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8話「 遺跡賊最強現る×帝都タニアへ出発」

とうとう遺跡を攻略し終えたアルマとレイ。

直後、彼らを襲う、次なる危機とは――

 キュクロとの激闘を終えた二人。

 束の間の休息。


「いてててて!」

「ほら!兄さん動かないで!」

「も、もっと優しくしろ!アバラが折れてる!絶対折れてるんだって!」

「はいはい優しくする」


 アルマの腕に包帯を巻きながら、レイはさっきの自分の感覚に戸惑っていた。


 ……いまいち、自分の行動が鮮明に思い出せない…兄さんがキュクロを倒してくれたと言っていたけど……落ちてる首…切断面が、不自然なくらい綺麗だ。


「――レイ!」 


 アルマの声は、レイには届いていない。


 包帯を撒きながらも、頭の中ではうっすらと、自分に身に覚えのない感覚が、生々しく、手に、匂いに、肌に、甦ってくるのだ。

 なんだったんだろう――全てが止まり、音が消え、相手の息の根を止める事だけを考えている。殺す事に躊躇も感情もない……めり込んでいく刃…肌に散る、生ぬるい――血。


「レーーーーーイ!!見ろ!!包帯巻きすぎだ!これじゃ手が動かなぇよ!」

 ハッ。アルマの声に、レイはふと我にかえる。

「ご、こめん兄さん……どうしたんだろ、すぐやり直すね」

「……」


 レイに、何があったんだ……あの時のレイは、まるで別人のようだった…相手を見つめる無機質な冷たい目、俺でも捉えられなかった超スピード。

 何より…いつも自分を抑えてしまうレイが放った、底が見えない殺意。 

 俺の身体、細胞が、危険信号を出し続けて止まらなかった。あれは一体………。


「終わったよ!兄さん!」

「おう!ありがとな!」


 まあ、今は色々ありすぎて整理がつかねぇし、落ち着いてから考えるか。

 お互いに、あの戦闘で起きた事を、戸惑いながら自分に問いかけるが、答えはない。あれは――何だったのか。今は深く考えないように、記憶の底へ、蓋をする。


「さぁ!兄さん!ゴブリンとキュクロから素材を回収して、持ってかえろう!牙や爪は高く売れるだろうし、毛髪や分厚い皮なんかも、何かに使えるかもしれない」

「そうだな!っしゃあ!コイツで稼いで武器や防具買わねぇとな!」


 二人は、横たわる骸から討伐の証として、爪、牙、毛髪、皮を収集する。


「なぁなぁ、これってどれくらいで売れるんだ?」

「さぁ…僕にも分からないよ、真実の砂時計の本には、大きな都市なら素材の買取をしてくれるお店があるって書いてあったんだ」


 入りきる素材だけを荷に詰めて、二人は激しい戦闘跡が残るフロアを出ていく事にした。

 来る時に通った通路を歩きながら、レイはふと気になった、兄の違和感に。


「ところで兄さん」

「ん?」

「そんなブレスレッド持ってたっけ?」

「あーこれか、これたぶん宝具レガリアだ、戦闘のあとによ、気付いたから形が変わってたんだよな」


――静寂。


「えぇーーー!?」


 アルマは、ことの顛末を話す。ピンチだった事、壁を突き破った際に秘密の部屋に飛ばされた事、その部屋の瓦礫の中から拾った事。


「……レガリアを拾ったって……そんなに簡単に言っちゃって………でも、これで次の行き先は決まったね、目指すは僕らがいるガエリア大陸、最大の都市――ガエリオン帝国、帝都タニア、だね」

「ガエリオン帝国かぁ、でけぇのか?」

「はぁ……九年間、なに勉強してたんだよ…六つの国が存在するガエリア大陸で大陸の半分を統治する最大国家、それがガエリオン帝国だろ」

「おぉー!なーるほど!じゃあ、そこに行けばガルも入るし、美味いもん食えて…武器も買えて、そろそろこの、布切れの服ともおさらばか!」


 二人は、今後の活動の方向性を決める為にも、最大の物流、軍事力、人口、情報、シーカーが集まる、帝都であれば、レガリアの情報も何か分かるだろうと、帝都タニアを目指す事にする。


