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VS 4つ首大蛇(2)

5人は円陣を組み、愛の手を中心に各々が手に手を載せていった。


「じゃあ、いいね。打ち合わせ通り、いくよ!」

「「「「「えい、えい、おー!」」」」」


5人が一斉に走り出した。5人はいったん4つ首大蛇を避け、体育館の東側にある出入り口から屋外に出た。愛、紗良、花梨、明奈の4人はそこから正門を抜けて校外へと走りでた。志津香は旧校舎から校内に入り、4つ首大蛇に見つからないように身を低くして走りつつ、新校舎の放送室へと向かった。


愛達4人は反時計回りにせとうち青雲高校の周囲を回り、児童公園をすぎるとすぐに学校の西に位置する通用門があった。4人は人目も憚らず通用門を軽く飛び越えて再び校内へと入った。この位置からならば、自分たちをオトリにして4つ首大蛇をグランドにおびき出すことができるはずだった。


4人が配置につくと、しばらくして志津香による校内放送が聞こえてきた。


「こちらは波方愛の魔物退治チームです。

 グランドにいる生徒ならびに教職員の皆様にご連絡いたします。

 ただいまから、グランドにおいて、巨大な蛇の魔物を退治いたします。

 危険ですので、東側の通用門、もしくは旧校舎内を通って正門から、

 学校の外に避難をお願いします」


放送が終わるとすぐに東側の通用門からは生徒たちが校外へと避難を開始した。ジェイソンが教職員に混じって生徒たちの校外への避難を誘導していた。ジェイソンが日本政府経由で学校関係者に手はずを説明していたので避難はスムーズに進んでいるようだ。


志津香は校内放送を切ると、今度は屋上に向かって走りだした。階段を一気に屋上まで駆け上がった。屋上への扉は鍵がかかっていたため、マジシャンズステッキの光剣で鍵を焼き切り、屋上へ走り出た。


屋上からグランドを見下ろすと、生徒たちの最後の数名が東の通用門から出て行ったところであった。最後に残ったジェイソンが屋上の志津香に手を振った。


(こっちは完了だ!)

(愛、紗良、花梨、明奈、グランドはクリアよ。始めて)


志津香の念話を受けて、愛達は中庭でトグロを巻いて眼をつぶっている4つ首大蛇に向かって近づいていった。


愛達が近づくと、4つ首大蛇の4つの鎌首がそれぞれに頭をもたげ、黄色い8つの眼で愛達を睨んだ。最もリーチの長い武器は愛の爆裂ヨーヨーだ。愛が一歩前に進みでて、一番近い鎌首に爆裂ヨーヨーを放った。


ヨーヨーで鼻を砕かれた首がひるんだが、別の首が巨大な口を開き愛に襲いかかった。が、その首の横っ面を花梨が素早く蹴りつけた。すると今度はまた別の首が愛に襲いかかったが、紗良が素早くインターセプトに入り、左手に装備した爆裂ナックルから強烈なフックを放った。4つ目の首が上から覆いかぶさるように愛達に襲いかかったが、明奈が放った痛烈な回し蹴りを頭にくらい、後ろによろめき、たじろいだ。


「みんな、走って!」


愛の掛け声で皆一斉にグランドに向かって走り始めた。



*****



志津香はグランドを見下ろす位置で屋上に立っていた。すでにアキ先生から「魔法」発動のために必要なプロトコルは教えてもらっていた。


あとはぶっつけ本番でうまくいくか、賭けであった。


志津香はマジシャンズステッキを右手に持ち、先端を上にして上空にかかげた。


マジシャンズステッキは通信モードへと移行した。しばらくそうしていると「天界」からの誘導が入り、マジシャンズステッキの先端を微調整することで、マジシャンズステッキが「天界」と接続したのが分かった。


下を見下ろすと、愛達4人がグランドの中央に向かって走っており、その後ろを4つ首大蛇が巨体に似合わない速さで愛達を追いかけていた。


愛達は4つ首大蛇をグランド中央に誘導すると、その場で戦い始めた。愛、紗良、明奈が4つ首大蛇と戦って注意を引き時間を時間を稼ぐ中、花梨が大回りをして大蛇の後ろに移動し、残ったチャージを使ってスキルを発動した。


「ローリングドラゴン!」


轟音とともに大蛇の背中の3点に爆龍脚を叩き込んだ。大蛇の首のいくつかが花梨に鎌首をもたげようとしたとき、反対側から愛の爆裂ヨーヨーと明奈の裏爆龍脚がそれぞれに大蛇の首を打ち据えた。愛は右に、明奈は左に移動して、4つ首大蛇は4方向から包囲攻撃をうける形になった。


