93 パーティーの予告状
「フランさん、手紙が届いてましたよ」
アルドを連れての用事を済ませて部屋に戻ってきたトリスは、ついでだと預かってきた手紙をフランに渡す。
戻ってきたことを伝えるためにアルドはすぐにシドの元に向かうが、一瞬視線はトリスの様子を伺っていた。
「ありがとう、トリス。あ、実家からだ」
手紙を受け取ったフランは、手紙が実家からだと分かると丁寧を封を開けずにビリビリと封筒の上の方を破いて開ける。
「へー、今年はやるんだ」
読み終えた手紙を机の上に乱雑に置いたフランは、ディオに声をかけに行く。
休みをとるためにはディオの許可が必要なのでそのためだ。
「ディオ様、ジゼルとヘレンの誕生パーティーがあるみたいで行ってきてもいいかな?」
「もうそんな時期なんだ。行ってきてもいいけど、今年は大々的にやるんだね」
普段から大々的にパーティーなどをやることのないパーチメント家なので驚きつつもディオはすぐに許可を出した。
大々的にやる時は王家から開催するように言われていて、日頃の研究結果などを発表する場として利用される。
普段から常識がないと煙たがられるパーチメント家を、仕方ないで片付けてもらえるのはその研究結果が生活に役立つものだからというのが大きい。
訳の分からない迷惑な人たちでも、その成果が自分たちに関わってくるのであれば多少のことには目をつむれる。便利なものがなくなる方が困るからだ。
「婚約が決まったとかでしょうか」
「良い研究結果でもあったとか?」
「それならいいけどね」
各自の予想に対して心配でもあるような声音のフランにシドが声を挟む。
「それにしては浮かない感じに見えるが」
「あー、うん。この前、妖精についてだけは父さん鼻が効くって言ったと思うけど……」
「うん。言ってたね」
この前の妖精石の時もそうだ。まるで図ったかのようなタイミングでアレックスはやってきた。
フランはもしもの話だけどと前置きをして、グレイ伯爵家のことが耳に入っていたとすれば……と不安そうに言った。
妖精石の出処は伏せているとは言っても、妖精に関することにだけは妙な幸運を持つアレックスのことだ。何かしら感じ取っていてもおかしくはない。
「つまり、自然にカトリーとの繋がりを持つためだってことか」
「割と歳も近いみたいだから、呼ぶつもりなんだと思う」
フランの双子の妹であるジゼルとヘレンはカトリーヌよりは年上だが年齢は近い。それならカトリーヌを招待しても違和感はなく、誰も不審には思わないだろう。
それにパーチメント商会が領地の立て直しに一役買っていると考えれば、来てもらえることだろうと言う打算もあるはずだ。
あくまで第一は警戒されないことが大切なのだ。
逃げられては元も子はないし、警戒されてしまえば継続的に妖精について調べられるチャンスを失うことになる。それは研究者にとって回避するべきことである。
「それなら、ディオにも招待状は来るだろうな」
「研究対象は増えてもいいからね」
「………………」
一応オブラートに包まれたフランの言葉に、ディオたちは黙って冷たい視線をフランに送る。
いくらオブラートに包んでも研究対象呼ばわりされている訳であまりいい気はしないらしいが、お家柄とディオは突っ込まない。気にしたら負けということらしい。
簡単な計画だけは練って、あとは招待状が届いてから詰めるということにしたディオは大きな欠伸を1つして眠りについた。
Q.兄弟が多いっていってたけど何人兄弟なの?
A.僕も入れて6人だよ。姉さんが3人と妹が2人。
たまに6人姉妹とか言われてるんだよね。




