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神崎涼の失踪  作者: 紅月
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第三話

誰かが誰かを思う


ただそれだけが


途切れることのない鎖なのだと―――

 悠が月華に無理難題(?)を押し付けられている時から時は少しばかりさかのぼって、某所。一人の少女が少しばかり息を切らして立ち尽くしていた。


「やられた…。」


 そうもらした少女がいる場所は建物と建物に挟まれた行き止まりの道。そこにあるのは学校指定のかばんで、中身は教科書やノートのほかに携帯のような物も入っている。


「端末は壊れてるし、”穴”があいてるし…。おまけに戦闘の後まで垣間見えるし…。

 どうやらはじめから二手に分かれていてボクのほうが形勢不利になったらスズを人質にするつもりだったみたいだね。でも、ボクの方に来たやつを見てると多分、違うね。ボクを足止めして、スズを狙った感じだね。でも、予想外の反撃をくらったと。」


 先ほど、少女の端末に助けてくれ、とスズから連絡が入った。急いで助けに行こうとしたのだが、邪魔が入ってしまい、到着が遅れた。普段なら、一人でどうにかできただろうに、今回のは違ったらしい。それだけ敵が強かったのか、多かったのか、はたまた、スズと相性が悪かったのか。

 携帯のようなもの―端末―をいじりながら目の前の地面を見る。少女の目の前には黒くて暗い穴がぽっかりと開いていた。穴はいびつな円形をしており、不安定に広がっては狭まり、を繰り返している。どうやら少女はここに至るまでの過程を予想しながら現状を確認しているようだ。


「だいたい、ボクに挑んでくるなんてのも思ってなかったけど、まさか、スズを狙うなんてのも思ってもみなかったよ。ここまで、裏をかかれるといっそ感心してしまうね」


 そこまで言って、少女は一息置いて空を見上げる。そこにある、いつもならきれいだと思える青空も今日だけは少しばかり憎たらしい。いつもいつもその青さのようにすがすがしい気持ちで人がいれると思うなよ!!そう叫んで再び現状把握に努める。


「スズもどうやら反撃はしたみたいだけど、撃退までにはいたってないみたいだね。そのせいで敵の術者に穴を空るだけの時間を与えてしまったし、それに巻き込まれてしまった、ということかな?それもこれも、ボクがちょっとばかしミスをって言うか、あいつをすぐにしとめなかったのが悪いんだけどさぁ。

 でも、まさか穴をあけれるような術者がいるとは思ってなかったよ。穴を開けたのは一人の力じゃなさそうだね、歪んでいるのはそのせいかな?」


 不安定だし、今にも閉じそうだし、ボクほどきれいにできてるわけじゃないし。

 先ほど、少女を襲ってきた黒尽くめを思い出しながら、状況を見続け、頭をかいている少女の髪が手の動きにあわせてさらさらと動く、その色は金。

 そして、自分がすべきことを決めたのかどこかに連絡を取ってからチョークを取り出して線を引く。まるで、その道をほかと分けるようにして。


「〝空間切離〟〝空間固定〟、後は・・・〝空間追尾〟」


 この空間を切り離し誰も入ってこないように。

 この空間を固定して穴が閉じてしまわないように。

 穴が何処の空間に繋がっているかを確かめるために。

 それだけの言葉を発して少女は地面に座り込むと、何処からともなくパソコンのキーボードを取り出して文字を打ち込みまた、一言。


「パネル、オープン」

『音声、パスワードトモニ承認シマシタ。起動シマス』


 機械音とともに青みがかった画面が現れる。少女はまた、キーボードをたたく。そこに現れるのはいくつもの画面と、高速でスクロールされていくよくわからない文字の羅列。それらすべてを追っていけているとは思えないが、少女の目がせわしなく動く、その色は緑。


「とりあえず、この穴が繋がってる先を見つけないと…。スズを襲ったやつらを片付けるのはその後だね。」


 少女の言葉に力がこもる。自身をあざけっているのか、それとも自身を嵌めたやつらを呪っているのか、それは声だけでは判断することができない。いや、この場合は怒りだろうか…。


「ボクに、いや、カンパニーに、かな?手を出して負けた連中の悪あがきが許されると思うなよ。」


 唇の端を吊り上げながら怒りを笑顔でごまかすようにして少女は言葉を続ける。緋色の衣を纏った少女のきれいなその唇からは少女におよそふさわしくない、似合わないような言葉がつむがれる。誰もやってくることない路地、少女がたたくキーボードの音だけが存在している。少女が一体何をしているのかを問う人物もここにはいなかった。


「ああ、もう、わかってるって。悪いのはすぐにこれなかったボクだから黙っててくれる?

 だいたい、やつらの身元がわからないってだけでも結構困るんだから…。これで蛇が知らなかったら大変なことだよ。」


 時折、誰かと会話しているように少女が口を動かすがその場にいるのは少女一人。

 どれだけか時が過ぎ、何か分かったのか、それともあきらめたのか、少女はその場を去っていった。

 少女が去った後の道には穴も、戦闘があったであろう跡も、なくなっており、周りの道とまったく変わらないような状況になっていた。

「・・・」

『言いたいことがあったら言ってもいいわよ』

「それじゃあ、ふざけんな!!作者!!

「今回から前書きには意味深げなことを書きますから君たちには前書きに出てもらった報酬として後書きに出てもらいます」ってボクたちのことなめてない?」

『じゃあ、今度からここでは製作秘話のようなものを少しずつさらしていこうかしら』

「この作品のタイトルの涼っていう字はスズって読むんだって」

『作者が投稿したあとに振り仮名つけようか悩んでつけなかったのよね』

「けっきょく「振り仮名ふるとかっこよくない」というふざけた理由でふってないんだよね」

『後書きも長くなってきたしこの辺にしましょうか

この作品では皆さんからの感想、評価、指摘、キャラクターへの質問をお待ちしております

質問は別に作者宛でも私たち宛でもいいそうです

質問はこちらまでhappy_first_tea@yahoo.co.jp』

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