表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
PR
24/24

第二十四話〜決戦、始まる

「私が尊敬する御方、ユーシア帝国王子、グリド・エル・ユーシア様の別荘を真似て作ったのだ。美しかろう・・・・・・それを貴様は、あろうことか灰にしようとしている!!報いを受けるが良い、この場で殺してやる!」


 ビスケルの我慢の限界は案外早く訪れ、成人男性とは思えない子供が地団駄を踏むような声でわめいている。

 こいつの屋敷を灰にしようとしたのは、俺じゃないんだけどな。リーズのことにビスケルが触れず、俺を恨んでいるということは、恐らくリーズは火を放つだけ放って逃げおおせたんだろう。幻惑の魔法か何か使って。


「屋敷が燃えたくらいで喚いてんじゃねぇよ。そんくらい、お前が気に入らない奴殺したことに比べれば、当然の報い。いや、それでも足りないだろ」


「・・・・・・当然の、報い?私が何をしたというのだ。やったのは全て死神だ。私が殺めたのは、私の騎士道を侮辱し、あざ笑ったあやつのみ。騎士は自らの騎士道を侮辱される事以外では、むやみやたらに人を殺めたりはしないのだ!他の者は、あやつの死を有効活用し、私の知略によって死神を手中に収め、私の鮮やかな政治的手腕に負け、排除されただけに過ぎない」


 最初に殺した奴の死を利用して、死神がビスケルの気に入らない奴を殺し始めたという噂を街中に流し、それによって変貌した死神を利用して、邪魔な貴族を殺してった訳か。

 死神はビスケルの命令に忠実だった。邪魔な貴族を殺すように命令したのはビスケル自身のはず。それを自分が直接手を下してないから、全部死神がやったことって言っちゃうのは本当にもう、救えねぇ。

こんな奴が死神を上手く従えられたの、偶然だろ。絶対。


「へー、騎士道。あやつってのは、最初に犠牲になったお前を嫌う貴族か?そいつが否定したお前の騎士道ってのが何なのか、教えてくれよ」


「そんなもの決まっている。私の騎士道は、敬われるべき私の意思を、貫き通すこと。私の意思を邪魔する者は全て、私の騎士道を侮辱する者だ!」


 一体どんな育ち方をしたら、こんな人間が育つのか。もう根本からとんでもなく哀れなやべぇ奴だ。何か騎士道とかいう言葉を使って自分を貫き通すみたいなこと言ってるけど、要するに俺に逆らう奴は全員許さないってことだろ。自己中の極みだ。しかも全部騎士道とかいう立派な言葉を盾にして、全ての横暴を正当化する始末。


「はは、お前それ、絶対騎士道じゃないって。そりゃお前が殺した奴も、あざ笑うだろ。騎士の格好した中年のガキが、お遊戯してんだもんな」


「ぐ、ぐぎぎ、ぎぎぎ貴様ぁ!!!!私の屋敷を燃やすだけにあきたらず、私の高貴な騎士道までも侮辱するというのか!!許さぬ、許さぬぞ!!」

 

 何らかの魔法で頭の中に直接響くビスケルの声は、聞くに堪えなかった。女々しくキーキーと、大の大人が人の頭の中で大声で。聞きたくもないのに耳を塞げないし、この深いな声を聞く俺の身にもなってほしいもんだ。こんな共感力がかけた奴が町の長だなんて、この町の町民には心底同情する。

 

「貴様を殺して私は、あの誉れ高き騎士の国たるユーシア帝国の貴族となる!!そういう盟約だ!何と素晴らしいことか、貴様を殺したら、良いことずくめではないか!!」


「殺すねぇ、魔王の俺を?」


 ずっと思っていた。何故こいつやあの冒険者達は、魔王である俺をこんなに簡単に殺せると思っているんだと。


「何が魔の王だ!汚れた生物の王など神聖な我ら人間の王であるユーシア家から支援を受けたこの私が、死神を使って、私の命令によって早々に排除してくれる!!」


「排除、はは、本当にやれると思ってんのかよ!」


 知らないんだ。魔王ってのが、どんな存在なのか。現代日本に生きていた俺ならば何となく分かるが、こいつらにとっては、初めて聞く存在なんだ。


 気づくと、辺りは何千という兵士達に囲まれていた。兵士達は石像の裏に咲き誇る花々を平気で踏みつけ、隊列を組んだ。どうやらビスケルは、あの花々に大した思い入れもないらしい。


「魔・・・・・・王。殺、す」


 本命のお出ましだ。遙か上空の青空からゆっくりと、黒い翼を生やした死神、メトスが、こちらを見下ろしている。


「魔王を殺せ!!」


 ビスケルの号令と共に、兵士達は雄叫びを上げて俺に襲いかかり、死神は鎌を構え、猛スピードで俺の元へと急降下してくる。


 俺は右手に黒の魔法陣を展開し、昨晩使用したあの両剣を取り出す。

 まるで自らの力を思う存分開放することにうずうずしているかの用に、両剣と俺の体は、かつて無いほどの黒い瘴気を放っていた。


「私の命令・・・・・・てめぇなんか、眼中にないんだよ!!」


 死神によって、遙か上空から隕石の用に落下し、振り下ろされる強烈な一撃。

 ガキーン!!という、鉄と鉄がぶつかる鈍い音が辺りに響き渡った。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