VS ゴブリンロード(2)
ゴブリンロードの黄色い目が嘲笑っていた。
愛はまんまと自分が罠にはめられたことを知った。
侮っていた。ゴブリンごときに遅れをとるはずがない、と高をくくっていた。
状況を悟った愛の反応は早かった。一瞬の動きで人質のそばに跳躍して、壁と人質を背にすると、低く腰を落とした。
その様子をみて、ゴブリンロードは悍ましい声を上げた。
「ゔぉゔぉゔぉ。ゔぉゔぉ。ゔぉゔぉ」
その声に従うように、他のゴブリン達も声を出し始めた。
「ゔぉー、ゔぉー、ゔぉー」
「ゔぉあ、ゔぉあ、ゔぉあ」
「ゔぉーああ、ゔぉーああ」
(――笑っているの?)
愛は知っていた。ゴブリンに捕らえられた女性がどのような目にあうかを。ゴブリンは最初から愛を辱めるために、今日のステージを準備したのだ。
しかし、愛の心に怯えは一切なかった。
(戦って、戦って、戦い抜いて死んでやる!)
燃えるような闘志だけがみなぎっていた。
愛を指さして笑っていた近くのゴブリンの顔面に爆裂ヨーヨーが食い込み、爆散させた。
「5匹」
ゴブリン達から笑い声が消えた。乱戦が始まった。掴みかかるゴブリンにはヨーヨー本体を掴んで叩き込んだ。
棍棒が愛の肩を打ち据えた。痛みに顔をしかめる暇はなかった。ゴブリンの股間に蹴りを入れ、隙ができたところにヨーヨーでぶん殴った。
続けて間髪いれずに、サイドスローでヨーヨーを投擲し、2匹のゴブリンをまとめて屠った。
*****
いったい何匹のゴブリンを爆散させただろうか。いったいいつまで続くのか。
悪夢のような戦いは続いた。
10匹以降は数を数えるのをやめた。再び掴みかかるゴブリンを引き剥がし、爆散させた。
正面のゴブリンに向かってヨーヨーを投擲した瞬間、背後から鋼のような力が愛の首を締め上げた。
「ぐっ……!」
いつの間に背後に回り込んでいたものか、ゴブリンリーダーに右手をも掴まれ、完全に攻撃を封じられていた。
そのまま、羽交い締めにされた。
いままで隠れていたゴブリンロードが、机のステージの後ろから、のそりのそりと現れた。
「ゔぉっ、ゔぉっ」
ゴブリンロードの視線が、愛の全身を上から下まで舐め回した。舌なめずりをした口元がいやらしく嘲笑っていた。
「ゔぉゔぉっ ゔぉゔぉっ」
愛は不屈の闘志でゴブリンロードを睨んだ。
捕らえられた獣のような瞬発力でゴブリンロードに殴りかかろうとしたが、ゴブリンリーダーはかえって万力のように強い力で愛を拘束した。
ゴブリンロードは、一瞬たじろいだものの、ゴブリンリーダーの拘束から愛が逃れられないと知り、その醜悪な顔を愛に近づけ、長い舌をだして、愛の頬を舐めようとしたその時、
ドゴーーン!
愛のすぐ後ろで大爆音が轟いた。ゴブリンリーダーの頭部が消し飛んでいた。
「ごめんごめん、愛、遅くなっちゃった」
「紗良!!」
そこには先程、グランドに向かったはずの紗良の姿があった。
ゴブリンリーダーの体が崩れ落ち、愛は拘束を逃れた。
「どうして?」
「愛がトイレから戻ってこんけん、心配になって見に来たんよ」
「そうじゃなくて!」
「なによ?」
紗良は近くにいたゴブリンの頭部に右スレートを叩き込み、消し飛ばした。
「それよ!なんでそんなことができるん?!」
愛は紗良の背後に迫っていたゴブリンにヨーヨーを叩き込み、爆散させた。
「愛だってやりよるやん?」
紗良は素早い動きで愛と背中合わせとなり、周囲のゴブリン達を見渡した。
「愛を背中を守るのは、いつだって紗良の仕事やけんね!」
*****
ゴブリンロードは後ずさった。背中が壁にあたった。もう逃げ場はなかった。
ゴブリンロードの額には脂汗が流れていた。
「ゔ、、ゔ」
愛と紗良は呼吸を合わせ、ヨーヨーと拳を叩き込んだ。
「えんじょい♡」
「爆裂右ストレート!」
「ゔゲボン!」
ゴブリンロードの頭と胴体が同時に爆散した。
【ステータス】
名前:宝来 紗良
種族:人間
職業:拳闘士
称号:-
レベル:5(↑+1)
体力:70 / 70(↑+10)
チャージ:70 / 70(↑+10)
力:30(↑+5)
俊敏:50(↑+10)
装備:なし
スキル:隠密、暗視
爆裂拳(小)
爆裂右ストレート、使用チャージ10