 来る時に登ってきた階段、巨大なフロアを抜け古城の門に到達する。


――その瞬間。


「まてぇ」

 門の先から聞き覚えのない、低い声が響く。

「兄さん、何かいる」

「んー?ありゃあ来る時にぶちのめしてきた遺跡賊レイダースじゃねえか、あんなにゾロゾロと」

「兄さん気づいた?でかい奴がいるよ」

「見覚えのねえやつだな」


 アルマは、門の先にいる、レイダースの手下達の一番後ろにいる巨体を睨む。


「どけい、なぁんだ?このガキは、いっちょまえに睨んできやがるとはなぁ」


 手下達が道を開け、大きな足音と共に出てきたのは――ニメートル、いや三メートルはある巨漢、

 

 顔には古い切り傷。

 鋼のような筋肉。

 歴戦の猛者だろうか。

 

「ガキども、古城攻略に向かわせた、俺様の子分をやったのは貴様らかぁ?」

「だったらなんだよ」

「知らなかったとはいえ、ハイエナの牙の頭領、俺様の子分に手を出したんだぁ、どうなるかは分かってるよなぁ」


 手下達が囲み始める。

 何かを叫んでいる。

 威嚇か…。

 

「まぁ、だがぁ今なら許してやってもいい、俺様に永遠に忠誠を誓うことぉ、そして…その素材と腕につけてるレガリアを自ら差し出す、そしたら生かして奴隷として買ってやってもいいぞお?」

「ヒャハハ!お頭!殺して奪いましょー!」

「オラ!さっさと荷物をおけよ!ガキどもー!ウチのお頭のバイル様は、あの巨人族ギガンテスの遠い血を引く亜巨人ハーフギガントだぞお?どうだぁ?」

 

