第19話:家族計画
昨日の飲み会が響き、今朝の地震でおきて二度寝したせいで、起きるのが遅くなりました。
今日はあと1回。いや2回更新したいなぁ・・・
こんばんは、暁改めアイラです。
ホーリーウッド城に着きました。
ホーリーウッド城は面積はかつてフィオナ族の王城であったディバインシャフト城に負けているけれどやや城壁が高く守りの堅そうな城だ。
ホーリーウッド領全体の軍や政務全体を執り行うのは主にこちらであり、ディバインシャフト城にあるのは旧ディバインシャフト市の財務と農地の管理をしている部署が主らしい。
ディバインシャフトと合併してからのホーリーウッド家は代々ホーリーウッド侯爵がホーリーウッド城につめ、次期ホーリーウッド侯爵となるものが早いうちからディバインシャフト伯爵を名乗るそうだ。
あれ?ってことはギリアムおじさまって伯爵?伯爵ってかなりえらいんじゃなかったかな?
人のよさそうなおじさんにしか見えないのだけれど
全員で歩いて饗応の間ではなく、会食室に入った。
今日は晩餐会だけれども「お客様」はいないということだ。
食堂に入ると既におじいさまとおじさまが座っていた。
長テーブルの一番奥の家長の席に座り、到着したボクらを見つめて目を細めている。
「おぉ、よくきたの、どれ顔を良く見せておくれ」
手招きするエドワードおじいさまにサークラから順にご挨拶する。
アイリスが嫌がって寄り付かなかったので、ボクが手を引いて一緒に行くとギュッと手を握り返してついてきた。
「夕べは良く眠れたかの?」
「はい、おかげさまで、旅の疲れも残らずぐっすりでした。」
サークラがにこやかに笑うとそれだけで場の空気が華やぐ、美人の笑顔ってのはいいね。
おじいさまもそうなのかサークラの笑顔を見て明らかに機嫌の良さが上がった。
おじさまも一瞬驚いた顔をしたものの今はサークラの笑顔にメロメロ状態である。
次におじいさまはボクとアイリスとアニスのほうに目を向けて、特にアイリスを怖がらせない様にだろう、笑顔を称えたまま穏やかな声で
「よくきてくれたのう、じじはそなたらに会えてうれしい。今日はおいしいものを用意させたから、存分に食べてくれ。」
「おじいさま、本日はお招きいただきありがとうございます。妹たちともども、楽しみにしておりました。ね?アイリス」
アイリスにわざとらしく話題を振る、こうすればアイリスも短い返事くらいはする。
「たくさん食べます。」
やや怯え気味にそれでもなんとか慣れようとしているのが姉のボクには伝わるけど、おじいさま方にはどうだろうね?
うん可愛い小さな女の子を見る年寄りにしか見えないね、機嫌は損ねてなさそうだ。
「おじちゃん、ん」
アニスはもうこの人は甘えてもいい人という認識なのかギリアムおじさまのほうに手を広げてのばしている。
抱かせてやる。といっている様だ。
今よりもちっちゃい時からみんなに抱っこさせて抱っこさせてとせがまれてきたアニスは抱っこさせてあげる側なので、甘えたくなったときも抱っこして?ではなくて両手を広げて「ん・・・」というだけで良いのだ。
しかし昨夜であったばかり(日付的には既に今日だった)のおじさまにはいまひとつ通じていない。
おじさまは頭の上にクエスチョンマークを浮かべてアニスの手と顔をまじまじと見つめている。
「ギリアム、子ども相手に何をしているのですか?」
そのとき会食室の中に凜とした声が響き渡った。
「母上!早いですな、まだ時間まで少しありますが」
鋭い眼光をした見た目40過ぎたぶん50前くらいの女性、おじさまが第二子で27歳ってことだから、それくらいだよね?
