅そうだし
「ナディア、終わったらこちらに来てくれますか?」
ナディアに申し訳ないなと思いつつ声をかける。会話してれば音も聞こえないしね。
程なくしてこちらの個室にナディアがやってきた、そして羞恥と情けなさで涙目になっているボクを見つけた。
それからは迅速にことが運んだ、ナディアに服を脱がせてもらいぱぱっと洗濯場へ、その間にボクはトイレ用の拭き紙で体を軽く拭きナディアが洗濯場からもってきたシーツをかぶり走って部屋に戻り、そして証拠隠滅を終えたナディアが部屋に入ってきて。
あとは体をもっと丁寧に拭いて着替えるだけだった。
ナディアが桶にお湯を用意してそれで体を拭いてもらう、暖かくて気持ちいい温暖な気候とは言え冬、朝は肌寒いというのに数分に渡って濡れた衣服を着ていたぼくは冷え切っていた。
いっそ朝から入浴というのも考えたが、汗もかかない季節になぜ今日に限って?となるし
それをするのにもまず体を拭いて服を着ないと・・・。
そしてナディアに体を温水で拭いてもらっているのだけれど、冷え切った体にコレが気持ちいいのだ。
いやー極楽極楽。ちょっと年寄りくさいかな?
なんていうか落ち着く、息ももれちゃうね
「ふへ~」
「アイラ」
ユーリの声がするや
「んーなぁに~?」
「ナディアが戻ってこないのだけどこっちに着てない?」
「うんいるよー」
今体を拭いてもらってる。そっかユーリの御付の仕事中だよね・・・悪いことしたなぁ
「そっか入ってもいい?」
「うんいいよー」
「ちょ、アイラ様!?」
「ア、イラ・・・?」
寝不足と温水の温かさで気が抜けていたのだ・・・。
私室で生まれたままの姿でメイドに体を拭かせている、そんな姿をボクにプロポーズした男の子に見られてしまったボクは。
ナディアに体を隠してもらいながら真っ赤になって叫んださ。
「もう、お嫁にいけない!!」
「アイラもう機嫌を直してよ、お嫁さんなら僕がもらってあげるんだから。」
「・・・・・・」
ベッドの上で毛布に包まるボクをユーリがなでている。
「僕今から学校だから、このままケンカしたままだと授業に集中できないかも」
それは申し訳ないな、彼に落ち度はないのだ。
「ケンカはしてないから・・・・。」
布団に包まったままそれだけ伝える。
「だったら、お顔見せて欲しいな、いってらっしゃいっていって欲しい。」
顔見せるのは恥ずかしいんだよなぁ・・・あれ?でもなんでだろう、今までエドガーやトーレスに裸を見られても、別にそこまでの感想はなく、ちょっと照れるくらいの恥ずかしさがあるくらいだった。
カールやピピンに悪戯にトイレを覗かれたときはお前らふざけるなよ言う怒りと不快感があった
川遊びでピピンにじろじろ見られたり、体に触られたりしたときもあるのは不快感だった
それなのに今ボクは、裸を見られたあとにユーリに顔を見せるのが恥ずかしいと思っているのだ。
「ねぇアイラ?お顔見せて欲しいな」
顔の近くでささやく声に耳朶が赤くなるのを感じる。
これはまさかひょっとするのだろうか・・・?
意を決して、布団から顔を出す。
ユーリが顔を綻ばせる。
その花の咲いた様な笑顔にボクの心音はトクンと少しはねた。
「いってらっしゃい・・・馬車に気をつけてね?」
何とかそれだけ声を振り絞って告げると、ユーリが感極まったかの様に目を瞑って震える。
それから
「いってくるね、アイラ」
とボクのおでこにキスをしたとおもうと、さっさと部屋を出て行ってしまった。
「アイラ様また後ほど」
といってナディアはあわただしくユーリの後を追いかけていった。
部屋にトリエラしかいなくなるとボクはガバッっと起き上がった。
トリエラが一瞬ビクリとする。
「マスター?大丈夫ですか?」
だいじょばないよ・・・一大事だよ・・・・。
ボクはアイラとして生きているつもりだった、でもそれはあくまでボクの意識はあるままで、アイラとして斯くあるべきという生活スタイルをしようということだったはずだ・・・というのに
今ボクはユーリに対して恋愛感情の発露とでも言うべき親愛の情を持ってしまっている。
ボクの精神的有り様がアイラに寄っていっている?