お膳立ては全て整った。


志津香は「天界」との通信を開始した。


<GHOオービットバージ、聞こえますか。こちらGHO臨時職員、阿方志津香>

<こちらGHOOB、GHO臨時職員 阿方志津香を確認>


抑揚のない男性の声が答えた。志津香が続けた。


<現地の感染症対策活動において、フェーズ1のアウトブレイクが発生。

 緊急駆除を要請します>

<了解。データを送られたし>


志津香は4つ首大蛇を対象に鑑定眼を発動した。


<こちらGHOOB、受領したデータを解析した結果、緊急駆除の対象であることを確認。しかしながら、本文明はUG非加盟文明であり、緊急駆除の対象は危険レベル1の害獣である。

  従って、UG非加盟文明への最小干渉原則と費用対効果の観点により緊急駆除の要請を却下する>


志津香は内心で舌打ちをした。しかし、これはアキ先生と想定したシナリオのうちの1つだった。


グランドでは愛達が必死に戦ってくれていた。こちらも負けるわけにはいかなかった。


<それでは、感染症対策プロジェクトオーナーにエスカレーションを要請します>

<了解。本件を感染症対策プロジェクトオーナーにエスカレーションする。

 ……

 GHO臨時職員 阿方志津香、貴職の緊急駆除の要請を認容する。感染症対策プロジェクトオーナーの提言を採用し、緊急駆除は2次放射器の最小出力で実施する。

 2次放射器の使用にはヒューマンファクターによる承認が必要とされる。

 GHO臨時職員 阿方志津香、貴職は人間か?(イエス/ノー)>


志津香はGHOOBに答えた。


<イエス>


再びGHOOBが志津香に問いかけた。


<GHO臨時職員 阿方志津香は2次放射器の使用を承認するか?(イエス/ノー)>


志津香が答えた。


<イエス>


何の前置きも無く、何の感情もなく、男性の声がカウントダウンに入った。


<2次照射器の使用まで10秒、9秒……>


首尾よく「魔法」の要請が完了した。志津香が念話に切り替えて、愛たちに警告の波動を送った。


(愛、紗良、花梨、明奈、よく聞いて。私が逃げてって叫んだら、それぞれ4方向にダッシュして逃げて。

 必殺の究極光魔法、爆熱火炎煉獄(メギドフレイムインフェルノ)を使うわ。


 このネーミングセンス、中二病よね……。


 行くわよ……。


 みんな、今よ!! 逃げて!!)


グランドでは愛、紗良、花梨、明奈が、それぞれ4方向に向かって脱兎のごとく駆け出した。4つ首の魔物はそれぞれの首が獲物を追おうとしたが、4つの首がバラバラの方向へ動こうとしたため、本体はその場に釘付けとなった。


男性の声による抑揚のないカウントダウンが続いていた。


<4秒、3秒、2秒、1秒、照射>



*****



(みんな、今よ! 逃げて!!)


愛はヨーヨーを手元に戻し切らぬうちに、4つ首大蛇に背を向けて走り出した。背後では首の1つが逃げる愛を捕えようとしたが、大蛇の本体がその場から動かなかったために、愛に食いつくことができなかった。


そのまま全力のダッシュで4ツ首大蛇から離れた。走りながら校舎を見上げると、志津香がマジシャンズステッキを天に掲げ、魔法の名前を叫ぶ姿が見えた。


「いっけぇー! 必殺! 究極光魔法 爆熱火炎煉獄(メギドフレイムインフェルノ)!!!」


志津香がマジシャンズステッキを振り下ろした。その瞬間、愛の背後の空間が光り、続けて熱風と衝撃が愛を襲った。


車にはねられたような衝撃を、愛はグランドの上で受け身をして回転することでなんとか逃がすことができた。


振り返ると、すでに光の柱が消えてゆくところであった。グランドの砂が半径20mほどに渡って円形に溶け、鈍い赤色を発していた。


光の柱が消えると、そこには蛇の魔物が炭化した物体が残されていた。周囲には肉の焼ける匂いとオゾンの匂いが入り混じり漂っていた。


愛は荒い息とともに、手元にヨーヨーを戻した。


(愛、みんな、大丈夫、怪我はない?)


志津香から念話が届いた。屋上に目をやると、志津香が両手を振っていた。通用門ではジェイソンが親指を立てていた。


紗良も、花梨も、明奈も無事だ。起き上がり、志津香の念話に手を降って答えた。


愛達の完全勝利だった。

ここまでお読み頂き、ありがとうございます!

このお話これからどうなるんだろうと、少しでもワクワクしてもらえてたら嬉しいです。


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次も頑張ります!

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