「貴方は少し遅い様です、チャンスを逃しましたね」
とボクたちの、アニスのほうを見る女性
「は?」
っとおじさまがこちらに向き直るとアニスが女性のほうへテテテと歩いていくところだった。
「おや、この婆にも抱かせてくれるのい?うれしいのだけれどあいにく脚を悪くしていてね。イスの上で良いかえ?」
と女性がアニスに尋ねるとアニスは無言のままコクリとうなずき手を握っておじいさまの隣のイスまでついていった。
そこでメイドにイスを引かせて座る女性に「バーバ」といって膝にすりついた。
メイドさんがびっくりしてる。
バーバと呼ばれた女性もすこしびっくりした感じだったけれど、すぐに気を取り直してアニスをひょいと抱き上げ、そのまま膝に乗せた。
「エド、ちびっちゃいのにずいぶんと賢い娘じゃないか、私が求めているものがわかっている様だよ。」
アニスは女性の膝に抱かれたままでずいぶんとリラックスしている様だ。
(じゃなくって・・・。)
「お初にお目にかかります、アイラ・ウェリントンです。フローレンス様でいらっしゃいますか?」
「えぇ私が、フローレンスよあなたがエドガーさん自慢のアイラね、うん、賢そうでよいけれど私が求めているものじゃあないわね、やりなおしを命じます。」
ニヤリと少し意地悪な顔で笑う
求めているものか・・・・アニスを見るとアニスは緩んだ表情でフローレンス様に抱っこさせてあげている。
それが正解というのならばボクもそれを見せようではないか。
「それでは、こほん・・・おばあさまはじめまして、アイラです、これからお世話になりますね」
アニスみたいなでれっでれに甘えるのは難しいし、抱っこされ様にも既に先約がいるのでおばあさまの手をとって、笑顔を振りまいた。
おばあさまは少しゆるんだ表情でボクを見て、満足そうに頷いて
「よろしくねアイラ、ココも貴方の家よ、いつでもおばあちゃんに会いにきてちょうだい。」
といって撫でてくださった
アイリスも女性相手だからか、上手に挨拶できておばあさまもアイリスもご満悦。
最後にサークラが
「はじめましてフローレンス様、3人の姉のサークラです。これからホーリーウッド家のご厄介になります。」
と挨拶した。
「サークラは今のやり取りを聞いていたのかい?」
と少し怪訝そうにするおばあさま。
「はい、妹たちに優しくしてくださってありがとうございます。私はもうすぐ16歳ですし、お若いフローレンス様をおばあちゃん呼ばわりできるほどの歳の差もありませんので」
「ふむ・・サークラも賢い子だ。みんな賢い姉妹だね。」
と満足いただけた様だ、ひとまず安心と胸をなでおろしていると
「じゃあ次はソッチの4人か、あぁ妊娠中の子はわざわざ立たなくていいよ」
つまり他の3人は寄ってきて挨拶しろということだ。
ただでさえ緊張気味のエッラやノラは顔を強張らせている。
気に入られなければどうなってしまうのか・・・?
最悪アンナに返された家と財産があるので、それで暮らすことも出来そうだけれども、離れ離れは寂しい。
意を決した様に年長者からよね、とアンナから前にでて挨拶する。
「お初にお目にかかります侯爵夫人様、アンナ・ブロッサムと申します。われわれを保護してくださった、エドワード様ギリアム様のご厚意に感謝し、一日も早く恩義をお返し出来る様にご奉公いたします。」
と、頭を垂れた。
次のキスカはおばあさまの言葉に従い座ったままで挨拶を始めた。
「座ったままで失礼いたします、キスカ・トネリンと申します、身重のためご迷惑をおかけします。」
緊張しているのかほとんどなにも言えなかったけれどおかしなことは言っていない、おなかの子に障らないといいけれど。
少し緊張が解けたらしいエッラが続く。
「はじめまして奥様、エレノア・ラベンダー・ノアと申します、ギリアム様のご厚意で、アイリス様付きのメイドをさせていただくことになりました。馬の世話くらいしかしてこなかったので、至らぬところが多いと思いますが、粉骨砕身の覚悟で望みます、どうか奥様にもご指導いただけたらと思います」
エッラは既にメイドとしての立場を示そうと決めている様だ。
最後はノラだ・・・一歩前に出る
「は、はじめまして、ノラ・ガーベラ・シ、シルバーレイクです、わ、わたたしは何も特技とかは・・・、あっ詩集や本を読むのが好きです、勇名な方ではないですが、ハイルディンの詩が好きです、えとええと、暫くご迷惑おかけします。」
かなり乱れて途中からは真っ青な顔になってしまった。途中で止めようかとも思ったけれど、おばあさまの表情が変わらなかったのでタイミングを掴み損ねた。
フローレンス様がノラを手招きした。
コレはお叱りだろうか・・・?ノラはびくついていて、みんなも緊張している。
ところがフローレンス様ただやさしくノラの頭に手を置いて撫でた。
「よくがんばりました。貴方たちは全員命を落としていても不思議ではなかった、一人ひとりのがんばりが、あるいは家族や隣人の愛が、もしかしたら聖母様のご加護が貴方たちを守り、生きながらえさせました、貴方たちを生かしたものに報いるためにこれからもよく生きてください、貴方たちががんばる限り、私も出来る限りのお手伝いをいたします。それからハイルディンね、彼女の詩は私も好きよ?素朴で飾り気がなくて・・・」
暫くノラを撫でたあとボクに向き直った。
「それからねアイラ、貴方はもっと大人に甘えてもよろしいのですよ私は貴方のおばあちゃんのつもりなのですから」
威厳と自愛に満ちた眼差しを下さるフローレンス様、それならばとアイリスやアニスのようにもっと甘えてみようか。
「えっと、じゃあ・・・おばあちゃん?」
ちょっと照れてしまったけれど、おばあちゃんと名乗っていたのでその様に呼んでみた。
とたんおばあさまの様子が豹変した!!
