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78 使用人たちの日常

お読みくださりありがとうございます!

 トリスからの手紙を読んだディオは、トリスの提案に乗ることにする。


 そうなると必要なのは、ダニエルの両親、主に父であるヒューゴの許可とダニエル本人の許可である。


 なのでディオはトリスの提案を伝えに行くために馬車を出すようにシドに指示を出す。


「おじさんに聞きに行こう。シド、馬車出して」

「行かなくても、昼過ぎに来るぞ」


 ディオを止めたのはブルーノで昼から用事があるため(こちら)に来ると言うが、ディオはそれでも早く伝えるようとしていて馬車を出す気でいたが、アルフレッドとシドにも止められる。


「ディオ、途中で寝てしまったらシドたちが苦労する。今のうちに寝ておけ」

「ずっと起きてられないだろ、お前は。そろそろ限界だろうに」


 アルフレッドには窘められるように、シドには説教のように言われて、ディオはまるで幼い子供のようにふてくされる。


「は〜い。分かりましたよ〜だ」


 拗ねたように返事を返し、ディオは自室に戻るために歩き出したがその足取りはふらついていて、途中で力尽きるように眠ってしまったためそばでディオが寝るだろうと警戒してそばを歩いていたシドに抱えられてベッドまで運ばれた。


「こいつは全く」

「本人も分かってるんだろうけどね」


 呆れたようにため息をついたシドは時計を見てから今日の予定を頭の中の確認しながら、アルドの様子がおかしいことに気がついて声をかけた。


「どうした、アルド?」

「あーいや、ディオってのんびりしてるくせになんかせっかちだなって思って」


 ダニエルの父が昼から来るというのに、それでも向かおうとしたディオを見ていてそう思ったらしい。

 時折ディオはことを急ぐときがある。それがアルドの目には違和感として映るようだ。


「ディオ様は爆弾抱えてるから」


 シドが迷いながら息を吸って言葉を口にするより先にフランが言った。


「爆弾?」

「うん。そう――」

「ディオも抱えるものが多いからな」


 これ以上フランが何かを言わないようにとシドはフランの言葉を遮ると余計なことは言うなと視線を送り、フランは口をつぐんだ。自分でも失言だと思ったらしい。


 アルドには説明をしなければならないことなのではあるのだが、ためらいや受け入れられるのかという不安から、まだ伝えられずにいる。


 これは国家にとっても最大級の隠し事であり簡単に口に出来ないというのもある。それと同時にディオにとって、いや、ディオたちにとっても覚悟がいることだ。

 ディオが言わないことを仕える身(自分たち)が教えるわけにもいかない。


「さてと、今日は時間もある。今日は俺が勉強を見るぞ」

「はーい」


 話題を急に変えられたようなそれにちょっとだけちょっとだけ不満を持ちながらアルドは間延びした返事をすると、勉強用道具を取り出し机上に置いた。


 上手く聞きだす術をアルドは持っていないし、アルドの直感はどこか警鐘を鳴らしているから、話せないのならそれまで待つだけだ。


 ディオが寝ている間の恒例となったアルドの勉強は大抵トリスが見ることが多いのだが、こうして時間があるときはシドが見ることもある。


 割とトリスよりスパルタなのでアルドはあまり好きではないのだが、トリス曰くは優秀だとして期待されているとのことだ。

 早く一人前になってもらいたいという願いが少々溢れてしまっているらしい。


「じゃあ、僕は邪魔にならないように出て行くね」


 そう言って自分の荷物を持って特別室に向かおうとするフランの肩をシドは掴んで止める。


「待て、フラン。アルド(後輩)に劣ると言うのはよくないだろ」

「そうでもないんじゃない……かな」


 フランは決してシドの方を振り返らずに目を逸らしてシドに返す。

 出来ればこのまま見逃してもらいたいのだが、そうもいかないようだ。


「席につけ、フラン。クラークさんから宿題を忘れたわけじゃないだろ」

「ズルイよ、シド。そんなこと言われたらやるしかないじゃん」


 シドの言葉にフランはそう言い返し、アルドの隣に座るとちょっとだけ恨みがましくシドを見る。

 まぁ、シドには全く効いていなかったが。


 シドによる指導はディオが起きる直前まで続き、終わる頃にはフランは遠い目をして疲れ切っていた。


 ディオのために頑張ると言いつつ、どうにも向かないようだ。




Q.フランも一通り習ってるんだよね?シドたちみたいに。


A.そうだね。でも、興味ないとすぐに頭から抜けちゃうんだ。ディオ様のこと考えるとそれじゃいけないのはわかってるんだけどね。

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