ためしに自分の胸を触ってみる、うん6歳前だから何もないね。
続けてトリエラの胸に失礼する。
むんず・・・とわしづかみにしたつもりだったが、ボクの左手はなにも掴むことはできなかった。
あぁそういえば君は無かったね・・・・。
怪訝そうな顔をするトリエラを尻目にベッドから降り、部屋をでた。
丁度トイレにアイリスとエッラが行くところだった。
この際エッラで試ささせてもらおう。
アイリスがトイレの間暇だろうし。
「エッラ、おはよー」
「アイラ様、おはよーございます。」
エッラはボクらのこと様付けで呼ぶよーになったね。
「エッラちょっとごめんね、胸触らせてもらってもいい?」
「え!?っと・・・いいですけど、何か理由がおありで?」
ボクの精神的有様が男なのか女なのか確かめたいとはいえないな。
するとトリエラが絶妙に勘違いして援護射撃をしてくれた。
「アイラ様がですね、今朝着替えているところを、ユーリ様に見られてしまって。それなのに身体つきについてユーリ様に何もいってもらえなかったのを気にしてるみたいなんですよ。」
「あぁなるほど・・・乙女としてそれは何歳とか関係ない問題ですよね、わかりました・・・どうぞおさわりください、ただあまり痛くされるのはご勘弁くださいね?服の上からで大丈夫ですか?」
今の説明で胸を触る必要性の何がわかったというのだろうか?
でもまぁボクの目的は達成されるのでよしとしよう。
アイラの小さな手がエッラの胸に伸びる、ドキドキするあれ?この時点でだいぶ興奮してる気がするけれど
とりあえず触ってみる・・・・なるほどわかった。
むちゃくちゃやわらかい!!そして胸を触られている最中のエッラの少し紅潮した肌の色っぽいこと・・・。
うんボクの精神的有り様はまだ男のままだ、となると罪悪感が半端ない
「エッラ、すみませんでした、ちょっと取り乱してしまって・・・。」
顔を赤くしたエッラは手と顔を振りながら
「い、いえいえ、サークラ様から聞いてました、アイラ様はたまに寂しくなったり甘えたくなったりするとおっぱいを触りたがるって、だから大丈夫です。」
それは大丈夫じゃないうわさが流されているね。
でもまぁこれでボクがまだちゃんと男の精神をもっていることがわかったから。
これはユーリだけに対する感情、つまりプロポーズによって意識してるということなのだろう
そうやってボクは彼への気持ちを整理した。
学校から帰ってきたユーリに朝のことを謝る、ユーリもボクの裸を見たことを謝る。
それを見ていたサークラが、アイラももうすぐ6歳だもんねーと何気なく言った。
「あぁそういえば、1年度差だって聞いてたのにいま2つ差だもんねそれでもう10月下旬だし・・・アイラはお誕生日いつなのかな?」
ユーリが幸せそうにボクの誕生日をたずねる。
「ボクは10月36日生まれです」
「はい!アニスは2がつ11にちです!!」
乗っかってくるねぇアニス
「そっか大変だもうたった10日じゃないか早く準備しないとっていうか年末なんだね本当に、アニスのは来年になったら準備しようね。」
ユーリが膝に乗せたアニスを撫で付けながら楽しそうに予定を立て始めた。
その横顔にボクの心臓は鼓動を早めるのだった。
おかしいですね?酔っ払っても、寝不足でもないはずですがお話がどんどんHentai成分を含むものになってきた気がします。
アイラさん2回目です。




