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95 敵意のない人

 今回のパーティーの主催者はディオのことをよく知っていることもあり、ディオたちはパーティーが始まる前からパーチメント家に滞在していた。


 今日のことを考えると途中で眠ってしまわないようにと時間ギリギリまで眠っていたディオはシドに起こされ準備をすると、会場に人が見え始めるとそこに紛れる。


 ジゼルとヘレン、パーチメント家の双子の末っ子である2人の誕生パーティーだと言うのにカトリーヌやアルドのような同世代の子供たちよりも会場には大人たちが多かった。


 それにパーティーと言う和やかさはあまりなく、会場にいる大人たちからなんとなく仕事中の熱意のようなものを感じとれる。


 それもそのはずでパーチメント家からの招待とくれば研究の副産物による商談というものもある。だから、純粋に彼女たちの誕生日を祝う人もいるが仕事と捉えて訪れている人がもいる。今日は大体、半分ずつの比率か。


 会場入りを果たしたディオたちはデイジーと合流し、フランの父アレックスにカトリーヌが捕まる前に保護することを目的にカトリーヌを探し始める。入口ですぐに保護も考えたのだが、そうするとカトリーヌも目立ってしまうのでやめておいた。


「あ、いた。ディオ、あそこ」


 ディオの裾をクイっと引っ張りアルドは小さくカトリーヌを指さし、ディオたちはすぐにカトリーヌに声をかけた。

 幸いにもまだアレックスには見つかっていないようだ。


 見つけたカトリーヌをフランとトリス、それとデイジーに任せたディオはシドとアルドと一緒に他の参加者たちに声をかけに向かう。

 先程から王子クラウディオにかかる声は少なくないのだ。もっとも、義務としていう風が多いが。


「なんて言うか、習った通り」

「いいお手本でしょ?応用編が見たければシド1人で歩かせるけど」


 王子だから挨拶をしただけと言った風な招待客に対しアルドが素直な感想を零せば、ディオは笑ってそんなことを言った。


 ディオに対してより、シドに対しての方が擦り寄ってくる人間は確かに多そうだ。シドのことを引抜きたいと思っていたりする貴族も多い。まぁ、シドはディオの従者を辞めるつもりは毛頭ないのだが。


「見たいとは思うけどやめとく。シドの指示なしじゃ無理」

「そっか。もう少しだけ頑張ったら休憩しよう」

「うん。頑張る」


 慣れない場の上に大嫌いな貴族が集まるこの場所は、何もしなくてもアルドの神経をすり減らしていく。それも分かっているからディオも適宜休みを入れる。

 神経をすり減らしていく感覚は理由は違えどディオもよく分かっている。


「おや、クラウディオ王子ではありませんか。息災でしょうか」


 不意に背後から声がかかる。

 振り向けば優男といったイメージの背の高い男が立っていて、ディオは貼り付けていた笑みを崩して微笑んだ。


「ええ、もちろんです。伯爵もお元気そうで」

「お気遣い感謝致します。最近はクラウディオ王子をお見かけしませんでしたら心配しておりました」


 どうやら伯爵と呼ばれた男に敵意はなさそうだ。

 態度や声音からディオのことを純粋に心配していたのだと感じ取れる。ディオの態度からも分かった。


「求められているのは俺よりも兄様たちだから」

「否定が難しいのも事実ではありますが、クラウディオ王子を応援される方も多いのです」


 伯爵の言葉に控えめに笑ったディオは静かに礼を言う。


 そう言ってもらえるのは素直に嬉しい。けれど、進んで前に立つわけにはいかないディオには持て余す。何もなければ伯爵の言葉をなんの憂いもなく受け取れたのかも知れないがディオにはそれが出来ない。


「困らせしまいましたか。ですがやはり、クラウディオ王子を心配する者もいると知っていて頂きたい」

「思ったより愛されてるのかな、オレも。新人もいることだし、シドに調整してもらおっと」

「楽しみしております」


 ディオはシドに任せたと声をかけて伯爵から離れると、休憩のために軽食が並べられているコーナーに向かった。


 並べられた軽食を皿に取りながらアルドはシドに言う。あまり伯爵のような人間は見たことがない。


「あんな人もいるんだね」

「流れてるのはあくまで噂だからな。本質を見抜く人は見抜いてる」


 あまり公の場に出ないと言っても全く出ないわけではない。それに昔あったパーティーでの出来事から、ディオがわざと崩した態度をしていることに気づいた大人たちもいるのだとシドはアルドに教える。


 彼らはディオは何も言わないが必要以上にそれを広めることはしないと言う。ディオ自身が余計な火種になりたくないと思っていることを汲み取っているからだ。


「王位争いは争いの火種になりやすいからな。1度ここでもなりかけたこともある」

「なるほどね」


 そんな先のことまで見据えて行動しなければならないと言うディオたちにアルドは面倒そうと感想を持った。

 それが分かったディオはクスクスと笑って、そろそろ帰る支度をとフランとトリスを近くを通った使用人に伝えてもらうあために声をかけた。

Q.なんかフラン見てガッカリしてる人がいたんだけど?


A.フランって昔はお姉さんたちに女装させられてパーティーとか出てたから、『六姉妹』を期待してる人もいるんだよね。



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