 どうやら、巨人族より少し小さい、この大男はバイルという男で、ハイエナの牙とやらのレイダースらしい。


 やれやれ…兄さんは怪我して動けないし…僕がやるしかないか。

 せめて気絶させる程度に…。


「あー、あとそこの“可愛こちゃん“も俺様に差し出せよぉ」

「ヒャハッー!お頭ー!俺達にも分けてくださいよー!」

「ほぉら?“嬢ちゃん“、こっちおぃでぇ」


――ブチッ


 高笑いしている手下達の間を、影が横切る。

 手下達は、気づく気配すらない。


 ドゴオッッ――


 何か柔らかいものに、固い岩の塊をぶつけたかのような鈍い音が響き渡る。


 レイは、バイルの顔を両手で掴み。


 飛び乗った状態で、膝蹴りを入れている。


「殺すよ?」


――冷たい眼差し。


 刺すような殺意がゆっくりと広がる。


「お、おい…レイ」


 背筋に冷たいものを感じる。

 鼓動が早くなる。


 アルマに最悪のシーンが蘇る、無表情、無感情の冷たい目をしたレイ。

 レイはそのまま馬乗りになり、バイルの顔を拳で殴り回す。


 ビシッ、バシッ、ビシッ、バシッ


「だぁれが女だコラー!!!」

「……へ?レ、レイ…さん?」

「え、えーーーーーー!?お頭ーーー!?」


 アルマは呆気に取られる。

 手下達は……阿鼻絶叫である。


「バ、バイル様が白目むいてる…!!こ、この女……や、やべぇ!!」

「あ゛ぁ゛?」


 気絶するお頭に、またがっていたレイが振り返る。


――鬼の形相。


「ひ、ひいぃぃぃぃ」

「逃げろ!ありゃバケモンダァ!!」

「こ、殺されるー!」

「……プッ!アッハッハッハッハ!!ひぃ〜!腹が苦しい!…ぐぁ!傷が……!」


 本気で逃げる手下を追いかけ回すレイ。

 爆笑するアルマ。

 気絶して直立不動で横たわる、お頭バイル。


――静寂。


「ず、ずみまぜんぢだ」――一同、正座、土下座。

「ま、まったくぅ、人が悪いなぁアルマの旦那もレイの旦那もぉ、可愛い顔してこんなにつえぇなら先に言ってくださいよぉ」


――ピクッ


「……可愛い?」

「ヒ、ヒィッ!違います違います!柔らかい顔して、でしたぁ!殺さないでぇ!」


 バイルと手下達は、緊張と恐怖で身体を強張らせながら弁解する。


「そ、そういえば…、兄貴達はこれから何処に行くおつもりで?まだ、この遺跡を探索するおつもりですかい?」

「いや、この遺跡での探索はやめて俺達はこれから帝都タニアに行くんだよな?レイ」

「うん」

「そ、そうだ!なら、あっしら遺跡の外に馬と馬車があるんもんで、タニアには入れやせんが、近くまでならお送りいたしやす!」


 今まで自分を瞬殺する男がいなかったのだろう。

 どう接して良いか分からず、言葉遣いすらおぼつかないバイルを少し憐れむアルマ。


「体も休めてぇし、送ってもらうか!」

「そうだね」

「わかりやした!そうと決まれば、おい!野郎ども!お二人のお荷物をお待ちして差し上げろぉ!」

「はい!」


 大人十人が乗りこめそうな、広々とした馬車のパンに、キュクロ、ゴブリンの素材を積み込んでいる。

 バイルから指示があり追加された水、干し肉やパンといった五日分の食料が積み込まれていく。


「さぁ!兄貴方!乗ってくだせぇ!タニアはこっから五日ほどでつきやす!」

「――よっしゃあ!いくぞおぉ!目指すは、タニアだぁ!!」


 バイル、二人の手下の馬が馬車を囲む。

 警戒な蹄の音が響き渡る。


 ガエリア大陸、最大の国家。

【ガエリオン帝国、帝都タニア】


 治めるのは、皇女:オルトラ・ガエリオン


 帝国では様々な施設が機能し、軍事力、レガリア、遺跡情報、シーカー育成など、大陸随一を誇る。


 中でも代表される施設。


 ガエリア大陸全土を守護する為に、6つの国。

 各国から派遣された最強の元アークシーカーで組織される世界の最大火力と名高い。

世界連合騎士団ワールド・オーダー・ナイツ】。


 各国の遺跡の管理、危険レガリアの管理、犯罪組織の摘発、犯罪者の捕縛。

 治安維持を行う兵団。

治安維持兵団アーク・シールズ

 

 遺跡の謎、レガリアの謎、古代歴史の謎、古代生物や古代兵器の研究や解剖、実験。

 古代生物や古代兵器の素材買取りを行う。

 【国立遺跡研究機関ルインズ・リサーチ

 

 フリーのアークシーカー達に、遺跡情報や仕事の紹介、素材の買取り、大型討伐の募集仲介。

 癒しの場を提供する。

 【冒険者シーカーズ茶屋カフェ・本店】

 

 各国から集まる、若者達のアークシーカー育成をサポート。

 【シーカーズ・アカデミー・咲夜】

 

 

 帝都タニアでは、様々な組織、人の思惑が交錯する。

 

 

 帝都内、裏路地


――雨の中、女は走っていた。


 なぜ…自分が?

 今の状況に理解が追いつかない。

 誰が何のために、自分をハメたのか…

 真実を知らねばならない。


「はぁ、はぁ、」

 息が上がる。

 纏っている、白銀の鎧から接触音が響く。

 

 逃げないと…!


 振り返る事なく、裏路地をひたすら走る。

 

 後方から水を蹴る音が聞こえる。


 迫っている。


「いたぞー!こっちだー!捕まえろー!!」


 私じゃない!私は何もしてない…!

 どうしてあんな事に……

 真実を、真実を突き止めなないと


 オルトラ様が――危ない!


 

 二人は、まだ知らない。


 追われる少女との出会いが、帝都を巻き込む争乱に発展することを。


 

(新章に続く)

次回より、兵団や騎士や学校など様々な施設、人が登場。

多くの思惑が複雑に絡み合い、さらに物語は広がっていきます。

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