「ああぁあアイラちゃんカワイイわぁ!おばあちゃんにいくらでも甘えていいのよ、かわいいドレスもお人形でも何でもおばあちゃんのポケットマネーで買えるだけは買ってあげる。でもまずは撫で撫でさせて頂戴・・・!!」
豹変振りに不安になり
「お、おばあちゃんとよんで大丈夫なのですか?」
とたずねてみたが、回答は問題ないの一点張りでますます興奮するばかり
「ハァッ大丈夫ですよ?ハァッもっと甘えてくれていいくらいです、フッ」
明らかに大丈夫じゃないのだけれど、おじいさまもおじさまもアニスもサークラもアイリスも・・・ってアイリスはなんか宝石の嵌った杖に夢中になってるや、お願いだから壊さないでよ?
みんな明らかにポカンとしている、ただユーリと、おばあさま御付のメイドさんだけが、平然としている。
ボクは抱えあげられて、アニスの隣、おばあさまの膝の上に座らせられた。
脚が悪いという話なのにお膝は大丈夫なのだろうか?
「私はね、たくさんの子や孫に囲まれたかったの・・・特に!女の子に服を買ってあげたり、女としての心構えを教えてあげたかった・・・だというのに!!」
そうか、この家はお家騒動があったからエドワード様の代には側室も置かず
子もギリアム様とフローリアンという、王家に嫁入りした娘だけだったという
「フローリアンには王子様が2人と姫が一人授かったけれど、こちらには2回しか遊びにきたことがないわ」
「ですがボクたちは。」
「いいの、あなたたちは確かに私とは血が繋がっていないけれど、エドの血縁よ、私が大手を振って可愛がれる娘なのよ、ユーリは無論かわいい孫だし、お姫様見たいに可愛いけれど、未来の侯爵である以上あまり私の趣味を出すわけにもいけませんしね・・・」
数瞬の間目を瞑ったおばあちゃん
「良いですか?これより小さな貴女たちエドガーの娘はエドと私の孫娘、サークラはギリアムの従妹のままの扱いをします」
わざわざ分けるからには目的もあるのだろう
「おじ様におねえちゃんを嫁するのですか?」
「その可能性を潰さない、というだけよ?お互いの意思が一番大切、貴方とユーリもそうよ?」
「それと、他の4人は先ほども言ったとおり、私が責任をもってどこに出しても恥ずかしくない淑女にして見せます。ホーリーウッド家とゆかりのある乙女として励みなさい」
それから食事をしながらこれからのことを話した
そしてそろそろお開きといったタイミングで、ユーリがおもむろに立ち上がると宣言した。
「おじいさま、おばあさま、父さま、それに他のみんなの前で言いたいことがあるんだけれど。」
みんななんだろうと顔を向ける
「アイラは、あまり重く受け止めないで欲しい、これは単に僕の意思の表明だから・・・僕ユークリッド・カミオン・フォン・ホーリーウッドはアイラ・ウェリントンに婚約を申し込みます。」
ボクの前に傅いてボクの手をとったユーリが前置きした上で仰々しく述べる。
「へ?」
少女の様な少年の初めて男らしいと思える表情で、アイラ・ウェリントンは婚約を申し込まれた。
それも未来の侯爵様に・・・
(まだ昨日であったばかりなんだけど!?)
口付けられた手の甲が熱かった。
7歳で出会った翌日にお申し込みはちょっと早い気もしますが、一目惚れ的なものに時間の経過は関係ないですよね?ね?




